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終盤で変わってくる一塁線と三塁線の意味合い

野球を経験された経験のある方、特に内野を守った事のある方は「一塁線を締めろ!三塁線を締めろ!」という言葉を聞いた事があるだろう。
かつて私も小学生の頃はサードを守っていた経験もあり、ベンチから「三塁線を締めろ!」という指示が出た事があった。
当時は何でだろう?と特に意味も分からず指示に従っていたのだが、高校生になりキャッチャーをやり出すとその意味がようやく分かってきた。

【一、三塁線を締めるのは終盤になってから!!】

野球において終盤というのは7回、8回、9回の事を指す。終盤は特に試合が動きやすい、これは高校野球だろうがアマチュア野球だろうが、プロ野球だろうが変わりはない。(少年野球など6回制の場合は割愛する)
特に満塁ホームランが出れば同点というシチュエーション(つまり4点差以内)の点差だとプレイヤーも観てる側も安心はしていられない。
野球の終盤というのはジェンガが高く積み上がると少しでも揺らしたら崩れてしまうあの緊張感に似ている。

野球のポジションの中でも特にピッチャーというのは点差が近ければ近いほどランナーを溜めたり、得点圏にランナーを置くと動揺しやすいポジションだ。
要するにピッチャーは終盤になればなるほどランナーを出したくない、得点圏には尚の事ランナーを置きたくないという心理が働く。この心理が邪魔をし手元が寸分狂うだけでコントロールを乱し、フォアボールを出してしまいそうになる。
まさに綱渡りをしながらグラウンドに立っているようだ。
この綱渡りをしているピッチャーの為に野手が手助け出来る事の一つに一塁線、三塁線を締めるという手段がある。

ではなぜ一塁線、三塁線を締める必要があるのだろうか?
野球をよく観られる方ならすぐ分かってもらえるだろうが、一塁線や三塁線を破られた打球で長打を防ぐのはほぼ不可能だからである。
ライト、レフトが必然的に打球を追いかける距離が長くなるため、打者走者もその分進んでしまうからだ。

ここからは今この文章を読んでいる貴方がピッチャーになってもらうとしよう。
場面は1点差で勝ってる8回裏の守備。ツーアウトランナー無し。
①相手打者の打球は一塁線を破る強烈な打球でツーベースヒットになるとする。
ツーアウトながらも得点圏にランナーを置いてしまう。
尚も次の打者にセンター前を打たれセカンドランナーがホームへ還り同点とされてしまう。
後続は断ちなんとか同点で凌いだが試合は振り出しに戻る。
②相手打者の打球は一塁線を襲う痛烈な打球だが、ファーストが予め一塁線を締めていたため打球を処理しスリーアウトチェンジになる。

当然②の場面の方がよっぽど良いだろう。

では、一塁線を締めたら一、二塁間が空いてしまうじゃないか、三塁線を締めたら三遊間が空いてしまうじゃないかというお声にお答えしよう。

先程も申したようにピッチャーというポジションは動揺しやすいポジションである。
一、二塁間を破られても三遊間を破られても外野がエラーをしない限りシングルヒットで収まるはずだ。
一、三塁線を破られてツーベースヒットになる(得点圏にランナーを置いてしまう)よりも動揺が少ない。
動揺が少ない分それだけ次の打者を打ち取れる確率が上がるという事になる。

今度はピンチの場面を想定して話を進めていこう。
9回裏同点の場面、ツーアウトランナー2塁とする。
相手のサヨナラのシーン。
当然外野手は自分の所にゴロが転がってきてもセカンドランナーをホームで刺せる位置まで前進してくる。
この場面は絶対!何が何でも一、三塁線は締めなければならない。
何故なら一塁線、三塁線を破られたらセカンドランナーは悠々とホームへ還ってきてしまうからだ。
一、二塁間、三遊間を破られても外野が前進してきてる為セカンドランナーのホームインを阻止できるので、この場合に一塁線、三塁線を破られたらベンチの責任であると言わざるを得ないのだ。

以上の理由から4点差以内の場合終盤の守備は一、三塁線を締めておくべきであると私は提唱する。
野球は考えれば考える程奥深い、野球をよく見ておられる方はあの終盤の長打が痛かったよね…。
というシーンは何度も見てきただろう。
“痛かった“という思いをしないためにも一塁線、三塁線の重要性は非常に高いのではないのだろうか。

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