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台湾政府は新型コロナとどう戦ったか

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台湾の新型コロナ対策はかなりうまくいった。公衆衛生学の権威とも言えるジョンズホプキンズ大学は、「台湾は世界で2番目に深刻な感染地域となるだろう」と予想していたが、見事に外れた。 …
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記事一覧

あとがきにかえて

 17年前SARS(重症急性呼吸器症候群)が発生したとき、台湾はひたすらWHO(世界保健機関)を…

第61話 個人情報保護と開示

 コロナ対策では、個人情報保護の程度が国によって違うので、この場で台湾の状況を整理してお…

第60話 厳しい退院基準

 台湾では、コロナ感染者は全員入院の上、陰圧病室に個室隔離される。そして、症状軽快後に3…

第59話 厳重に管理された医療・介護現場

 コロナ初期から、台湾政府は病院や介護施設に対して予防線を張り続けていた。病院や介護施設…

第58話 非常時の医療体制

 備えあれば患いなし。転ばぬ先の杖。Lay up for a rainy day. Hope for the best and prepar…

第57話 迅速なクラスター調査

 今回のコロナ対策で、「クラスター」という単語の認知度が随分と上がった。もともと、クラス…

第56話 拡大する検査能

 台湾では、2019年12月31日に武漢での原因不明肺炎発生に対して水際対策を開始し、2020年1月5日には専門家たちを召集して第一回専門家会議を開いた。この会議にて国内のPCR検査能の拡大が必須だと進言されたため、政府は早々に着手した。  PCR検査の実施には、適切な検査室の設備と熟練した検査技師の両方が必要になる。台湾では、ハード面を増やすとともに、技師の訓練も並行し、1月22日時点での検査能は1日500件(検査室11ヵ所)だったが、段階的に増えていった。 4月28日

第55話 短期間で更新される通報基準

 どんなに水際強化しても、水際をすり抜けるウイルスは必ずいる、という前提が大事だ。すり抜…

第54話 切れ目のない在宅検疫システム

 在宅検疫は水際対策の一部と考えるべきだろう。在宅検疫中は、「ウイルスが国土内には入って…

第53話 きめ細やかな水際対策

 水際対策とは具体的には何なのかと改めて考えてみたのだが、①誰を入国させるのか(入国制限…

第52話 SARSが台湾に残したもの

 台湾のコロナ対策での成功は、SARS(重症急性呼吸器症候群)なしには語れない。  2003年、…

第51話 感染源不明はたったの10例

台湾の新型コロナ対策の成績を振り返ってみよう。 2020年6月7日時点の統計では、累計感染者数…

第50話 コロナ前半戦、終了

2020年6月7日 2020年6月7日、台湾では8週間連続国内感染者ゼロを記録した。コロナの潜伏期2週…

第49話 マスク規制、完全解禁

2020年6月1日 「2020年6月1日をもってマスク規制を完全解禁する」と正式発表がされたのは5月26日。台湾政府のマスク備蓄量3億枚となり、実名購入制でのマスク販売実績は1日平均800万枚程度まで減少した。これらを踏まえ、6月1日からは、政府は毎日マスク800万枚を徴用し、それ以外のマスクは生産者の本来の事業として、海外輸出するなり国内で売るなり自由にどうぞ、ということになった。  政府は、実名購入制(14日で9枚、1枚5元)を維持し、国民が確実にマスクを入手できる経路