エッセイラヂオ 旋回

乾いた空気が、広がる青空の最果てを感じさせない。所々に生える緑。ぐぐっと力強い線を描く…

エッセイラヂオ 旋回

乾いた空気が、広がる青空の最果てを感じさせない。所々に生える緑。ぐぐっと力強い線を描く滑走路をなぞって、飛行機が飛び立つ。それが大きく旋回する様子を見て感じる喪失的な爽快感を、僕は他で味わったことがない。文章をインターネットに投げ込む時、それと同じ気持ちを抱いてみたい。

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    オンライン本棚サービス「ブクログ」に投稿した感想をまとめています。本、映像作品から解釈したこと、学んだことなど。

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二項怪物 | ブクログブログvol.2(映画) 『怪物』是枝裕和

ある時系列を、母、保利先生(学校)、子供の3視点から丁寧になぞって描写していく作品。 最初の視点できっと、湊の担任保利先生への憎悪、胸糞の悪さが込み上げてくるだろう。 一転して次の視点で、彼の純粋というか気の抜けた感じに驚き、そして申し訳なさが心に染みる。 視界に映る情報だけを消化して、「事実」を拡大解釈してしまう行為が怪物なのかもしれない。憎悪、ネガティヴ、嫉妬、時には愛が、相手の実像を増幅させ、怪物としての虚像を産み出す。それを見て、私たちはそれを怪物だと思う。でも

    • ブクログブログvol.1 『49冊のアンアン』椎根和

      NHKのサブカルチャー史という番組があり、そこで70年代サブカルの時代背景として"anan創刊"が紹介された。正直な印象は、今私が持つananのイメージとかなり異なるなということだった。 その後、テレビを一緒に視聴していた人から本を紹介される。anan像がなぜこうも変わったのかを知ることができた。もちろん時代の変化が大きいのだろうが、当時アートディレクターを務めた堀内誠一の表現というのが、その差異を際立たせているようだ。デザインを勉強する身ながら、彼の名前は初見であった。な

      • エッセイラヂオ 旋回 のまえがき

        波に負けぬ筋肉質な表現 私たちは誰のために文章を書くのか。誰のために表現をするのか。 私たちを取り巻く“流れ”はあまりにもはやすぎる。それは主に世界を飛び交う電波である。どれだけシャッタースピードを上げてもその残像が消えることはない。人々はその形なき流れに身を掬われないよう必死である。 時代の潮流に乗る表現を残すには、堅牢な舟に乗るか、もしくはテクニカルに流れを捌くか、もしくは運よくスルスルと下流に流れていくかである。 私たちははやい水面の上に表現を残そうとする。 そ

      二項怪物 | ブクログブログvol.2(映画) 『怪物』是枝裕和

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