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雨の日のソロキャンプ

とっても嬉しいランチミーティングだった。

同じ足立区内で経営者をしている友人との昼食、
最近ソロキャンプを始めたというその友人は先日のキャンプ時に生憎雨が降り、
四苦八苦して張ったテント内で一人他にすることもなくなり、
雨音をしずかに聞きながら、内省からわき上がった文章を誰に届けるでもなくスマートフォンのメモ機能に書いていたというのだ。

この社長の会社はきっと、今以上に業績が上がるのだろうなと思った。
いや、正確に言うと業績の上がり下がりにかかわらず、
今よりさらに顧客を愛し、顧客に愛される会社になるのだろうと思えた。
元来そんな社長なので、この話を聞いてますます期待が高まる思いだった。

自身を振り返ると、隙間を埋めるように仕事を入れ、とにかく目の前の売上を上げることに追われていたことで、わたしから派生する会社の空気をどんどん悪くしていた時期がある。
もっとこうすればお金になる、もっと、もっと、といった焦りによって、
何のためにセンジュ出版を立ち上げたのか、わたしは徐々にわからなくなっていった。

そんな、視野が狭くなってしまっていた自分にとって、
2020年のウィルスの拡がりには、もう絶望しかなくなった。
対面でのイベントや書籍販売ができないだなんて、
これ以上できることなど何もないと、わたしはひとり、自宅に引きこもった。
1週間した頃、落ち込み切ることにした。
この絶望を味わい切った先に、何かを知るかもしれない。
焦って何かで埋めることをせず、この絶望が過ぎ去るまでじっとしてみることを決めた。

3週間した頃か。
もう十分に絶望を味わったという感覚があった。
この会社はまだ倒産していない。
本当の絶望は倒産してからでも遅くない。
今はできることをやろうと、そこから小さなチャレンジを続けることになった。
どんなことを始めていったのかは、長くなるので別の機会に。

あの2020年3月の3週間。
わたしは日々の忙しなさから少し距離を置き、
この会社を何のために立ち上げたのかをずっと考え直していた。
雨の日のテントの中のひとときのように、
しずかに自分と対話していた。
それからは、変えてはいけないもの、変えなければいけないもの、
会社を立ち上げてからこれまでの間、気付かぬうちにちゃんと足元に芽生えていたものを、
認識し、理解し、言語化し、事業の棚卸しにと繋げていった。
それらはわたし一人で推し進められたものではない。
これまでセンジュ出版を支えてくれたスタッフ、読者、著者、書店の皆さん、新しく出会えた人達、数多くの人が、ここに関わってくれた。

結果、今後会社の業績が上がっても下がっても、
センジュ出版は不安になり「すぎる」ことはもうないだろうと、
この会社が立っている場所を知ることになった。


センジュ出版のモットーは、しずけさとユーモアを大切にする会社。
しずかに手を止め、足を止め、自分の内の声に耳を澄ませ、その声が本当に言わんとしていることに素直に従えば、
自ずとその人は、その会社は、ユーモアが飛び出すほどに、
周囲を愛し、愛される、チャーミングな道筋を進むことができる。


忙しい時ほど、不安な時ほど、追われている時ほど、恐れている時ほど、
時間をかけてしずけさの中へ飛び込む勇気を持って欲しい。
そこでの時間はあなたの掌の中にきっと、未来を大きく変える鍵の輪郭を結ぶはず。
大丈夫。そのしずけさへの入口まで、センジュ出版が道案内いたします。


#今日の一冊
#木に学べ
#西岡常一
#202 /365


#キャンプ
#しずけさ

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