見出し画像

エベレスト街道を登って(ネパール)

「ネパールまで来て」(写真は世界最高峰エベレスト山、標高8849メ一トル)

ずいぶん遠くまできてしましました。。


ここは電気も水も制限されている極寒の地。今の時代に、薪で暖をとり、ロウソクのようなもので夜を過ごしています。街は暗すぎてまともに歩けないほどです。

だからか、夜空の星々の煌めきが異様に明るく、大きく近く見えます。

夜の宿は裸電球1コだけで暖房などなく、よって登山用の完全防寒着姿そのままで寝ます。

衛生環境は劣悪で、例によって着いたらすぐお腹を壊しましたが、薬と少量の水でごまかして峠をこえることができそうです。

でもこたえるのが、酸素が薄く、上に向かって20-30歩歩くだけで足腰にチカラが入らなくよろけそうで、ハァーハァー息が切れます。


山々は、雲の高さより上にあり、富士山の高さの二倍以上ある連峰が大パノラマとなって取り囲んでいます。まるで手の届かない白い壁のように、遥か遠く天の域に君臨し、見る人間の視線を驚きから下の方にねじ伏せ寄せ付けようとしないかのようです。ただ数少ない人間達が、この空気さえ希薄な神聖な領域に、親しみを抱けるのでしょう。


こんなところに来て、何をしに、何をしているのだろうと思う。山がそこにあるから登るというのは、登山家の言葉でしたね。自分は登山家ではないので、こう言うかも。。


いつも見慣れている生活苦楽空間を、はるかに超えるスケールの前にただ立って、この馬鹿みたいに日々せせこましい空間や地を這って生きて死んでいく極小な自分と、この途方もなく広く高いもののスケールの違いを確認してみたいと。


それでどうなるものでもないと思いますが、空気や水や光のありがたさ、人間のスケールを超えたものをただ単に見ること、感じられることのありがたさを、再び新鮮なものとしてかみしめることができるかもと願います。


もう少し、あの域を、遠くから少し近づいてみたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?