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(米国株式市場12月20日〜23日)今年ラスト!今週の合戦の振り返り!代表株価指数上昇、S&P500はまたも史上最高値を記録。「オミクロン」の脅威も後退しVIX下落、10年債利回りも落ち着きを取り戻す。市場の利上げ時期は前倒し傾向続く。来週はFCEのみ決算

今週もお疲れ様でした!そしてメリーーークリスマス!!!

今回が2021年最後の週報となります。2022年も、もう目の前。


株式市場もオミクロン株の懸念も後退し、少しずつ資金が流入してきたように感じますね。


年末の合戦に向けて、今週の米国株式市場を振り返っておきましょう。


今週は私(@hidejiromoney)がマーケット週報を担当します。無駄な情報なくシンプルに今の株式市場動向が理解できるよう努め制作しております。


1. 今週の合戦の要約


・代表株価指数上昇、S&P500はまたも史上最高値を記録。
・ファイザー、メルクの新型コロナウイルス経口治療薬をFDAが承認。デルタに比べ入院が必要になる確率が低下とのデータもあり南アフリカ変異株「オミクロン(Omicron)」の脅威は後退。
・株式市場ステータスは「Confirmed Uptrend(確固たる上昇相場)」へ格上げ。市場への資金投入は慎重に。
・オミクロンの懸念から急騰していたVIXも下落し、10年債利回り共に落ち着いた水準へ。
・市場の利上げ時期は前倒し傾向続き、来年の3月には56.5%と利上げ確率が上昇。
・NAAIMナンバーは67と先週末よりも上昇しているものの、アクティブファンドのポジションの積極性は見えず。
・来週はFCEのみ決算。



2. 代表株価指数動向(&強気相場 or 弱気相場判定)

□ 各株価指数の動き

(12月23日の株価指数とVIX)


S&P500指数は2週間ぶりに過去最高値を更新です。強いですね。ラッセル2000以外は50MA上にあります。

先週までは厳しい相場が続いておりましたが、指数が漸く回復してきましたね。


オミクロンへの警戒が弱まりました。デルタに比べ入院が必要になる確率が以下の通り低下しています。重症になる確率が著しく減少していると現時点では捉えられます。


・スコットランド:60%低下
・イングランド:40-45%低下
・南アフリカ:70%低下




オミクロンに有効なファイザーのコロナ治療薬もFDAが緊急承認しました。発症後3日以内の投与で入院・死亡リスクが約90%減退するとの報道でした。

ファイザーのパクスロビドは12歳以上に対する使用が許可されたほか、高リスクの新型コロナ患者の入院と死亡を引き下げる効果は約90%。メルクの治療薬の有効率がファイザーと比べて低いことで、将来的な販売に影響が出るとの見方も出ている。

メルクもFDAに承認されました。

[23日 ロイター] - 米食品医薬品局(FDA)は23日、米メルクの新型コロナウイルス経口治療薬「モルヌピラビル」について、重症化リスクの高い成人に対する使用を許可した。

メルクが米リッジバック・バイオセラピューティクスと共同開発したモルヌピラビルは、リスクが高い新型コロナ患者に感染初期に投与した場合、入院と死亡が約30%低下。

FDAは重症化リスクが高い成人、および他の治療法が選択できない患者が軽・中度の症状を示している場合にモルヌピラビルの使用を認めた。ただ、骨と軟骨の成長に影響が出る可能性があることから、18歳以下への使用は許可しなかった。

このままなんとかCovid-19パンデミックも終焉を迎えてほしいものです。そろそろリア充したいですよね。


□現在は強気相場?弱気相場?

先週水曜日のFOMC後に強い株価指数の上昇と出来高が確認され、「Confirmed Uptrend(確固たる上昇相場)」に株式市場ステータスが格上げされました。

しかし、その後の木曜日、金曜日にまたも指数は下落し、「Uptrend under pressure(上昇相場頭打ち)」に格下げされました。

そして、今週23日に「Confirmed Uptrend(確固たる上昇相場)」に戻ってきました。


コロコロと相場の表情が変わっていますね。インフレ懸念による利上げ観測、オミクロン株などに逐一反応し大忙しのマーケットです。メンヘラですが、それが株式市場。食らいついていきましょう。


現在の株式市場ステータスは「Confirmed Uptrend(確固たる上昇相場)」です。積極的に投資をして良い水準です。

しかし、先週のようなダマシもあるので、安心して相場に取り組みたい方はもう一度株価指数の上昇と強い出来高を待つのもありかもしれません。若しくは少額ずつ買っていくなど工夫をしてください。「慌てる乞食は貰いが少ない。」を念頭にじっくり相場に取り組んでいきましょう。



(売り抜け日とは?)

売り抜け日カウントが以下を満たせば天井圏の下落警戒となります。

● 前日より出来高が増加し且つ指数が0.2%以上下落する売抜日カウントが4週間-5週間で3-5日起こる。(上昇中に発生)
● 2-3週間という短い期間で売抜日が4日あっても注意が必要。

(売り抜け日カウント数とは?)

前日比で0.2%以上のマイナスを前日以上の出来高ともなって記録した日を「売り抜け日」とカウント。4-5週間で4-5日あれば天井から下落の可能性あり。2-3週間という短期間で売抜日が4日ある場合も注意が必要。

「フォロースルー日」を迎えたらカウントはリセット。「フォロースルー日」は下落局面で前日比プラスで引けた日から4-7営業日後に出来高を伴って大幅に上昇した日のことを指す。また、カウントから25営業日経過後にも消滅する。

ただ、上位の条件を満たさなくても売り抜け日がカウントされることもあります。これは「指数が失速する」という意味のカウントとなっています。

指数が活発な出来高の中で上昇していくなかで、前日と同じような出来高なのに停滞した場合にカウントがなされることがあります。



3.セクター別(1week)

□ S&P500

TSLA+15.11%, NVDA+4.41%, NFLX+3.90%, MSFT+3.01%, AAPL+2.33%

大型株が強い(=株価指数上昇)。


□ セクターETF騰落率 Highlight(1week)

XBI(ヘルスケア)+7.14%, XME(素材)+4.47%, SMH(半導体)+3.90%

景気が弱く金利が低い時期にアウトパフォームするヘルスケアが強い週でした。


4. FRB動向

(FRBの金利動向に気をつける)過去を振り返ると、FRBの金利が引き上げられたことがきっかけで弱気相場が始まり不景気に突入した歴史があります。弱気相場が終わるのは金利が下げられた時が多いです。最も簡単で役に立つ金融指標はFederal Fund(FF)レート(政策金利)。

コンピューターによる自動売買や様々なヘッジサービスによってリスクの高い弱気相場で発生する株価の下落から資金を守るために、ポートフォリオの大部分をヘッジするファンドが現れました。金利が急騰する場面は相場が下落しやすい仕組みになっています。

□ 先週のHighlight(12月13〜17日)

◇ FOMC結果


[テーパリング・利上]

  • テーパリング速度を2倍速に、3月終了見込み。

  • ただしバランスシート縮小時期には言及せず。

  • インフレ一時的の表現削除。

  • 2022年利上げ予想中央値:3回利上げ(前回0.5回)

  • 2023年利上げ予想中央値:3回利上げ(前回4回)

  • 2024年利上げ予想中央値:2回利上げ(前回2回)



[経済見通し]

☆ GDP中央値

  • 2021年:5.9%→5.5%

  • 2022年:3.8%→4.0%

  • 2023年:2.5%→2.2%

  • 2024年:2.0%→2.0%

  • 長期:1.8%→1.8%

☆ 失業率中央値

  • 2021年:4.8%→4.3%

  • 2022年:3.8%→3.5%

  • 2023年:3.5%→3.5%

  • 2024年:3.5%→3.5%

  • 長期:4.0%→4.0%

☆ インフレ率

  • 2021年:4.2%→5.3%

  • 2022年:2.2%→2.6%

  • 2023年:2.2%→2.3%

  • 2024年:2.1%→2.1%

  • 長期:2.0%→2.0%

☆ コアインフレ率

  • 2021年:3.7%→4.4%

  • 2022年:2.3%→2.7%

  • 2023年:2.2%→2.3%

  • 2024年:2.1%→2.1%


FOMCのさらなる詳細は以下にまとめてあります。


□ 今週のHighlight(12月20〜23日)

◇ 米住宅販売(米連邦住宅抵当金庫)

  • 2021年の米住宅販売が7.1%増加するとの見通しを示した(従来予想は+5.3%、20年の実績は+7.3%)

  • 22年の住宅販売は-1.4%、23年は-3.8%となる見通し。供給の制約や住宅ローン金利と住宅価格の上昇が影響するとのこと。


◇ 米失業保険申請(米労働省)

  • 18日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比でほぼ変わらずの20万5000件(予想に一致)。

  • パンデミック(世界的大流行)前の水準を引き続き下回った。


◇ 米個人消費支出(米商務省)

  • 11月の個人消費支出は前月比0.6%増と堅調な伸びとなり、米経済が年末に向けて力強く推移していることが示された。

  • 内訳はサービスの消費が0.9%増と全体の伸びのほぼ全てを占めた。住宅や公共事業が牽引。

  • コア個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.5%上昇。


□ 金利動向(FF先物金利/市場の利上げ織り込み)

参考:CME FedWatch Tool


  • 3月16日時点の利上げ確率:12月3日時点28.6%→本日時点56.5%

  • 5月4日時点の利上げ確率:12月3日時点49.7%→本日時点70%

  • 6月15日時点の利上げ確率:12月3日時点75.3%→本日時点91.2%



3月16日時点の利上げ確率は先週末は49.2%、先々週末は35.9%でした。非常に加速しています。利上げはもう目の前ですね。


□ FRBのバランスシート(BS)拡大・縮小動向

BSが拡大するということは、市場に流通する資金が増大して、景気を加熱させることに繋がります。

FRBは金利を引き上げる前に、まずはバランスシート(BS)の拡大停止(テーパリング、資産買い入れプログラムの変更)を実行します。すでにテーパリングは始まっていますが、グラフではまだクリアにわからないですね。これから拡大が鈍化、ストップしていく様が見られると思いますので、楽しみですね(辛い)。

(2002/12/18-2021/12/22)

Assets: Total Assets: Total Assets



※資産買い入れプログラムについて、FRBは米国債を月800億ドル(約8兆4千億円)、住宅ローン担保証券(MBS)は同400億ドルのペースで買い入れてきました。こちらのペースを下げることを「テーパリング」といいます。




□ ブレイクイーブンインフレ率

ブレイクイーブンインフレ率とは、債券市場が期待するインフレ率を意味します。

この1年間「5年ブレークイーブンインフレ率」と「10年ブレークイーブンインフレ率」は上昇基調で進んできましたが、5月に入り一服、6月に入り下落。横ばいが続いていましたが、10月に入り遂に上昇に転じました。

その後止まらず、どこまでいってしまうのかと心配でしたが、12月に入り流石に下げてきていますね。オミクロン株懸念後退により早くサプライチェーンが回復することを願ってやみません。

(2020/01/01-2021/12/23)

10/5-Year Breakeven Inflation Rate



□ 長期金利(2/5/10年債利回り)

長期金利の動向は株式市場関係者は非常に注意深く見ています。10年債利回りと株式のバリュエーションはシーソーゲームの関係にあるからです。金利が上がれば(債券が売られれば)株の評価は下がります(あえて、非常に簡易的に表現しています、評価が下がるのはそれだけではありません)。

(2020/01/01-2021/12/22)

10・5・2Year Treasury Constant Maturity Rate

直近は横ばい状態が続いています。12月23日現在は10年債利回りは1.493%となっています。


5. プットコールレシオ

ここでは年初来からの比率(%)を観察します。直近の投資家心理を確認します。


プットコールレシオ = Put売買金額 /Call売買金額

⑴プットコールレシオ > 1 = Putの売買代金が大きい = 投資家が株式相場下落を期待(悲観的)
⑵プットコールレシオ < 1 = Callの売買代金の方が大きい = 投資家が株式相場上昇を期待(楽観的)

で算出されます。つまりプットコールレシオが1を超えているということはPutの売買代金の方が大きく下落を警戒する投資家が多いことを意味します。これは相場が悲観的なことを意味しており相場の底局面ではプットコールレシオが高くなる傾向があります。

一方、プットコールレシオが1を下回っているということはCallの売買代金の方が大きく上昇を期待する投資家が多いことを意味します。ただ、これは楽観的であるということを意味しており、相場の高値圏ではプットコールレシオは低くなる傾向があります。



PUT CALL RATIO CBOE


S&P500のプットコールレシオは0.799となっています。1を下回っています。以下に当てはまります。楽観的な状況にあります。


⑵プットコールレシオ < 1 = Callの売買代金の方が大きい = 投資家が株式相場上昇を期待(楽観的)



6. Volatility index(VIX指数/恐怖指数)


VIXとは市場で取引されている価格から逆算された「株式市場のボラティリティ」のことを指します。株価指数は上昇時は緩やかに上昇し、下落時は急落します。市場参加者が高いボラティリティを見込んでいるということは、市場に対して不安を抱いていると想像できます。

VIX指数は株価の先行きにどれほどの振れ幅(ボラティリティー)を投資家が見込んでいるかを示す「株価変動率指数」のうち、米国株を対象にした指数。通常、株安が懸念される局面で上昇し、20を超えると不安心理が高まっていると解釈される。その場合、「株価が今後1年間に約7割の確率で上下20%の範囲で変動する」と投資家が予想していることを示す。

2008年の金融危機の際にVIX指数が80超に上昇して注目を集めた。18年2月と10月にもVIX指数の上昇をきっかけに米国株が下落する場面があった。VIX指数の上昇に連動して機械的な株売りを出す「リスク・パリティ」などと呼ばれるファンドが存在するからだ。

(引用:日経新聞)


S&P500指数(VIX:青)とNASDAQ(VXN:ピンク)のVIX指数の5年推移は以下となります。

S&P500は17.95、ナスダックは21.32と非常に落ち着いた水準ですね。


7. 空売り比率 (Short Volume)

空売り比率・ショートボリュームはNYSE(ニューヨーク証券取引所)で空売りされている株式の数をNYSEの総出来高との割合で示したものです。

この比率が高ければ投資家が市場をネガティブに見ていることが読み取れます。(「空売残」はShort Interestです。ここでは触れません)

特に暴落局面で注視するのが有効で弱気相場が底をつける時というのは空売りの「急増を示す数値の上昇」が通常2回か3回現れると成長株の巨匠・オニール氏は言及しています。

それではまずS&P500指数の空売り比率は以下となります。S&P500指数で最も取引Volumeが多いETFである「SPY」で見ていきます。

SPY - Short Interest - SPDR S&P 500 ETF Trust - Short Squeeze, Short Sale Volume, Borrow Rates, Fails-To-Deliver

そこまで大きな急増を示す数値の上昇は今週はありませんでした。ナスダックについても取引ボリュームが大きいQQQでみていきたいと思います。

QQQ - Short Interest - PowerShares QQQ Trust - Short Squeeze, Short Sale Volume, Borrow Rates, Fails-To-Deliver


こちらも問題なしですね。


8. アクティブファンドマネージャーの動向(NAAIM Number)

次にNAAIM Numberです。NAAIM Numberはアクティブファンドの投資動向です。100を超えるということはアクティブファンドがレバレッジをかけていることを意味します。

12/22時点で67.02、先週末時点は52でしたので多少は上昇していますが、ファンドマネジャーもこの季節は休暇なので、レバレッジをかけている暇はないということだと想像します(ほんとに)。

休暇明けの来週月曜日から、注目ですね。

9. 注目経済指標の動向


以下が今週の経済指標発表でした(マネックス経済指標カレンダーを参考)。


10.来週の決算

来週は12月29日にFCEL(フュエルセル・エナジー)が決算です。めちゃ年末に決算発表しますね。

…師走ですね。皆さんは、今年はどんな年でしたか?


総括


・代表株価指数上昇、S&P500はまたも史上最高値を記録。
・ファイザー、メルクの新型コロナウイルス経口治療薬をFDAが承認。デルタに比べ入院が必要になる確率が低下とのデータもあり南アフリカ変異株「オミクロン(Omicron)」の脅威は後退。
・株式市場ステータスは「Confirmed Uptrend(確固たる上昇相場)」へ格上げ。市場への資金投入は慎重に。
・オミクロンの懸念から急騰していたVIXも下落し、10年債利回り共に落ち着いた水準へ。
・市場の利上げ時期は前倒し傾向続き、来年の3月には56.5%と利上げ確率が上昇。
・NAAIMナンバーは67と先週末よりも上昇しているものの、アクティブファンドのポジションの積極性は見えず。
・来週はFCEのみ決算。



早いもので本年も残すところ、あとわずかとなりました。読者の皆様には1年間大変お世話になり、心より感謝しております。尚、次回の週報は新年1月2日となります。来年も本年同様のご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

来年も、一緒に騒ぎましょう!捉えるぞ、大化け株!!



ーFINー

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