【SQ/Q1-2021決算速報】ペイメントエコシステムを提供するスクエア、2021年第1四半期の結果は売上◎、EPS◎。市場予想を上回る。CANSLIM定点観測。
このマガジンは取り上げた企業の投資を推奨する意図は全くないことを改めて確認いたします。企業の業績チェック、ビジネスモデル、新着ニュースをシンプルに定点観測する読み物です。
(スクエアの会社概要・歴史・ビジネスモデル考察は「【SQ/米国株銘柄分析】ペイメントエコシステムの覇権の掌握を目指すフィンテック企業/スクエアの企業概要・ビジネスモデル・今後の株価見通し(将来性/成長性)を決算とCANSLIMの観点から考察。」を参照。)
「Square(ティッカーシンボル:SQ)」のQ1-2021の決算結果が出ました。
After Hourで株価は好決算を受けて上昇中です。昨日のペイパルに続き、アナリスト予想をしっかりクリアしてきました。
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※YoY = year over year(前年同期比)
Q1-2021
・売上:$5.06B/YoY+267%(予想$3.33B)→◎
・EPS:$0.41(予想$0.16)→◎
・GROSS PROFIT(GP):$964M/YoY+79%
・SELLER GP:$468M/YoY+32%
・CASH APP GP:$495M/YoY+171%
4月実績:
・SELLER GPV:YoY+144%(経済再開等)
・Cash App成長は鈍化(20年4月政府資金集中)
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※企業決算分析をする上で、最優先で見なければならないのは、「実績(売上高・EPS・来期予想ガイダンス)」が決算前のアナリスト予想をしっかり上回っているかどうかです(ガイダンスを出さない企業もあるので注意)。
2021年第1四半期の結果
スクエアは、広範な「決済サービス」「POS(販売時点情報管理)システム」を提供するフィンテック企業です。
スクエアの主な収益源泉は「決済手数料」です。Cash Appを通じた個人の送金などはもちろん、POSレジを導入している店舗(レストランや小売)で発生する決済にかかる手数料もあります。
それではQ1-2021の結果を見ていきましょう。
■ Revenue(売上高)
Q1-2021:売上$$5.06B、YoY+266%(アナリスト予想:$3.33B)。
引き続き、キャッシュアプリが好調。経済再開の動きもあり、セラーエコシステム(店舗など)も回復基調です。
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※YoY = year over year(前年同期比)
Q1-2019:$0.96B
Q2-2019:$1.17B
Q3-2019:$1.27B
Q4-2019:$1.31B
Q1-2020:$1.38B(YoY+44%)
Q2-2020:$1.92B (YoY+64%)
Q3-2020:$3.03B(YoY+140%)
Q4-2020:$3.16B (YoY+141%)
Q1-2021:$$5.06B(YoY+266%)←New!!
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上記の通り、継続してYoYで強い成長を見せています。上記の売上の中でも、ビットコイン関連の売上が3.5Bのため、全体の売上よりも、後続(企業KPI)のセグメント別の売上が重要になります。
(それも込みでアナリストは予想しているので、それを超えていることはポジティブに捉えられます)
■ Gross Profit
スクエアの決算はビットコインの売上が入っているので成長率はGross Profitを見るのをおすすめします。(ビットコイン関連の粗利率はとても低いので)
Gross Profit(粗利)は$964M/YoY+79%となっています。内訳は以下です。
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・SELLER GP:$468M/YoY+32%
・CASH APP GP:$495M/YoY+171%(ビットコインを除いた場合YoY+139%)
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SELLERエコシステムとCASH APPエコシステムそれぞれの詳しい内容は過去の記事にありますので、そちらを読んでみてください。
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【SQ/米国株銘柄分析】ペイメントエコシステムの覇権の掌握を目指すフィンテック企業/スクエアの企業概要・ビジネスモデル・今後の株価見通し(将来性/成長性)を決算とCANSLIMの観点から考察。
■ EPS(1株当たりの当期純利益)
Q1-2021:(non-GAAP)EPSは$0.41(アナリスト予想$0.16)。
これで売上、EPS共にアナリスト予想はクリアしました。
EPS予想は「Yahoo Finance」で取れます。アナリストは保守的に予想を出すため、決算企業はこれを超えなければ市場から好感されません。
(Yahoo Finance:SQ)
2020年を通じたEPSは$0.82(YoY+2.5%)でした。2021年通年のアナリスト予想は$1.24です。YoY+51%を見込んでいるということでなかなかの強気です。過去のEPS(non-GAAP)とYoYの推移は以下の通りです。
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Q1-2019:$0.11
Q2-2019:$0.21
Q3-2019:$0.25
Q4-2019:$0.23
Q1-2020:$ -0.02
Q2-2020:$0.18(YoY -14%)
Q3-2020:$0.34(YoY +36%)
Q4-2020:$0.32(YoY +39%)
Q1-2021:$0.41(YoY+2050%)←New!!
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Q1-21はYoYが計測できませんが、直近3四半期で、強い成長力を見せています。これが政府の追加経済対策の援護射撃なし、また仮想通貨の波はどこまで続くのか(永遠?)しっかり決算ごとに数字を確認していきたいですね。
■ 調整後EBITDAマージン
Q1-2021の調整後EBITDAは$236M、Q1-2020は$9M。
企業KPI
■ GPV(グロスペイメントボリューム・総取扱高)
グロスペイメントボリュームは$33.1B(YoY+29%)。
■ Seller Ecosystem/Cash App Ecosystem
スクエアの業績を見る上で、2つのセグメントが存在します。
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⑴ Seller Ecosystem(加盟店向けサービス、レストランや小売など)。
⑵ Cash App Ecosystem(個人向け決済サービス:相互送金、貯金、支出、投資)
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⑴ Seller Ecosystem(加盟店向けサービス、レストランや小売など)。
(SQ-10Q)
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※YoY = year over year(前年同期比)
■ Seller Ecosystemの売上:
2018:$2.72B
2019:$3.46B(YoY+27%)
2020:$3.53B(YoY+2%)
1Q-2021:$1.02B(YoY+19.2%)←New!!
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セラーエコシステムは、今後の経済活動回復と共に伸びてくるセグメントです。アフターCovid19の世界では、スクエアの場合、Cash Appよりもこちらのセグメントが主力になってきます。
セラーエコシステムのGross ProfitはQ1-21が$468M、Q1-20が355Mであり、YoYは35%となっています。粗利が向上している点は、経営陣の優秀さを物語っているものと想像できます。
⑵ Cash App Ecosystem(個人向け決済サービス:相互送金、貯金、支出、投資)
次に「Cash App Ecosystem」の年間売上推移です。信じられない成長を見せています。仮想通貨の追い風と、コロナ感染拡大騒動に対する政府の追加経済政策がダブルで寄与しています。
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※YoY = year over year(前年同期比)
■ Cash App Ecosystemの売上:
2018:$430,051
2019:$1.11B(YoY+157%)
2020:$5.97B(YoY+440%)
1Q-2021:$4.04B(YoY+666%)←New!!
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Cash Appの売上がYoY+666%となっていて意味がわからない状況ではありますが、要するにビットコインですね。
$4.04Bの中に$3.51Bのビットコイン売上があります。BTC売上は昨年同期は$0.3Bでした。
ちなみにビットコインのGross Profitの水準は低いです。ビットコインの売上が3.51Bに対し、原価が3.44Bです。粗利率2%です。
スクエアの業績は、売上ではなく粗利益(Gross Profit)で見るべきなのです。
粗利益はビットコインの影響も少ないです。
上記でも触れましたが、以下のセラーGP、Cash App GPもYoYで見ると非常に堅調です。トランザクションベースで収益がしっかり上がっています。
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・SELLER GP:$468M/YoY+32%
・CASH APP GP:$495M/YoY+171%(ビットコインを除いた場合YoY+139%)
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Cash Appに関してはスクエアが公表している通り、2Qは政府給付金もなく、仮想通貨市場次第ではありますが、成長は鈍化が見込まれています。YoY100%超えの水準からどの程度下がるかわかりませんが、アナリスト予想とともに観察していきたいところです。
■ Seller GPV(グロスペイメントボリューム取扱高) mix by seller size
全ての規模の販売者の取扱高の推移です。Q1-2021は$29.8B(YoY+21%)。
活動自粛解放を追い風にして、取扱高は増加しています。オンラインでの非接触型商取引にかかる取扱高も引き続き堅調。
財務状況(資本配分/自社株買い/M&A)
■ 資本配分
公募や自社株買いは実施していません。
■ M&A
ユニークな音楽コンテンツや体験を通じてファンとアーティストを結びつける世界的な音楽・エンターテインメントプラットフォームである「TIDAL」の株式の過半数取得完了。
Square, Inc. Announces Plans to Acquire Majority Ownership Stake in Tidal
FY-2021ガイダンス
■ FY-2021:
COVID-19の影響で先行き不透明であることから、今後の明確なガイダンスはありませんでした。
■ Q2-2021:
4月の結果については速報として発表されています。
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・SELLER GPV:YoY+144%(経済再開、政府資金流入等)
・Cash App成長は鈍化(20年4月政府資金集中したため本年4月は成長鈍化)
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CANSLIM定点観測
「CANSLIM」は成長株発掘法の著者、ウィリアム・オニール氏の成長株の見極めに用いられる判断指標です。
オニール氏の理念は以下です。
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・CANSLIMを満たすかどうかで真の成長株かどうかを見極める。
・株価チャートで売買のタイミングを測り大きな利益の獲得を狙う。
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オニール氏は短期投資・中長期投資などと投資手法を分けず、「正しい銘柄を正しいタイミングで売買する」としています。短期投資か長期投資かという選択はそもそもないはずだ、ということです。
良い銘柄は売り時を与えてくれず、そのまま何倍株になると言っています。
過去のスクエアのCANSLIM分析を今回の決算を機にアップデートしていきましょう。
筆者が今回の決算を踏まえ、行った判定結果は以下の通りでした。パッとしません。上昇を期待できる銘柄ではありますが、大化け株にはなり得ない銘柄といえます。
C:◯
A:△
N:△
S:△
L:◯
I:△
M:△
それぞれの判定の解説は以下の通りです。
(2021年5月7日時点の株価チャート)
決算前日にバチコン売られてるんじゃが・・・。(普通に引いてる)
■ C(=当四半期のEPSと売上) ◯
C(=Current Quarterly Earnings)を見ていきます。
ここでは以下の2つを判定します。
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⑴ 当四半期のEPSが前年同期比で25〜30%以上か?
⑵ 売上が25%(または直近3四半期で伸び率が加速)以上伸びているか?
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⑴ 当四半期のEPSが前年同期比で25〜30%以上か?
当四半期のEPSが前年同期比で大きな伸び率を示しているかどうかを見ます。最低目標は25〜30%です。より保守的に見るのであれば40〜500%です。
スクエアのQ1-21のEPSはYoY+2050%です。当たり前のごとく25-30%以上の水準は当然超えています。こちらはクリアです。
⑵ 売上が25%(または直近3四半期で伸び率が加速)以上伸びているか?
次に売上の伸びを見ていきます。直近3四半期で25%以上伸びていますので、こちらもクリアですね。
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※YoY = year over year(前年同期比)
Q1-2019:$0.96B
Q2-2019:$1.17B
Q3-2019:$1.27B
Q4-2019:$1.31B
Q1-2020:$1.38B(YoY+44%)
Q2-2020:$1.92B (YoY+64%)
Q3-2020:$3.03B(YoY+140%)
Q4-2020:$3.16B (YoY+141%)
Q1-2021:$5.06B(YoY+267%)←New!!
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売上はビットコイン売上が半分以上を占めるので、無効試合にされてしまいそうですが、BTCがあまり影響しないGross ProfitでCash AppはYoY+139%を達成していますので、CANLIMの基準は大きく上回っていると考えられます。
EPS、売上双方クリアしているので、C(=Current Quarterly Earnings)は「◯」です。保守的に見ると物足りないのかもしれません。
■ A(=年間EPSの増加、高いROE水準) △
次はA(=Annual Earnings Increase)です。
ここでは以下の2つを判定します。
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⑴ 年間EPSが過去3年連続で増加しているか?
⑵ 企業のROEが最低でも17%を超えているか?
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⑴ 年間EPSが過去3年連続で増加しているか?
年間EPSが過去3年連続で増加しているかどうか、増加率が25〜50%以上の銘柄かを見ていきます。
2年目のEPSが下がっている銘柄は除外されます。また、企業のROEが最低でも17%を超えているかどうかをチェックします。
2021年1Qのみでは測定できませんが、過去の推移は判定変わらず「◯」です。
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2017年(参考):$0.27
2018年:$0.47(YoY+74%)
2019年:$0.80(YoY+70%)
2020年:$0.82(YoY+2.5%)
2021年:$1.24(YoY+51.2%、アナリスト予想)
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2019年までのEPS成長がとんでもないのですが、2020年はCovid-19の影響などもありつつ、EPSをプラスまでもっていっています。
アナリストのコンセンサス予想(2021年5月7日時点)は翌年EPSの上昇を見込んでいます。
(Yahoo Finance:Square, Inc. (SQ):Earnings Estimate)
常にアナリストが上昇を見込んでいることが大切です。率はあくまでも見通し(=個人的な意見)です。2021年は51%成長、2022年は53%成長を予測。
アナリストがスクエアに対して超強気なのがわかりますし、筆者自身も経済回復から店舗オーナーの逆襲劇が始まり、スクエアの業績がさらに向上すると期待の目で見ています。
⑵ 企業のROEが最低でも17%を超えているか?
次にROEです。最低でも17%を超えているかどうかをチェックします。
スクエアの直近12ヶ月(=ttm)のROEは9.69%です。
EPS成長率はokですが、完璧にオニールの買い基準全てをクリアするという前提であれば、A(=Annual Earnings Increase)は「×」になってしまいました。
(Yahoo Finance:Management Effectiveness)
大企業じゃもうROE17%超えってそんなのリームー!!って思ってしまうんだけど、AAPLとか自社株買いもあり80%超えてるんですよね。NVDAも29%、NFLXも29%・・・卓越した企業は化け物にもほどがありますな♪
■ N(=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値) △
N(=New Products, New Management, New Highs)を見ていきます。
株価が驚くような上昇を見せるには何か新しいもの(収益増加率を加速的に伸ばす原動力)が必要です。
Seller EcosystemもCash Appも様々なサービスが次々にリリースされ、3月2日に銀行業務も開始したとありますが、やはり仮想通貨決済の導入が一番大きなトピックではないでしょうか。
仮想通貨売買の取引自体はスクエアは2017年より実施しています。これが今追い風になっています。現在は仮想通貨への個人の投機の加熱や、既存金融市場(フィデリティ等のビットコインETF)の介入など盛り上がりを見せています。
その意味では、ビットコイン取引は新製品と捉え、N(=New Products, New Management, New Highs)は「◯」にしたいところです。
しかし、CANSLIMの「N」は株価チャートが正しく形成されたベースから抜け出て新高値をつけ始めた銘柄を買うべきとされているので◯にしたくてもできませんでした。
新高値$283.20をつけるまでは「×」になります。
スクエアのN(=New Products, New Management, New Highs)はファンダメンタル要素は「◯」、株価は「×」なので「△」になるのではないかと思います。
注意点として、どこかの運用会社のビットコインETFが承認された時点で、ファンダメンタルに陰りが見える可能性があります。スクエアでわざわざ仮想通貨に投資をする理由がなくなるからです。(ETFなら手数料も安くなります)
■ S(=株式の需要と供給) △
S(=Supply and Demand)を見ていきます。
Sは以下の複数項目があります。一つずつチェックしていきます。
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⑴ 浮動株比率(大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましい)
⑵ 自社株買いをしている企業かどうか。
⑶ 企業の負債比率が低く推移しているかどうか。
⑷ 直近の出来高(機関の大きい買いが確認できるか)
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⑴ 浮動株比率(大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましい)
(2021年5月7日時点Yahoo Finance)
例えば、発行済株式数が5,000万株ほどの比較的供給量の少ない銘柄ならある程度の買いが入ります(その分リスクも隣り合わせです)。
スクエアの総発行株式は391.88百万株です。
スクエアの浮動株の数を見ていきます。
大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましいです。
企業として株価上昇に対する努力への期待度を示します。
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
・Shares Outstanding(総発行済株式数):391.88百万株
・Float:(浮動株式数):387.28百万株
・浮動株比率:98.8%
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スクエアの時価総額は2021年5月7日時点で1019.83億(約10兆円)なので「大企業」です。
同社の浮動株比率は98.8%。浮動株比率が1%を上回っているためOKです。
⑵ 自社株買いをしている企業かどうか。
上記「財務状況」の項目でも触れましたが、オニール流の「自社株買いをしている企業が望ましい」という点については、スクエアは満たしていません。アップルやペイパルのように積極的な自社株買いを行う方針は出していません。
⑶ 企業の負債比率が低く推移しているかどうか。
次に、総資本に対する負債比率の低い企業かどうかを見ていきます。
過去2-3年で負債比率が減少していれば、利息支払い費用が削減されEPS向上が見込まれます。
特にIPOしたばかりのグロース株は収益が小さいため、この利息費用のインパクトが大企業に比べて大きいので、しっかり見ておく必要があります。
負債比率は年単位で確認したいので今回は前回の判定を引用します。Xです。
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■ 2020年
総資本:9,869.55 million
負債:7,187.981 million
負債比率:72%
■ 2019年
総資本:4,511.258 million
負債:2,836.208 million
負債比率:62%
■ 2018年
総資本:3,281.023 million
負債:2,160.522 million
負債比率:65.9%
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⑷ 直近の出来高(機関の大きい買いが確認できるか)
最後に、直近の出来高についてです。
直近3ヶ月は2/24-2/25に集中的に売られ、出来高が大きく上昇。機関投資家が売り抜けしたと確認できます。次いで、3/3-8の出来高も急増しており、こちらも連日のSQ株の売りが続きました。
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(2月23日)出来高:18.97M 株価前日比:-4.29%
(2月24日)出来高:26.12M 株価前日比:-7.51%
(2月25日)出来高:15.92M 株価前日比:-4.30%
(3月3日)出来高:12.15M 株価前日比:-4.29%
(3月4日)出来高:18.50M 株価前日比:-7.51%
(3月5日)出来高:24.77M 株価前日比:-4.30%
(3月8日)出来高:13.49M 株価前日比:-6.73%
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4/7-4/9に出来高を伴った株価上昇が確認でき、機関が買い直していることが想像できます。一度大きな調整が入った後に、早い段階で出来高が大きくなり上昇をする銘柄は有望です。
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(4月7日)出来高:17.01M 株価前日比:+3.64%
(4月8日)出来高:15.73M 株価前日比:+5.41%
(4月9日)出来高:14.97M 株価前日比:+1.27%
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しかし、この後も決算前に売られ、また今回決算の数字をもとに出来高を取り戻し上昇基調にあります。今日の相場を終えてから後続はアップデートしていきます。
今の所、S(=Supply and Demand)は、浮動株比率と負債比率、自社株買いの動向などを総合的に判断すると「△」でしょうか。
■ L(=主導銘柄か、停滞銘柄か) ◯
業界内で最高の業績を記録しているかどうかを測る「L(=Leader or Laggard)」を見ていきましょう。
ここでは業界内上位2-3銘柄に入っているかどうかを判断します。
これは、レラティブストレングス指数が80〜90代かどうかで判断をします。
レラティブストレングス指数とは、ある特定の銘柄の値動きを市場の残りの銘柄の値動きと過去五二週間にわたり比較するものです。 各銘柄に一~九九の数値が割り当てられ、高ければ評価が良いと判断されます。
2021年5月7日時点のスクエアのRS Rateは83でした。4月10日時点では94だったので陰りが見えます。昨日決算発表をした競合のペイパルは54です。
銘柄検討を実施する大前提となる80の数字を上回っています。
スクエアは、L(=Leader or Laggard)「◯」です。
■ I(=機関投資家による保有) △
I(=Institutional Sponsorship)を見ていきます。
株価を押し上げるには大きな需要が必要です。投資信託、年金基金、ヘッジファンド、保険会社など。機関投資家に保有されている銘柄であるかどうかが非常に重要になります。
また、その機関投資家は高いリターンを出す優秀な組織体(ファンド)なのか?という点も大切です。
見極め方として、最近の四半期で保有する機関投資家の数が着実に増加しているか、株主数が著しく増加しているか。
また株主となった機関投資家は誰なのかまで詳しく調べます。
「優秀なファンドが大人買いしているか」を満たさなければならないのでかなり高度な判定です。
まずはスクエアの機関投資家保有株数の直近の動きです。
2019年後半以降、機関投資家の保有分は増加しています。2020年末にかけての増加はそれほど大きくはありませんが、それでも増加していることに変わりありません。(2021年に入り直近の動きは上記のグラフでは追いきれませんが)
参考までですが、以下はMarketSmithで確認できる、スクエアに投資をしている機関投資家(ファンド)の数です。しっかり増加傾向にあります。
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Mar-20:1,247
Jun-20:1,385
Sep-20:1,550
Dec-20:1,790
Mar-21:1,871
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直近の株主は以下の通りです(Yahoo Finance:Holders)。
2020年4Q時点の株主はこちらで確認できます→【SQ/米国株銘柄分析】ペイメントエコシステムの覇権の掌握を目指すフィンテック企業/スクエアの企業概要・ビジネスモデル・今後の株価見通し(将来性/成長性)を決算とCANSLIMの観点から考察。
Top Institutional Holders(スクエア株保有上位機関投資家)
以前は上位にいなかった三井住友トラストがゴールドマンサックスより上位に君臨しています。それ以外の異動は特に観測できません。GSの持分自体も変更ありません。
Top Mutual Fund Holders(スクエア株保有上位アクティブファンド)
「Top Mutual Fund Holders」に2020年の米国株式市場の英雄「ARK」が2位に君臨しています。
ベンチマークを超えるリターンを超えることが使命とされるのがアクティブファンド。
スクエア保有第5位アクティブファンドである「Growth Fund Of America Inc(AGTHX)」の10-year average annual return (%)=14.96%となっています。
第5位の「Harbor Capital Appreciation Fund」は10-year average annual return (%)=17.39%。
S&P500の過去30年の換算1yrリターンの10%程度を上回っているため、優秀ファンドといえるでしょう。
上記2ファンドの2020年リターンは50%以上。超優秀ファンドにスクエアは購入されているということです。
ただし、「Growth Fund Of America Inc(AGTHX)」の保有持分は0.06%シェアが減少しています。この点は少し気になるところですね。
直近四半期(10-12月)で機関投資家の保有数量は横ばい、機関投資家数は増加、内容としては優秀なファンドに購入されています。3月時点でGrowth Fund Of Americaの持分がほんの少しですが減少していることを懸念し総合的に判断すると、I(=Institutional Sponsorship)は「△」という判定にしたいと思います。
■ M=(株式市場の方向) △
M=Marker Directionはスクエア株に関わらず全銘柄に関わることです。
「強気相場」であればハイパーグロース株を積極的に買っていっても良いとされています。2021年5月7日現在は「売り圧力有りの強気相場」です。
その根拠は週刊レポートで確認してください(毎週末に定期更新)。
2021年4月16日時点の株価チャート
CANSLIMで銘柄選定ができれば、あとはチャートでタイミングを測るだけです。すでにCANSLIMの判定結果は芳しくありませんが、チャートを一応見ていきましょう。
上記「S」でも述べましたが、2021/2/23-25、3/4-5に集中的に売られています。これは機関投資家の売り抜けと判断できますが要因はマルチプル・コンストラクションの問題が大きいです。グロース株は全面急落の期間が5月7日現在も続いています。
4/7-9に出来高の大きい買いが見えますのでここで機関投資家は戻って来ているのではないかと推測できました。株価もそれに合わせてしっかり上昇。その後4/14に出来高を伴った大きな売りが一回、そして5月6日に3ヶ月平均の出来高を大きく超えて売り圧力が集まりました。
今日の決算発表後にプレマーケットで2%以上の上昇を見せていますが、今の地合いから、本日どうなるのか全く予測できませんので、今日の相場後にSの出来高の項目とこちらは更新します。
決算が良ければ基本は機関投資家が購入し買いで良いですが、現在のマーケット状況であれば、新高値をつける段階まで待つのも選択肢かと思います。
-完-
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