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(米国株式市場4月25日〜29日)今週の合戦の振り返り!代表株価指数は乱高下の末に大きく下落。引き続き「Market in Correction」。利上げ見込みは6月の75bps利上げを100%織り込む。一方、Put Call Ratioは依然総悲観からは距離がある。来週はDDOG、NET、ABNB、SQ等の決算が控える。

(全文無料で読めます)

おはようございます。非常に値動きの荒い一週間でしたね。

ナスダックは3%以上の上限を3日間も行なってポジションを持ってる方にとっては心臓が休まる暇がない相場だったと思います。正直、多くのポジションを抱えていたら私生活に支障をきたし出すレベルだったと思います。

いやぁ、それにしても先々週の金曜日に「Market in Correction」になってから下落の足が早くなっておるの。

先週の週報を読んで、しっかりリスク管理できていた衆が一人でも助かってくれておったら嬉しい限りぞ!

思えば先々週の猿の「36計逃げるに如かず」というアイキャッチが神がかっておったの(なんかいいのある?と聞かれて提言したのワシじゃが..)

今週はFTDを迎えるまではじっと待たれるが吉ということで風林火山の「山」を強調した形とさせてもうろうた!

「Market in Correction」では徹底したリスク管理が重要となります。先週号の記述です。

相場環境は赤信号です。オニール流では新規購入は控えるのが鉄則です。更にいつもより損切りと利確の幅を浅くすることが重要となります。

損失が出ている銘柄からは撤退して、含み益の銘柄も基準となる線(50MAや21EMA)を下回る場合には利益を確定していくことが望ましいでしょう。

先週の週報

↓先週の週報


◇ 大事なお知らせ
本文に入る前に、一点大事なお知らせです。今まで本記事のような週報は無料で配信してきましたが、今後さらなる「クオリティの底上げ」と、「発信領域の拡大」をしていくべく、2022年5月1日より有料マガジンにて発信させていただく運びとなりました。今後とも末永く、何卒よろしくお願い申し上げます。

(マガジンの詳細説明記事)


それでは激動の一週間を振り返っていきたいと思います。

1. 今週の合戦の振り返り(要約ver.)


・4指数ともに下落し引き続き50MAと200MAを下回る。ナスダックとラッセル2000に関しては年初来安値を更新。
・ナスダックは200MAを上回っている銘柄の比率が17%しかなくコロナショック以降の最低水準。8割を超える銘柄が中長期で下落局面に。
・GAFAM決算ではAWSが営業赤字でコスト改善の見通しに不透明さがあるAMZNの弱さが際立ち▲13.9%の下落となっている。
・1QのGDPは1.4%の下落となったが個人消費の伸びは強く+2.7%と前期から加速。
・昨年3Qの結果がパウエルのタカ転の契機となった雇用コスト指数は1Qは前期比で1.4%と2001年以降過去最大で積極的な金融引き締め姿勢を補強する内容となった。
・5月の50bpsの利上げ確率は100%だが衝撃なのは6月の75bps利上げ確率も100%織り込む動きに。
・年末までの利上げ織り込みは最低でも11回、中央値は12回という驚愕の水準となり先週から大きく進展している。
・Put Call Ratioは一時1.08まで上昇したが0.92で引けており恐怖の極致からは、まだ遠い。VIXも33と上昇しているが総悲観というには早い。
・水曜日時点の機関投資家のポジションは42と低い水準で機関投資家がポジションを落としているのが分かる。
・来週も引き続き決算Week継続。ZI、ABNB、REGN、NTR、DDOG、SHOP、SQ、NETなどが控える。



2. 代表株価指数動向(&強気相場 or 弱気相場判定)

□ 各株価指数の動き

二週連続で大きな下落に見舞われていますね。二週間でS&P500指数は6%、ナスダックに至っては8%近く下落しています。

各指数の年初からの値動きは以下となります。

ナスダック総合指数:▲21.16%
S&P500指数:▲13.31%
ラッセル2000指数:▲14.58%
ダウ平均株価指数:▲6.66%

ナスダックは20%以上の下落となり調整相場入りしていますね。

それでは重要なS&P500指数とナスダック総合指数を詳しく見ていきたいと思います。

□ S&P500指数

まず週足と日足をみていきましょう。以下では各移動平均線は以下を表します。()は週足の場合です。

赤:50日移動平均線(≒10週移動平均線)
緑:100日移動平均線(≒20週移動平均線)
黒:200日移動平均線(≒40週移動平均線)

【週足】

【日足】

200MAと100MAで跳ね返されてから一気に大きく下落しています。金曜日の引けである4,131.76は開戦時の底値4,114.65にあと少しというところまで来ています。

以下は4/21からの10分足ですが引けにかけて弱い日が多く見事に弱気相場の特徴となっていますね。

ではA/D Lineについてみていきましょう。

AD line(Advance/Decline Line)」とは以下のことぞ!

(今日上昇した銘柄数 - 今日下落した銘柄数) + 昨日のAD Line

「AD line」が上昇していれば上昇している銘柄数が増加しているということで勢いがあるということを意味しておる!

AD Lineが上昇しているのに指数が下落していたら、それは影響の大きい大型銘柄が下落しているということを意味しておる。

以下はS&P500指数の値動き(上)とAD Line(下)です。AD Lineは2021年を通じて上昇しつづけていましたが、2022年に入り停滞から下落に転じています。

今週も下落した銘柄の方が多かったということで、相場の環境としてはよろしくないですね。

次に長期的な趨勢を見る上で重要な200MAを上回っている銘柄の比率を見てみましょう。現時点で34%と低くなっていますが、まだ開戦時の底よりは上にいます。(後でお伝えするナスダックは更に深刻です)

総括すると、2/24の底はまだ防衛しているものの脆弱性がかなり増しているという状況ですね。

□ ナスダック総合指数

次にナスダック総合をみていきましょう。移動平均線の色は同様です。

赤:50日移動平均線(≒10週移動平均線)
緑:100日移動平均線(≒20週移動平均線)
黒:200日移動平均線(≒40週移動平均線)

【週足】

【日足】

基本的に同様の動きとなってますがナスダックについては3月に記録した底値12,555.35を遂に下回ってしまっています。

AD Lineを見てみましょう。上昇していた2021年から一貫して下落基調です。2021年は多くの銘柄が下落する中でGAFAM-Tなどの大型銘柄が上昇して指数を引き上げていました。

しかし、2022年に入って大型銘柄もこけ初めていよいよ指数が腰折れしているという状況になります。

200MAを上回っている銘柄の比率は僅か17%しかありません。つまり8割以上の銘柄は中長期下落に入っているということになります。

200MAを上回っている銘柄の比率はコロナショック 以降では最低を更新していますね。ナスダックの脆弱性はS&P500指数よりも深刻です。

□ 現在は強気相場?弱気相場?

先週金曜日に売り抜け日がナスダックとS&P500で6になったことに加えて、金曜日にその3/16のFTDの水準を下回ったことで再び「Market in correction(調整相場)」へと格下げとなりました。

現在は上昇の試しからS&P500指数で3日経過、ナスダック総合指数で2日経過しました。出来高を伴って1.5%以上上昇するフォロースルーデイ(FTD)待ちの状態となります。(ただ、さすがに来週の月曜にS&P500で大きな上昇となっても、それを持ってFTDとはならないと思いますが…)


相場環境は引き続き赤信号です。

先週と同じ記述になりますがオニール流では新規購入は控えるのが鉄則です。更にいつもより損切りと利確の幅を浅くすることが重要となります。

損失が出ている銘柄からは撤退して、含み益の銘柄も基準となる線(50MAや21EMA)を下回る場合には利益を確定していくことが望ましいでしょう。


■ それぞれの言葉の定義:

◇ フォロースルーデイ(FTD)

① 主要指数(S&P500/NASDAQ)が弱く寄りつき、強く引ける日(前日比プラス)を待つ =上昇の試し。

② ①が出現してから4~7日目(が理想、それ以前もその後も出現する)に、出来高を伴って約1.5%以上の上昇を見せる日を待つ。

◇ 売り抜け日(Distribution Day)

前日より「出来高」が増加し且つ「指数が0.2%以上下落」する。

◇ 売り抜け日カウント

以下を満たせば天井圏の下落警戒となる。

● 4週間-5週間で売り抜け日が3-5日起こる(市場上昇中にも発生)
● 2-3週間という短い期間で売抜日が4日あっても当然注意が必要

カウントから25営業日経過後には消滅する。また、上記の条件を満たさなくても売り抜け日がカウントされることもあり、これは「指数が失速する」という意味のカウントとなる。

株価指数が活発な出来高の中で上昇していくなかで、前日と同じような出来高なのに停滞した場合にカウントがなされることがある。

■ 参考:


3.セクター別(1week

□ S&P500

AMZN▲13.90%、TSLA▲13.36%、DIS▲5.61%、JPM▲5.88%
FB+8.89%

今週はGAFAMの決算が立て続けにありましたね。信太郎と秀次郎でお伝えしてきました。

所感としては2020年末から決算を追い始めてからのGAFAM決算の中では一番弱かったです。2021年度の高い成長の反動で成長率の減速が鮮明になってきています。

特に金曜日に下落したAMZNはAWS以外は営業赤字となっており、まだしばらく影響があるというガイダンスもあり金曜日に▲14%の下落となってしまっています。


□ セクターETF騰落率 Highlight(1week)

XBI:Biotech ETF ▲7.53%
XLY:一般消費財 ETF ▲7.36% (AMZNの影響あり)

□ 勢いのあるセクターと主要銘柄

最近株価の勢いがある銘柄は重厚長大の銘柄ばかりですね。まさに弱気相場の特徴です。グロース企業が多くを占めるセクターが上位にほとんどありません。

Steel-Producerの代表銘柄
STLD
NUE
CLF
どれも既にエントリーポイントから遠く上方乖離しています

Medical-Whlsle Drg/Supplの代表銘柄
MCK
ABC
CAH

Mining-Gold/Silver/Gemsの代表銘柄
RGLD
AUY
CMCL

どれもチャート的にもマーケット環境的にも敢えてこの環境で狙えるようなものではありませんね。やはり、ここはセオリー通り静観です。

4. FRB動向

(FRBの金利動向に気をつける)過去を振り返ると、FRBの金利が引き上げられたことがきっかけで弱気相場が始まり不景気に突入した歴史があります。弱気相場が終わるのは金利が下げられた時が多いです。最も簡単で役に立つ金融指標はFederal Fund(FF)レート(政策金利)。

コンピューターによる自動売買や様々なヘッジサービスによってリスクの高い弱気相場で発生する株価の下落から資金を守るために、ポートフォリオの大部分をヘッジするファンドが現れました。金利が急騰する場面は相場が下落しやすい仕組みになっています。

↓↓(参考元:米FRB特集

□ 先週のイベント(4月18日〜4月22日)

今週は重要な経済統計がなかったので要人発言を纏めていきます。

◇要人発言①:パウエルFRB議長
5月3─4日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(bp)の利上げが「検討される」と述べた。
・インフレ率がFRB目標である2%の約3倍に達していることから、「もう少し迅速に動くことが適切だ」とし、「50bp(の利上げ)は5月会合で検討されるだろう」と語った。
・「FRBは政策ツールを利用し、インフレに対応していくことにコミットしている」と表明。
・FRBは金融政策の引き締めによってモノやサービスの需要が抑制され、企業の採用意欲が低下し、結果として「持続不可能なほど過熱した」賃金の上昇が抑制されることを期待している。

→ 木曜日はこの50bpsへの言及もあり株価がよわ含みました。

◇要人発言②:ブラード (2022年投票権あり タカ派)
政策金利を年内に3.5%まで引き上げるとの見方を改めて示す
・ただ、いずれの会合でも50ベーシスポイント(bp)を上回る利上げは必要ない(75bpsの利上げを否定)
・潜在成長率を上回る経済成長が見込まれる中、米経済は景気後退(リセッション)に陥らないとの見方を示し、積極的な利上げを行っても失業率は低下し続ける可能性があると指摘。

→元々タカ派であり特段驚きはなし。しかし、3.5%って14回利上げなんですけど無茶苦茶いいますね。。

◇要人発言③:エバンス(2022投票権なし タカ派)
年末までに2.25─2.50%に引き上げるとの見通しを示す
・「おそらく、われわれは(2.25─2.50%とみられている)中立水準を超えていくだろう」と語る

◇要人発言④:ボスティック (2022投票権なし ハト派)
世界経済が減速する可能性があることが、連邦準備理事会(FRB)が利上げを実施していく上で「慎重になる」理由になる
・夏から秋にかけて経済がどの程度、好調さを維持できるか確かめるのは容易でない

□ 今週のイベント(4月25日〜4月29日)

◇米GDP:第1四半期は年率換算で1.4%減 vs予想+1.1%
貿易赤字の拡大(▲3.2%)や在庫の伸び鈍化(▲0.8%)が成長にブレーキ
・一方、個人消費の伸びは強く+2.7%と前四半期の+2.5%から加速
・食品・ガソリン価格の高騰にもかかわらず消費が衰えている兆候は見られない

リセッションの定義は2四半期連続でGDPがマイナスというものじゃからリーチなわけじゃが、内容としてはGDPの3分の2をしめる個人消費は堅調で足腰の強さを確認することとなったの。

ロイターによるエコノミストのコメントは以下となっています。

BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サール・グアティエリ氏は「米経済はなお一定の底堅さを示しているが、金利上昇を背景に、今年と来年にかけてより緩やかなペースでの成長が始まるシグナルが発せられた」と指摘。「マイナス成長となったものの、米連邦準備理事会(FRB)はインフレ対応に向け、5月に積極的な利上げを実施する以外ほぼ選択肢はない」と述べた。

https://jp.reuters.com/article/usa-economy-gdp-idJPKCN2MK1JU

◇米雇用コスト:第1四半期は前期比1.4%上昇

伸びは2021年第4四半期の1.0%上昇から加速し01年の統計開始以降で最大。予想は1.0%だった
・賃金インフレの高まりを示唆し、米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締め姿勢を補強する内容

この指数は昨年末のパウエルのタカ転の契機となったと知られる指数じゃからな。前年ではなく前期比1.4%の上昇じゃから、インフレ加速を想起させ株には重しになったじゃろうな。金曜日の急落の要因じゃと思う。


◇米PCE価格指数:3月の結果は前年比6.6%上昇 

・月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比6.6%上昇(予想は6.7%上昇)と、前月の6.3%から加速し、1982年1月以降で最も高い伸び
・ただPCEコアデフレータは5.2%増(予想5.3%増)は2月の5.3%増からは鈍化
・PCEは前月比でも0.9%上昇。伸びは前月の0.5%から加速し、05年9月以来の高さとなった。
個人消費支出は前月比1.1%増加。2月は当初の0.2%増加から0.6%増加に上方改定された。市場予想は0.7%増加


□ 金利動向(FF先物金利/市場の利上げ織り込み)

参考:CME FedWatch Tool


◇ 前提知識:FRBによる金利引上げ(3月に1回目は実施済み)

  • 1回目:0%-0.25% → 0.25%-0.50%

  • 2回目:0.25%-0.50% → 0.50%-0.75%

  • 3回目:0.50%-0.75%→ 0.75%-1.0%

  • 4回目:0.75%-1.0% → 1.0%-1.25%

  • 5回目:1.0%-1.25% → 1.25%-1.50%

  • 6回目:1.25%-1.50% → 1.50%-1.75%

  • 7回目:1.50%-1.75% → 1.75%-2.00%

  • 8回目:1.75%-2.00% → 2.00%-2.25%

  • 9回目:2.00%-2.25% → 2.25%-2.50%

  • 10回目:2.25%-2.50% → 2.50%-2.75%


基本は25bpsずつの利上げですが、50bps利上げすることも考えられます。

◇ 5月4日会合(FOMC)時点で予想される利上げ回数/確率:

5月の50bpsの利上げは100%織り込まれました。わずかではありますが75bpsの利上げも0.4%あります。


  • 2回目:0.25%-0.50% → 0.50%-0.75%

  • 3回目:0.50%-0.75%→ 0.75%-1.0%



◇ 6月15日会合(FOMC)時点で予想される利上げ回数/確率:


  • 4回目:0.75%-1.0% → 1.0%-1.25%

  • 5回目:1.0%-1.25% → 1.25%-1.50%

  • 6回目:1.25%-1.50% → 1.50%-1.75%


ちょっと何度も目を凝らして狼狽したのですが75bpsの利上げを100%織り込んでしまっています。100bpsの利上げ観測まで出てきてしまっていますね。

◇ 年末時点で予想される利上げ回数/確率:

年末時点の織り込みは以下となっています。

因みに先週時点は以下となります。

※()は先週時点の%

  • 8回以上利上げ:100%(100%)(1.75%-2.00% → 2.00%-2.25%)

  • 9回以上利上げ:100% (100%)(2.00%-2.25% → 2.25%-2.50%)

  • 10回以上利上げ:100% (98.3%)(2.25%-2.50% → 2.50%-2.75%)

  • 11回以上利上げ:100% (83.8%)(2.50%-2.75% → 2.75%-3.00%)

  • 12回以上利上げ:70.4% (45.5%)(2.75%-3.00% → 3.00%-3.25%)

  • 13回以上利上げ:25.1% (9.2%)(3.00%-3.25% → 3.25%-3.50%)

  • 14回以上利上げ:4.2% (0.4%)(3.25%-3.50% → 3.50%-3.75%)

  • 15回以上利上げ:0.3% (0.0%)(3.50%-3.75% → 3.75%-4.00%)


見比べていただければわかりますが大きく利上げ見込みが進展しています。中央値ベースで11回→12回と変遷しています。

先週は最低9回でしたが、今週は最低でも11回の利上げ見込みとなってきており1週間で大きく利上げ見込みが変遷しています。

前回の利上げによる最高到達地点が2.25%-2.50%で約3年かけて9回の利上げをじっくりと行っていったことに比べると、いかに急激なペースであるかご理解いただけると思います。

そして早い利上げペースは株価に対して深刻な影響があります。

以下ご覧いただければわかる遠い、早いペースでの利上げ(橙色)の場合最初の利上げから4ヶ月後に深刻な下落となっています。

今年でいうと7-9月あたりを筆者は警戒していますが、現在既にCorrectionであること考えるとこのまま奈落まで行く可能性もあります。

□ FRBのバランスシート(BS)拡大・縮小動向

BSが拡大するということは、市場に流通する資金が増大して、景気を加熱させることに繋がります。FRBは金利を引き上げる前に、まずはバランスシート(BS)の拡大停止(テーパリング、資産買い入れプログラムの変更)を実行します。すでにテーパリングは3月に終了しています。確かに横ばいになっていますね。

5月からはQTにより下落に転じることが想定されています。

(2020/01/01-2022/04/29)


※資産買い入れプログラムについて、現在では米国債を月800億ドル(約8兆4千億円)、住宅ローン担保証券(MBS)は同400億ドルのペースで買い入れています。こちらのペースを下げることを「テーパリング」といいます。


テーパリングはFRBのBSの「拡大」を細切にして終了させていくことですが、その後利上げ、そして次はBSの「縮小」が待っています(テーパリング→利上げ→BS縮小/QT)。

BSの縮小ですが、量的緩和で購入した債券などが償還された時に再投資しない場合はFEDのBSは縮小していきます。このようにバランスシートを縮小することをQT(Quantitative Tightening)といいます。

前回は4回利上げがおこなわれたあとQTが実施されましたが、今年はインフレ動向次第で前倒しで行われる可能性も頭に入れておきましょう。すでに5月に実行するコンセンサスで進んでいます。

□ ブレイクイーブンインフレ率

ブレイクイーブンインフレ率とは、債券市場が期待するインフレ率を意味します。11月に上昇しましたが、その後に年末にパウエル議長がインフレは一時的という認識を改め引き締めが意識されたことで暫く沈静化していました。

2月に入り地政学リスクで原油や小麦が急騰し、債券市場もインフレを懸念している動きが明確になっていました。今は積極的な引き締めが意識され、その動きが漸く一服しています。

とはいえ5年の3.3%はまだまだ相当に高い水準です。(悲しいことに)デフレ国家の日本人からするとあまり想像できないかもしれませんが、アメリカ人は今物価高で相当苦しいはずです。

(2020/01/01-2022/4/29)

□ 長期金利(2・5・10年債利回り)

長期金利の動向は株式市場関係者は非常に注意深く見ています。10年債利回りと株式のバリュエーションはシーソーゲームの関係にあるからです。

金利が上がれば(債券が売られれば)株の評価は下がります(あえて、非常に簡易的に表現しています、評価が下がるのはそれだけではありませんし株価指数を観察する方が大切です)。

【2年債】2.698%

【5年債】2.958%

【10年債】2.889%

今週は中盤に下落しましたが堅調な個人消費と非常に高い雇用指数の伸びを受けて金曜日に上昇してひけていますね。わかりやすく10年債の1週間の値動きは以下となります。


一時発生した逆イールドは解消していますが、以下の1年前とのイールドカーブの比較を行うと顕著にベア・フラットにングしていることが読み取れますね。


(参照)

グロース株が輝くのはブル・フラット二ングからブル・スティープンニングです。グロース株投資にとってはターンを待つフェーズですね。


5. プットコールレシオ

ここでは年初来からの比率(%)を観察します。直近の投資家心理を確認します。


プットコールレシオ = Put売買金額 /Call売買金額

⑴プットコールレシオ > 1 = Putの売買代金が大きい = 投資家が株式相場下落を期待(悲観的)
⑵プットコールレシオ < 1 = Callの売買代金の方が大きい = 投資家が株式相場上昇を期待(楽観的)

上記で算出されます。つまりプットコールレシオが1を超えているということはPutの売買代金の方が大きく下落を警戒する投資家が多いことを意味します。(オニール流では1.15が基準)
これは相場が悲観的なことを意味しており相場の底局面ではプットコールレシオが高くなる傾向があります。

一方、プットコールレシオが1を下回っているということはCallの売買代金の方が大きく上昇を期待する投資家が多いことを意味します。ただ、これは楽観的であるということを意味しており、相場の高値圏ではプットコールレシオは低くなる傾向があります。


火曜日にPut Call Ratioは底うちのサインとなる1.15に近い1.08となりましたが金曜日時点では0.92とまだまだ恐怖の極致というには足りない水準ですね。


6. Volatility index(VIX指数/恐怖指数)

VIXとは市場で取引されている価格から逆算された「株式市場のボラティリティ」のことを指します。株価指数は上昇時は緩やかに上昇し、下落時は急落します。市場参加者が高いボラティリティを見込んでいるということは、市場に対して不安を抱いていると想像できます。

VIX指数は株価の先行きにどれほどの振れ幅(ボラティリティー)を投資家が見込んでいるかを示す「株価変動率指数」のうち、米国株を対象にした指数。通常、株安が懸念される局面で上昇し、20を超えると不安心理が高まっていると解釈される。その場合、「株価が今後1年間に約7割の確率で上下20%の範囲で変動する」と投資家が予想していることを示す。

2008年の金融危機の際にVIX指数が80超に上昇して注目を集めた。18年2月と10月にもVIX指数の上昇をきっかけに米国株が下落する場面があった。VIX指数の上昇に連動して機械的な株売りを出す「リスク・パリティ」などと呼ばれるファンドが存在するからだ。

(引用:日経新聞)

S&P500指数(VIX:青)とNASDAQ(VXN:ピンク)のVIX指数の5年推移は以下となります。

VIXは33、VXNは38.25と高くなっています。ただ、コロナショックの時のジャンプを見ていただければ分かる通り、まだ恐怖の極致というには遠いですね。

オニール流の相場の見方ではPut Call RatioやVIXはあくまで補助的な指標です。一番重要なのは2の項目でお伝えしている株価指数の値動きと出来高です。

7. 空売り比率 (Short Volume)

空売り比率・ショートボリュームはNYSE(ニューヨーク証券取引所)で空売りされている株式の数をNYSEの総出来高との割合で示したものです。

この比率が高ければ投資家が市場をネガティブに見ていることが読み取れます。(「空売残」はShort Interestです。ここでは触れません)

特に暴落局面で注視するのが有効で弱気相場が底をつける時というのは空売りの「急増を示す数値の上昇」が通常2回か3回現れると成長株の巨匠・オニール氏は言及しています。

それではまずS&P500指数の空売り比率は以下となります。S&P500指数で最も取引Volumeが多いETFである「SPY」で見ていきます。

特段大きな空売りはまだ見られません。

ナスダックについても取引ボリュームが大きいQQQでみていきたいと思います。意外なことにむしろ空売り比率は少ない状態となっています。

空売りからみても総悲観には早い状態ですね。

8. アクティブファンドマネージャーの動向(NAAIM Number)

次にNAAIM Numberです。NAAIM Numberはアクティブファンドの投資動向です。100を超えるということはアクティブファンドがレバレッジをかけていることを意味します。

4/27時点で42.65となっています。

今週水曜日時点、つまりナスダックが3.8%下落した火曜日に大きく機関投資家がポジションを落としたことが読み取れます。金曜日に更に落としたことが想定されますね。

2020年以降に関してみると2022年3月を除けば最低水準となっています。

9. 注目経済指標の動向

以下が今週の経済指標発表でした(マネックス経済指標カレンダーを参考)。(「4.FRB動向」項目に詳細記載)。

10.来週の決算

以下は来週の決算です。来週が本番の週ですね!

来週はワシがDDOGとNETを、猿がABNBとSHOPとSQの決算速報をお届けいたす!

今週の決算のおさらいは以下でお願いします!

11. 今週の合戦の振り返り(要約ver.)


・4指数ともに下落し引き続き50MAと200MAを下回る。ナスダックとラッセル2000に関しては年初来安値を更新。
・ナスダックは200MAを上回っている銘柄の比率が17%しかなくコロナショック以降の最低水準。8割を超える銘柄が中長期で下落局面に。
・GAFAM決算ではAWSが営業赤字でコスト改善の見通しに不透明さがあるAMZNの弱さが際立ち▲13.9%の下落となっている。
・1QのGDPは1.4%の下落となったが個人消費の伸びは強く+2.7%と前期から加速。
・昨年3Qの結果がパウエルのタカ転の契機となった雇用コスト指数は1Qは前期比で1.4%と2001年以降過去最大で積極的な金融引き締め姿勢を補強する内容となった。
・5月の50bpsの利上げ確率は100%だが衝撃なのは6月の75bps利上げ確率も100%織り込む動きに。
・年末までの利上げ織り込みは最低でも11回、中央値は12回という驚愕の水準となり先週から大きく進展している。
・Put Call Ratioは一時1.08まで上昇したが0.92で引けており恐怖の極致からは、まだ遠い。VIXも33と上昇しているが総悲観というには早い。
・水曜日時点の機関投資家のポジションは42と低い水準で機関投資家がポジションを落としているのが分かる。
・来週も引き続き決算Week継続。ZI、ABNB、REGN、NTR、DDOG、SHOP、SQ、NETなどが控える。




◇ 大事なお知らせ
本文に入る前に、一点大事なお知らせです。今まで本記事のような週報は無料で配信してきましたが、今後さらなる「クオリティの底上げ」と、「発信領域の拡大」をしていくべく、2022年5月1日より有料マガジンにて発信させていただく運びとなりました。今後とも末永く、何卒よろしくお願い申し上げます。

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