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【AFRM/米国株銘柄分析】2021年上場「Buy Now, Pay Later」銘柄!「アファーム(Affirm)」の概要, ビジネスモデル, 今後の株価見通し(将来性/成長性)を直近決算とオニール流CANSLIMの観点から考察。SQのAfter Pay買収で動意づく株価の行方や如何に。

このマガジンは取り上げた企業の投資を推奨する意図は全くないことを改めて確認いたします。企業の業績チェック、ビジネスモデル、新着ニュースをシンプルに定点観測する読み物です。

金融テクノロジー企業「Affirm Holdings, Inc.(AFRM/アファーム)」を取り上げます。AFRMは2021年1月13日に上場(Form S-1)。

(最新決算の詳細は以下目次記事に掲載しています↓↓)


上場後、一時は$146の株価を付けましたが、2021年8月現在は60台で燻(くすぶ)っています。


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ハイパーグロース株の中では、株価の回復が出遅れています。まぁIPOして間もないからね。あとで上がるならOKです(`Д´)ゞ

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(2021年8月9日時点)

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さて、今回の記事では、「Affirm(AFRM/アファーム)」の会社概要・ビジネスモデルと今後の「株価」の成長性を、直近の決算結果(Q3-2021)、そしてオニールの成長株発掘指標である「CANSLIM」の側面から掘り下げていきます。


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秀次郎(Twitterアカウント)が担当者として随時更新していく予定じゃ。フォローしておいてくだされ。

中身は目次から知りたいところだけジャンプして読むと良いぞよ。全部読むのは大変じゃし、まじで疲れる故に投資を検討した時に「そういえば」的に活用していただけると有難いぞよ。わい自身も活用しておる。

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会社概要


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・企業名:Affirm Holdings, Inc.(ティッカーシンボル:AFRM)
・本社:San Francisco, California, U.S.
・設立年月日:2012年
・IPO(上場):2021年1月13日(NASDAQ)
・主要事業概要:「Buy Now, Pay Later」。消費者が利用する分割払いローンの金融機関として事業展開。

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会社の歴史

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・2012年:HVFの初期ポートフォリオとして設立。
・2014年:PayPal共同設立メンバーであるMax LevchinがCEOに就任。
・2017年:小売店での買い物にローンを組むことができる消費者向けアプリを発表。

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・2019年:Walmartとの提携を発表(その他Shopify、BigCommerce、Zen-CartなどのEコマースプラットフォームとも提携)。

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・2021年1月13日:NASDAQ上場(Form S-1)。IPOで約12億ドルを調達。カナダ大手のBuy Now, Pay Later企業であるPayBright Inc.の買収を完了。
・2021年5月:Returnly(金融テクノロジー企業)を買収。


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CEOの経歴

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CEOはMax Levchin(レフチン)氏。PayPalマフィアの一人です。

ここでは記事の趣旨とズレるのでPayPalマフィアそれぞれのプロフィールには触れませんが、Business Insiderの記事が面白いので読んでみると良いかと思います。


Meet The PayPal Mafia, The Richest Group Of Men In Silicon Valley

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(11)の前の方で座っている男。この男こそ、AFRMのCEO、レフチン氏です。

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レフチンがPayPalマフィアの中でもカーストが高かったことがこの写真からも読み取れる・・・(ゴクリ AFRM、要チェックや。

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「ペイパル・マフィア」の中でも「ドン」と呼ばれるピーター・ティール。

ペイパル共同創業者/リード・ホフマンは「LinkedIn」を創業。日本でも転職活動で活発に使われているサービスです。

ペイパル共同創業者/チャド・ハーリーは日本人にもすっかりお馴染みの「Youtube」の共同創業者。


PayPalマフィアのメンバーで、テスラ(TSLA)のイーロン・マスク氏に加え、上記三人は特に有名ですね。


レフチン氏はウクライナ系アメリカ人のソフトウェアエンジニア。1998年にPayPalを共同設立。


その後PayPalをエグジット(株式売却)。3,400万ドル(約34億円以上)を手にします。

3,400万ドルを元手に「Slide」を創業。Googleに1億8200万ドルで買収されます。(Googleのエンジニアリング担当副社長に就任)


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34億円を手にしても飽き足らず、次の事業へ。そして次はGoogleに買収される。GoogleのSlide買収は成功に至らなかったみたいですけどね。

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Googleを去った後に、2004年にYelpの設立に携わり(同社の筆頭株主)、みんなが知っているメモアプリ・Evernote、Yahooの取締役に就任。PinterestKaggleYammerなどにもエンジェル投資を行っています。そして漸く、AFRMを設立。


スタートアップ輩出プロジェクト、HVF(Hard, Valuable, and Fun)もレフチン氏が代表です。非常に精力的に活動していますね。

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PayPalを売却し、自分も起業しながら他スタートアップにもどんどんエンジェル投資。超優良企業の株も持っているみたいですが、今どれくらいの資産家なんでしょ。

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色々調べてみると、レフチン氏の生い立ちをForbsが掲載していたのでこちらも抜粋します。物理学者の息子であり、数学の天才と呼ばれていたのですね。

1986年4月26日に当時10歳だったマックス・レヴチンとその家族は、チェルノブイリ原発から南へ90マイル(約140キロ)離れたウクライナのキエフに住んでいた。ソ連政府が原発事故の被害を隠蔽しようとする中、物理学者だったレヴチンの母親は放射能の危険性に気づき、彼と弟を連れて、何百マイルも離れたクリミアの祖母の元へと避難した。

クリスマスの休暇以来、妻と2人の子供と共にハワイ島で過ごしているレヴチンは、裸足に短パン、アファームのロゴが書かれた黒いTシャツという格好で、ビデオ取材に応じた。数学の天才と呼ばれた彼は、23歳の時にオンライン決済企業のPayPalを共同創業した。

(引用:日経新聞「クレジットカードを破壊するPayPalマフィア、45歳の連続起業家の挑戦」


主要プロダクト(クレカ不要の割賦サービス「Buy Now, Pay Later」)

AFRMは金融テクノロジー企業。提供しているサービスはクレカ不要の割賦サービスです。

簡単に言えば、AFRMのアプリを通せば「ECショップのモノを分割払いで買える」ということです(旅行パッケージも買えます)。AdidasのTシャツが1万円であれば2,000円/月払い、とかできるってことです。

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ターゲットを若い世代(25歳~34歳のミレニアル世代)に置いていることも特徴的です。まだクレジットカードで分割払いなどあまり経験のない世代を取り込んでいます。Eコマースの利用拡大が、AFRM事業の大きな追い風になっています。(もちろん個人のクレジットスコアによって金利は変動)

ミレニアル世代はクレジットカードの延滞料や多額の借金が簡単に積み重なってしまうリボ払いを嫌悪しているとCEOのレフチン氏は語ります。

リボ払いとは、リボルビング払いの略で、欧米で一般的に利用されているクレジットカードの支払方法です。リボ払いのしくみは、毎月の支払額を一定の金額に固定して、金利とともに返済していくというものです。よく似た支払方法に分割払いというものがありますが、こちらは支払回数を決めて支払うというしくみになっています。

リボ払いは、1回払いや分割払いとは異なり、高額商品を購入した場合でも、毎月の返済額は一定になるため、手もとにまとまったお金がないという場合でも支払いができるという特徴があります。ただし、利息が発生するため、リボ払いを利用しすぎると、支払い総額が高額になるケースがあります。そのため、リボ払いは、無理のない範囲で計画的に利用することが重要になるのです。

(引用:JCB「リボ払いとはどんな返済方法?」

(リボには複数種類はありますが)リボはあらかじめクレジットカードの支払い額を決めます。例として、支払い額の上限を3万円と設定していた場合、5万円使えば2万円分が、7万円使えば4万円分が翌月以降に自動で繰り越されます(翌月に手数料と利息を乗せて返済)。


アファームの後払いサービスで商品を購入する場合、延滞料は一切発生しません。購入前に最終的な支払額が明確に提示されます。支払いは、3回から12回の金額固定の分割払いが一般的。

高額な商品の場合は最大4年間の分割払いが可能です。高額な商品はクレジットカードで購入するのが普通でしたが、Buy Now Pay Laterで購入するのが米国では流行しているようです。

ペロトン(ティッカーシンボル:PTON)のバイクなんかも、AFRMを通して購入する消費者が多いです。

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決算プレゼンテーションでペロトンの取引を除いた成長率を掲載するくらい、AFRMにとって深い関係の企業です。

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さて、試しにdysonの商品購入ツアー、やっていくぅ!

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AFRMのHPに、AFRMが推しているショップが並びます。提携先ってやつですね。ウォルマートもありました。進みます。

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dysonのECショップへ。

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掃除機を買います。

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379.99ドル...高いですね〜!なんとか分割できないかしら?

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AFRMで分割払い、やっていくぅ!

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APR=annual percentage rate(利息・ローンなどの年率)です。

3ヶ月分割なら利息なし。6ヶ月分割も利息なし。12ヶ月分割は利息が15.21%/年です。半年かけて支払いを行うのであれば、だいぶ気持ち的には余裕が生まれます。


AFRMが上場時に提出したForm S-1によると、決済会社のワールドペイは2025年までに、後払い型がEコマース分野の決済メソッドとして、最も急速に成長すると予測しています。

Consumers increasingly prefer more flexible and innovative digital payment solutions over traditional credit payment options. According to Worldpay’s 2020 Global Payments report, “buy now pay later” is the fastest growing e-commerce payment method globally. In North America, “buy now pay later” market share is expected to triple to 3% of the e-commerce payments market by 2023. In other regions, such as EMEA, “buy now pay later” already accounts for almost 6% of the e-commerce payment market, and is expected to grow to almost 10% by 2023.

消費者は、従来のクレジット決済よりも、より柔軟で革新的なデジタル決済ソリューションをますます好むようになっています。ワールドペイの「2020 Global Payments」レポートによると、「buy now pay later」は世界で最も急速に成長しているeコマース決済方法です。北米では、「buy now pay later」の市場シェアが2023年までに3倍になり、Eコマース決済市場の3%になると予想されています。EMEAなどの他の地域では、「buy now pay later」はすでにEコマース決済市場のほぼ6%を占めており、2023年には10%近くまで成長すると予想されています。

AFRM Form S-1

AFRMの直接の競合は先日スクエアが買収を発表した「After Pay」、スウェーデンの「Klarna」。PayPalも競合です。


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AFRMの収益構造としては大きく2つです。

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・Interest Income消費者への利息収入
・Merchant Network Revenue:EC事業者への分割払い提供による決済手数料

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業績(Q3/2021決算)

Q3-2021:Affirm Holdings, Inc. FY Q3 2021 Earnings Supplement

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□ 2021年第3四半期決算結果:

※YoY = year over year(前年同期比)

・売上:$231M/YoY+67%(予想:$198M)→◯
・EPS:-$1.06(予想:-$0.26)→×(ストックオプション費用が主因)

・GMV (Gross Merchandising Volume):$2.3B/YoY+83%
・(分割提案)Merchant数:12,000社
・Active Consumers:540万人/YoY+60%


□ ガイダンス(Q4-2021):

・Revenue:$215 to $225 million(予想$208 million)→◯
・GMV:$2.20 to $2.25 billion
・Transaction Costs:$135 to $140 million
・Revenue Less Transaction Costs:$80 to $85 million
・Adjusted Operating Loss:$(55) to $(50) million
・Weighted Average Shares Outstanding:270 million

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■ Revenue(売上高)


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Q3-2021:$231M/YoY+67%(アナリスト予想:$198M)

アナリスト予想をしっかり超えています。

以下は過去の売上推移です。少し勢いは衰えています。


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※YoY = year over year(前年同期比)

Q4-2019:$69.6M
Q1-2020:$88M(YoY+69%)
Q2-2020:$130M(YoY+86%)
Q3-2020:$138.3(YoY+89%)
Q4-2020:$153.3M(YoY+120%)
Q1-2021:$174M(YoY+98%)
Q2-2021:$204M(YoY+57%)
Q3-2021:$230.7M(YoY+67%)←New!!

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■ EPS(1株当たりの当期純利益)

Q3-2021:EPS:-$1.06(アナリスト予想:-$0.26)

EPSは市場予想を下回りました。これはストックオプション費用の増加などの要因により、業績が主因ではないとの(雑に)説明がニュースリリースではなされています。

Net loss for the third quarter of fiscal 2021 was $247.2 million compared to $85.6 million in the third quarter of fiscal 2020, and includes the increase in stock-based compensation following the IPO as well as a $78.5 million adjustment to reflect the change in fair value of the contingent consideration liability associated with our acquisition of PayBright Inc., driven by changes in the value of our common stock


過去EPS(non-GAAP)の推移は以下の通りです。

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Q4-2019:-$0.15(N/A)
Q1-2020:-$0.12(N/A)
Q2-2020:-$0.13(N/A)
Q3-2020:-$0.35(N/A)
Q4-2020:$0.14(N/A)
Q1-2021:-$0.12(N/A)
Q2-2021:-$0.12(N/A)
Q3-2021:-$1.00(N/A)

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ずっとマイナスです。U字回復を目指すベンチャーにはありがちなEPSですが、このような場合マイナスだからダメな会社、と見るのではなく、売り上げの成長率、市場予想を上回る決算を出せるかに注目します(Q3-2021は外部要因ではあるものの、下回ってしまいましたが...)


■ GAAP and Adj. Operating Income / (Loss)


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まだまだ営業利益は大きな数字にはなっていないですね。今後しっかりとした黒字体質になり、営業利益率が高くなっていくフェーズが来るのかどうか、今後も各四半期決算は要ウォッチですね。


調整後営業利益は以下の項目が除かれています。

(a)減価償却費および償却費
(b)GAAPベースの営業損失に含まれる株式報酬
(c)商業契約資産の償却費
(d)その他の費用


企業KPI

■ GMV (Gross Merchandising Volume)


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Q3-2021:$2.3B/YoY+83%

GMVとは、Affirmプラットフォーム上で行われた全ての「取引合計金額」を指します。「合計(流通)金額」はその企業のパワーです。

AOVはGMVをAffirmプラットフォーム上で行われた「取引数」で割ったものです。一回の取引辺りどれくらいの金額が動くのかを見る指標ですね。


順調にプラットフォームが成長していることがよくわかりますね。

Sporting Goods and Outdoorsが最もAFRMが活用されている領域となっています。

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■ Active Consumers


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Q3-2021:
540万人/YoY+60%

ここでいうアクティブコンシューマー数の定義は、「12ヵ月間にAFRMのプラットフォーム上で、少なくとも1回の取引を行った消費者」です。年イチで使えばアクティブユーザーです。

昨年同期から1.5倍程度に伸びていますね。

「Transactions per Active Consumers」は、アクティブコンシューマーが12ヵ月間で平均で何度取引したかを指します。ずっと2回程度で推移していますね。


アクティブな加盟店(Merchant)は、2020年3月31日から2021年3月31日にかけて2倍以上の約12,000店に増加。


財務状況(資本配分/自社株買い/M&A)

■ 資本配分

直近では公募はありません。IPO後、株価は一時上昇しましたが、今は下の方で落ち着いていますからね。


■ M&A

少し前ですが、1月にカナダ大手のBuy Now, Pay Later企業であるPayBright Inc.の買収を完了。米国およびカナダにおける加盟店と消費者のネットワークが拡大。

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2021年5月(4Qですが)にReturnlyを買収。

Returnlyは、1,800以上のマーチャントにサービスを提供、10億ドル以上の返品処理を支援し、800万人以上の買い物客に利用されています。

今回の買収でAFRMの返品処理サービスなど、サービスとネットワークの拡大が見込まれます。IPO後に積極的に買収していますね。


ガイダンス

□ Fiscal Q4 2021 


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・GMV:$2.20 to $2.25 billion
・Revenue:$215 to $225 million
・Transaction Costs:$135 to $140 million
・Revenue Less Transaction Costs:$80 to $85 million
・Adjusted Operating Loss:$(55) to $(50) million
・Weighted Average Shares Outstanding:270 million

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Q4-2021の売上予想は$225.29Mとなっていますね。Q3時点のガイダンスで出した数字をフルに達成する水準です。次回決算は9月9日が予定されています。


□ Fiscal Year 2021


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・GMV:$8.01 to $8.06 billion
・Revenue:$824 to $834 million
・Transaction Costs:$460 to $465 million
・Revenue Less Transaction Costs:$364 to $369 million
・Adjusted Operating Loss:$(55) to $(50) million
・Weighted Average Shares Outstanding:160 million

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FY2021の売上予想は$831.1M。ガイダンス内の数字ですね。アナリストの数が比較的少ないですね。IPOから時間が経過していないので仕方のないことですが(Unityも同様の水準でした)。


AFRMのCANSLIM考察

「CANSLIM」は成長株発掘法の著者、ウィリアム・オニール氏の成長株の見極めに用いられる判断指標です。


オニール氏の理念は以下です。

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・CANSLIMを満たすかどうかで真の成長株かどうかを見極める。
・株価チャートで売買のタイミングを測り大きな利益の獲得を狙う。

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CANSLIMとは以下の頭文字です。これら全てを満たすと「大化け株」となります。(満たしていなくても有望銘柄として売買はOK、投資家の技量が試される)

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・C(=Current Quarterly Earnings=当四半期のEPSと売上)
・A(=Annual Earnings Increase=年間EPSの増加、高いROE水準)
・N(=New Products, New Management, New Highs=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値)
・S(=Supply and Demand=株式の需要と供給)
・L(=Leader or Laggard=主導銘柄か、停滞銘柄か)
・I(=Institutional Sponsorship=機関投資家による保有)
・M(=Marker Direction=株式市場の方向)

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また短期投資・中長期投資などと投資手法を分けず、「正しい銘柄を正しいタイミングで売買する」としています。

短期投資か長期投資かという選択はほぼないはずだ、ということです。

良い銘柄はそもそも売り時を与えてくれず、そのまま何倍株になると言っています。

まずは、CANSLIMを通して、AFRMはオニールが定義する「大化け株」と言えるのかどうかを見ていきましょう。


筆者がAFRMで行った2021年8月9日時点の判定結果は以下の通りでした。

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C:×
A:×
N:×
S:△
L:×
I:◯
M:◯

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結果をみると、まだまだ荒削り感の強い銘柄であることが認識できます。今後、事業を軌道に乗せて企業体質を整えていくことになるでしょう。長くメンテナンスをしつつ、複数の決算をこなして株価が動意づいたタイミングで積極的に狙っていきたい銘柄です。

Buy Now, Pay Laterの事業ストーリーは抜群。それでは各項目の詳細を見ていきましょう。


■ C(=当四半期のEPSと売上) X


C(=Current Quarterly Earnings)を見ていきます。

ここでは以下の2つを判定します。

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⑴ 当四半期のEPSが前年同期比で25〜30%以上か?
⑵ 売上が25%(または直近3四半期で伸び率が加速)以上伸びているか?

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⑴ 当四半期のEPSが前年同期比で25〜30%以上か?


当四半期のEPSが前年同期比で大きな伸び率を示しているかどうかを見ます。最低目標は25〜30%です。より保守的に見るのであれば40〜500%です。

AFRMのQ3-21のEPSは-$1.00とマイナスです。YoYは計測できず、「×」の判定になります。


⑵ 売上が25%(または直近3四半期で伸び率が加速)以上伸びているか?


次に売上の伸びを見ていきます。Q3売上は25%以上伸びていますので、クリアですね。直近3四半期での伸び率は加速しているとは言えませんが。


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※YoY = year over year(前年同期比)

Q4-2019:$69.6M
Q1-2020:$88M(YoY+69%)
Q2-2020:$130M(YoY+86%)
Q3-2020:$138.3(YoY+89%)
Q4-2020:$153.3M(YoY+120%)
Q1-2021:$174M(YoY+98%)
Q2-2021:$204M(YoY+57%)
Q3-2021:$230.7M(YoY+67%)←New!!

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


⑴EPSは「×」、⑵売上は「◯」です。

C(=Current Quarterly Earnings)はEPSがマイナスはインパクト大きく、厳しめに「×」でしょうか。

■ A(=年間EPSの増加、高いROE水準) X


ここでは以下の2つを判定します。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

⑴ 年間EPSが過去3年連続で増加しているか?
⑵ 企業のROEが最低でも17%を超えているか?

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⑴ 年間EPSが過去3年連続で増加しているか?


年間EPSが過去3年連続で増加しているかどうか、増加率が25〜50%以上の銘柄かを見ていきます。2年目のEPSが下がっている銘柄は除外されます。

AFRMの過去の年間EPSを見ていきたいところですが、IPO後のEPSを見ていくべきですのでここは省略になります。以下はIPO前の参考値も含みますが、FY21が閉まってから計測を開始したいと思います。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

Q4-2019:-$0.15(N/A)
Q1-2020:-$0.12(N/A)
Q2-2020:-$0.13(N/A)
Q3-2020:-$0.35(N/A)
Q4-2020:$0.14(N/A)
Q1-2021:-$0.12(N/A)
Q2-2021:-$0.12(N/A)
Q3-2021:-$1.00(N/A)

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⑵ 企業のROEが最低でも17%を超えているか?



ROEが最低でも17%を超えているかどうかをチェックします。

AFRMはそもそも赤字なのでROEは測れません。ここでもひとまず「×」とします。

⑴⑵合わせて、ここではA(=年間EPSの増加、高いROE水準)は「×」とします。


■ N(=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値) X

N(=New Products, New Management, New Highs)を見ていきます。

株価が驚くような上昇を見せるには何か新しいもの(収益増加率を加速的に伸ばす原動力)が必要です。


AFRMは非常に市場が伸びているBuy Now, Pay later事業を展開しています。

Consumers increasingly prefer more flexible and innovative digital payment solutions over traditional credit payment options. According to Worldpay’s 2020 Global Payments report, “buy now pay later” is the fastest growing e-commerce payment method globally. In North America, “buy now pay later” market share is expected to triple to 3% of the e-commerce payments market by 2023. In other regions, such as EMEA, “buy now pay later” already accounts for almost 6% of the e-commerce payment market, and is expected to grow to almost 10% by 2023.

消費者は、従来のクレジット決済よりも、より柔軟で革新的なデジタル決済ソリューションをますます好むようになっています。ワールドペイの「2020 Global Payments」レポートによると、「buy now pay later」は世界で最も急速に成長しているeコマース決済方法です。北米では、「buy now pay later」の市場シェアが2023年までに3倍になり、Eコマース決済市場の3%になると予想されています。EMEAなどの他の地域では、「buy now pay later」はすでにEコマース決済市場のほぼ6%を占めており、2023年には10%近くまで成長すると予想されています。

AFRM Form S-1


AFRMは巨大なE-Commerceプラットフォームを展開しているShopifyとも提携しており、「伸びる市場で、最高のパートナー」と事業を展開しています。


企業ストーリーは疑いようがありません。気になるのは競合となるPayPal、Squareですかね。Squareは直近でまさにBuy Now, Pay later事業をオーストラリアで展開する「After Pay」の買収を発表したばかりです。スウェーデンの「Klarna」も競合になります。


さて、N(=New Products, New Management, New Highs)は正しい株価ベースを抜けて最高値であるという条件も加わります。チャートを確認しましょう。

以下は8月9日時点のチャートです。

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IPO直後は株価が暴騰していましたが、2月→5月にかけて暴落。その後株価は回復できずにいました。安値が$46.5ですので、そこから30%ほど回復する$66程度まで回復したところで買い検討が始まると思います。

そして、それがまさに今ですね。上記でも述べましたがSquareの「After Pay」の買収で株価が動意づいています。より安全にいくのであれば、遠い未来になるかもしれませんが、$146.90の新値をブレイクする時に投資をすることになります。


結論、現時点でAFRMのN(=New Products, New Management, New Highs)は「×」です。


■ S(=株式の需要と供給) △


S(=Supply and Demand)を見ていきます。


Sは以下の複数項目があります。一つずつチェックしていきます。

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⑴ 浮動株比率(大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましい)
⑵ 自社株買いをしている企業かどうか。
⑶ 企業の負債比率が低く推移しているかどうか。
⑷ 直近の出来高(機関の大きい買いが確認できるか)

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


⑴ 浮動株比率(大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましい)

例えば、発行済株式数が5,000万株ほどの比較的供給量の少ない銘柄ならある程度の買いが入ります(その分リスクも隣り合わせです)。

AFRMの総発行株式は147.58百万株です。

(2021年8月10日時点データ)

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AFRMの浮動株の数を見ていきます。

大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましいです。企業として株価上昇に対する努力への期待度を示します。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

・Shares Outstanding(総発行済株式数):147.58百万株
・Float:(浮動株式数):96.89百万株
・浮動株比率:65.7%

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AFRMの時価総額は2021年7月21日時点で174.64億ドル(約1.75兆円)なので「大企業」です。


簡易的ではありますが、同社の浮動株比率は65.7%(つまり残りは34.3%)。経営陣が保有している株式比率が1-3%を大きく上回っています。こちらは「◯」です。


⑵ 自社株買いをしている企業かどうか。


上記「財務状況」の項目でも触れましたが、オニール流の「自社株買いをしている企業が望ましい」という点については、 AFRMは満たしていません。アップルやペイパルのように積極的な自社株買いを行う方針は出していません。

「×」です。


⑶ 企業の負債比率が低く推移しているかどうか。

次に、総資本に対する負債比率の低い企業かどうかを見ていきます。

過去2-3年で負債比率が減少していれば、利息支払い費用が削減されEPS向上が見込まれます。


特にIPOしたばかりのグロース株は収益が小さいため、この利息費用のインパクトが大企業に比べて大きいので、しっかり見ておく必要があります。


AFRMはIPOしたばかりなので、直近で正確なデータがある「Sep 30, 2019」「Sep 30, 2020」の2年分を見ていきたいと思います。

Balance Sheet

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■ 2020年9月30日

総資本:2,250.1 million
負債:1,271.5 million
負債比率:56.5%

■ 2019年9月30日

総資本:1,191.3 million
負債:662.8 million
負債比率:55.6%

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2年間分しかありませんが、BSが大きくなっているものの負債比率に変化はほぼありませんね。もう一年分見たいこともあり、この項目は「△」にしておきます。


⑷ 直近の出来高(機関の大きい買いが確認できるか)

最後に、直近の出来高についてです。

(2021年8月10日現在)

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2021年2月10日に$146.90の高値をつけ、その後は5月にかけて下落。

安値は5月11日の$46.50です。その後株価は市場環境が改善し回復に向かいました。しかし、7月13日に再度大きな売りが入りました。

7月30日、31日に大きな機関の買いが入ったことが確認できます。これはスクエアのBuy Now, Pay Later事業を展開する「After Pay」社の買収の発表を受け、同じ事業領域であるAFRMの株式にも強い需要が生まれました。(提携パートナーであるShopifyとの合併なども期待されていると思います)


安値の$46.5から30%上昇後の株価を目処に買いを検討するのであれば、$66辺りですね。まさに現在ですが、現在ベースを形成していますので、出来高が枯れたタイミングで買っていっても良い場面かもしれません。

市場環境の動向には気をつけて投資意思決定を行いましょう。


⑷は機関の購入が確認できるので「◯」です。


⑴「◯」⑵「×」⑶「△」⑷「◯」なので、総合判断として「△」を置きたいと思います。



■ L(=主導銘柄か、停滞銘柄か) X


業界内で最高の業績を記録しているかどうかを測る「L(=Leader or Laggard)」を見ていきましょう。

ここでは業界内上位2-3銘柄に入っているかどうかを判断します。


これは、レラティブストレングス指数が80〜90台かどうかで判断をします。

レラティブストレングス指数とは、ある特定の銘柄の値動きを市場の残りの銘柄の値動きと過去五二週間にわたり比較するものです。 各銘柄に1~99の数値が割り当てられ、高ければ評価が良いと判断されます。


2021年8月9日時点のAFRMのRS Rateは14でした。

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銘柄検討を実施する大前提となる80の数字を大きく下回っています。AFRMののL(=Leader or Laggard)は「×」です。


■ I(=機関投資家による保有) ◯

I(=Institutional Sponsorship)を見ていきます。

株価を押し上げるには大きな需要が必要です。投資信託、年金基金、ヘッジファンド、保険会社など。機関投資家に保有されている銘柄であるかどうかが非常に重要になります。


また、その機関投資家は高いリターンを出す優秀な組織体(ファンド)なのか?という点も大切です。

見極め方として、最近の四半期で保有する機関投資家の数が着実に増加しているか、株主数が著しく増加しているか。

また株主となった機関投資家は誰なのかまで詳しく調べます。

「優秀なファンドが大人買いしているか」を満たさなければならないのでかなり高度な判定です。


まずはAFRMの機関投資家保有株数の直近の動きです。2021年3月末までの動きを見ていきたいところです。1月にIPOしたばかりなので、参考データです。今後、決算発表がある度に、進捗を見ていくことになります。銘柄のメンテナンスというやつですね。株式投資は旅なのです。

スクリーンショット 2021-08-10 14.52.14


以下はMarketSmithで確認できる、AFRMに投資をしている機関投資家(ファンド)の数です。市場の調整があったことから、6月末時点では機関投資家の数は減少しています。その後は増えているはずです。

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Mar-21:298
June-21:255

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直近の株主は以下の通りです(Yahoo Finance:Holders)。名だたる投資ファンドがAFRM株を保有し続けています。


Top Institutional Holders(機関投資家保有上位)

画像34


Top Mutual Fund Holders(投資信託(ファンド)保有上位)

画像35


ベンチマークを超えるリターンを超えることが使命とされるのがアクティブファンドです。

上記で突出した成績を収めているファンドは以下の通りです。

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□ ファンド名(保有数量順)・・・10year Average Performance(Before Tax)

Vanguard U.S. Growth Fund・・・19.21%
Growth Fund Of America Inc・・・15.56%
JP Morgan Growth Advantage Fund・・・19.56%
Bridge Builder Tr-Bridge Builder Large Cap Growth Fd・・・21.39%(5Y)

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「Growth Fund Of America」は成長株投資家には、もうお馴染みですね。「SQ」「SHOP」「GOOGL」「TSLA」などにも投資をしている非常に優秀なファンドです。

これは...2020年から「全勝」なのではないでしょうか?いや、これは「優勝」ですね。

画像3


I(=機関投資家による保有) は優秀ファンドに購入されており直近の需給は良いので、「◯」で置きたいと思います。


■ M(=株式市場の方向) ◯


M=Marker DirectionはAFRMに関わらず全銘柄に関わることです。

「強気相場」であればハイパーグロース株を積極的に買っていっても良いとされています。2021年8月9日現在は「確固たる上昇相場」です。


その根拠は週刊レポートで確認してください(毎週末に定期更新)。

米国株式市場:今週の合戦の振り返り!


2021年8月10日時点の株価チャート

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すでに上記で触れており、繰り返しになりますが、AFRM株は2月→5月にかけて暴落。その後株価は回復できずにいました。


安値が$46.5ですので、そこから30%ほど回復する$66程度まで回復したところで買い検討が始まると思います。そしてそれがまさに今ですね。

上記でも述べましたがSquareの「After Pay」の買収で株価が動意づいています。より安全にいくのであれば、遠い未来になるかもしれませんが、$146.90の新値をブレイクする時に投資をすることになります。


ーFINー

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