文次の手紙#12

拝啓

その後みなさまにはお変わりありませんか。僕は変わりなく益々元気に奮闘しています。他事ながらご安心ください。先日から二度目の慰問品ありがたく受け取りました。豆電気も２個、電池ホヤ【※1】等も立派にして明るくついて非常に助かっています。

我々は○○（原文ママ）駅にて警備中でありましたが、今月上旬に突如、下士官候補の採用試験が実地され、学科、実科を受験し無事合格採用されて目下○○（原文ママ）本部付近にて連隊の集合教育を受けています。ここで約３、４ヶ月教育を受け、さらに今年末あたりは学校に入校する事になる事でしょう。半分くらいしか入校できないそうですが人に負けず、懸命に勉強していますから心配はいりませんよ。

今日は第二期検閲のため隊に復帰しています。明日から始まりますが一期のような激しさではないようです。まだみんな進級の達しがなくてうんざりしていますがもうすぐだと思います。そのこと心配せぬようご安心ください。

慰問袋はしばらく送らないで良くありますが、前の手紙に書いていたように万年筆をまたなくしたので万年筆だけを何か折れないようにして送ってください。何べんも【※2】勝手ばかり言ってすみません。母上さまにもよろしくお伝えください。では身体大切に。

在中の絵はがきは昭人や昭子さんへ渡して下さい。まだ送ってやりたいのですが、発送に制限があり、またの時に新しいのを送ります。　　　　　

文次

昭和15年6月22日到着（政次の手紙の記述から推察）

【※1】懐中電灯のことと思われる
【※2】何度も