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捨てられてしまう白紙を束にして5年寝かせてやっぱり捨てる (7/20-27の日記)

こんにちは。無許可・無免許で医師をやっております千田と申します。

日記をまとめています。僕からすればただの日常なのでとりわけ珍しいものではないのですが、客観的に考えれば主に一人で過ごしている第三者の足取りを詳細に追う機会は少ないので、もしかすると少しは愉快かもしれません。

7月20日(土):ロシア料理とフランスのシャツ

朝、犬をひと撫でふた撫でしてから支度をして大阪の九条まで行く。記憶観測史上個人初となるロシア料理に挑戦するのだ。なおこの観測にピロシキは含まれないものとする。理由はずるいから。

本町で乗り換えて最寄駅にて下車。下車後即絶叫。暑い。億単位のギャンブルに負けたわけでもないのに、視界がぐにゃりと湾曲する。

目指している店は阿波座と九条のちょうど中間に位置する。大阪の地理を知る人には、この説明だけでざっくり分かってもらえると思うが、灼熱のなかこんな場所を徒歩移動する愚か者はいない。アルバカーキの砂漠に放り込まれた気持ちだ。アスファルトではないぶん砂漠の方がまだ涼しかろう。

この周辺は、生まれてからこのかた一度も遠慮などしたことないであろう図体の阪神高速がズバンと頭上を通っている。本町などとは違い、高架の脇にあるのは背の低い建物たちばかり。彼らは阪神高速様と目を合わせないように片膝をついて顔を伏せている。

しかも真昼である。日光は垂直方向から脳天を鋭く射抜く。日陰を作り僕を守ってくれる建造物はごく少数だ。重い。汗を吸ったTシャツが鎧のように身動きを奪う。日傘を持ってくればよかった。なんでヌンチャク持ってきたんだ。太陽光を吸った黒いヌンチャクは、木製だというのに持っていられないほど熱い。

到着。ロシア料理は非常に美味。洒落ているが頑丈そうな白い陶器に色とりどりの食事が並ぶ。「奥さんこれお店の味ですよ」と鮮烈に思ったのを覚えている。思っただけで言ってないことを願う。言ってたかもしれない。10席ほどの店内はほぼ満員。納得である。美味しいからだ。業火のような室外に出るのが嫌すぎて、という消極的な理由で頼んだ食後のコーヒーが美味しくて再び感動する。

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