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【1%ノンフィクション】Vol.0660(2009年11月11日発行のブログより)

⼆番⽬に好き。

甲は⼩学校3年⽣のときに⼄からバレンタインのチョコをもらった。

それから甲はクラスでの⼄の存在を認知するようになった。

まだホワイトデーも盛んではなかった時代でお礼も何もしなかった。

⼄は⼥⼦⽣徒の中でリーダー格であり、勉強も運動も抜群にできた。

健康的な感じがする真っ⽩な⻭を⾒せる
笑顔が素敵なピーターパン役のはまった相原勇似の、
ちょっとおませな⼥の⼦だった。

そのまま持ちあがりで⼩学校4年⽣になった。

何と甲は⼄と⼀緒に学級委員に選ばれた。

甲はまだこの時点においても⼄のことを意識できなかった。

学級委員は放課後に残って様々な仕事をしなければならず、
甲と⼄は他には誰もいない教室で黙々と居残って作業をしていた。

シチュエーションとしては最⾼だろう。

そんなときに⼄のほうからの話題はいつも同じだった。

「甲くんはクラスで⼀番好きな⼦は誰︖」

甲は10歳にしてこの意味がまったくわからずに、
毎回バカ正直に本当の子の名前を答えていた。

⼄は急に不機嫌になり、「⼆番⽬は︖」と聞いてくる。

もちろん⼆番⽬なんて考えたこともないから、
これもバカ正直に「わからない」 と答える。

それでも⼄は答えるまで帰してくれない。

運の悪いことに⼀番⽬は⼄がいつも⼀緒にいる親友だったのだ。

しかも甲はそれほど深く好きだと思っていたわけでもない。

後の⼈⽣で甲は別の⼥性に
「甲くんのことは⼆番⽬に好き」 と⾔われる経験をする。

⼆番⽬に好かれるくらいなら、嫌われたほうがマシだ、
とここで初めて学ぶ。

同時にあの時の⼄の悲しそうな横顔が鮮明に思い浮かんだ。

...千田琢哉(2009年11月11日発行の次代創造館ブログより)

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