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【1%ノンフィクション】Vol.0639(2009年10月21日発行のブログより)

15歳だった。

中学の卒業式。

甲は友⼈と⼆⼈乗りで⾃転⾞で帰ろうとしたところ、
1学年下の⼄に声をかけられた。

不良グループの間でもとびきり有名な⼥⼦⽣徒だった。

しかも⼄の兄はこれまた甲の1学年先輩でこれがまたワルだった。

甲の記憶では⼄とは⼀度も話したことはない。

⼄はいつもつるんでいる不良仲間と3⼈で⼀緒だった。

「甲先輩・・・」

甲は⾃分でも予想だにしない⾏動を取った。

何と、驚きとともに恥ずかしさが勝って
⼄を無視して通過してしまったのだ。

⼄は今まで⾒たこともないような、
愛らしい表情で⼿には薄い⻩緑⾊の封筒を持っていた。

「おい、オマエもったいない」

その後美容師としてがんばることになる友⼈は⾔った。

背中越しに⼄の友⼈の声が聞こえた。

「ひどい」

確かにひどい。

⼈間として最低だ。

甲の⼈⽣において、もっとも思い出したくもない記憶だ。

・・・・・・・・・

翌年、驚くべき事件が起こる。

「あ・・・」

驚いた甲は⾔った。

真っ⻩⾊に染まっていた⼄の髪の⽑は真っ黒になって
甲と同じ⾼校に⼊学してきたのだ。

別⼈のように知的な顔になっていた。

しかも・・・あの時いた3⼈中2⼈。

場所は、全学年共⽤の下駄箱スペースだった。

⼄は顔を真っ⾚にして⽬を逸らし、⻑い髪に⼿串を通した。

15歳だった。

...千田琢哉(2009年10月21日発行の次代創造館ブログより)

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