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【気づき】Vol.1141(2011年8月17日発行のブログより)

あらしのよるに。

2005年公開アニメ映画。

原作は国語の教科書にも掲載されるような題材。

児童向けの絵本だったんだね。

オオカミとヤギの常識では考えられない友情物語。

子どもと⼀緒に観賞するとまた⼀段と味わい深いかもしれないけど、
大人でも⼗分に見応えがあると思う。

実はこの

『あらしのよるに』

は見かたを変えると脱獄映画なのだ。

食べる側のオオカミと食べられる側のヤギ、
という一見⽭盾する組み合わせが感動を生みだす。

仕事でもこれは応用が利く。

まったく相⽭盾する物の⼀体化ほど人類の叡智を試されることはない。

この話の中で、人の心を打つのはつい流されがちな本能に対し、
すべて逆の決断をする部分だ。

人間というのは、
自由に生きることは誰もが望む最高のぜいたくだ。

ただし、そのままでは感動がない。

感動は意外性の中にある。

優等生の選択肢Aとバカな選択肢Bで迷った際には、
Aを選んでいては感動はない。

退屈な人生で終わってしまう。

感動はいつもBを選んだ人に与えられる。

この映画が子どもの魂を揺さぶったのは、
Bを選ぶ悦びを暗にほのめかしていたからではないか。

否、大人たちが評価した理由こそ、
実はBを選ぶことへの憧れだったのかもしれない。

そう、この映画を評価したのも作ったのも大人。

つまりこの映画は子ども向けのふりをした、大人が観るべき映画なのだ。

死に際に、

「いつもAばかり選んできた。
でも、⼀度くらいBってやつをやってみたかった」

と後悔したら最悪だ。

声優の魅力と絵のチカラがこの映画の魅力を、⼀層惹き立てていた。

この映画で最高の決断は、
オオカミとヤギが雨の中で⽔位が急上昇した川に、
⼀⻫に飛び込むシーンだね。

恋愛も同じ。

究極の恋愛というのは、
世界中をすべて敵に回しても、たった二人で地獄の超特急に飛び込むこと。

『ショーシャンクの空に』

で主人公がどぶ川に飛び出た瞬間のシーンを彷彿させた。

脱獄とは、必ずしも牢獄から脱出することとは限らない。

現代人にとって牢獄とは、
日常をがんじがらめにしている常識そのものなのだ。

追伸.

冒頭のシーンで、死を覚悟したお母さんヤギが、
集団で襲いかかるオオカミの耳を食いちぎる。

僕はここが好きだ。

このシーンをきちんとこれからの人生の記憶に刻み込んでおきたい。

 ...千田琢哉(2011年8月17日発行の次代創造館ブログより)

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