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【1%ノンフィクション】Vol.0780(2010年3月10日発行のブログより)

幼馴染

乙はルームサービスの朝⾷のシーザーサラダを頬ぼりながら言った。

「昨夜の講演で、たくさん質問者がいたけれど、
うわっこれ意地悪な質問だな、って思った人がいたじゃない」

「こんな質問していったい何になるんだろう・・・という思いと、
あなたがいったいどうやって答えるのだろう・・・という期待が
一杯になって」

コーヒーをふうふうしながら甲は答えた。

「えっと・・・誰だっけ?」

「え?憶えてないの?二人目のツンとした⼥性経営者よ。
周囲がドン引きしてたじゃない?」

「ああ、あの後ろの方に座っていたスラリとした女性かぁ・・・」

「同性から見たら一目瞭然なんだけど、
あの質問は明らかにあなたを試してたのよ」

「そうなの?いかにもバツ2くらい経験してて津⽥塾あたり卒業して
肩で風切って生きてきたような若い頃職場の男性の誰もが
憧れのマドンナだったって感じだね。
数年前に独立して⼥性ばかり集めて20人くらいの会社を
やってそうな・・・」

「何よ、ちゃんと憶えてるじゃない・・・」

乙はレタスを刺したフォークをピタリと止めて驚いた表情で甲を見た。

甲の記憶力に驚いたのではない。

実はその女性は乙の幼馴染であり、すべてドンピシャに当てられたからだ。

乙は甲に内緒でその幼馴染に今回の講演の招待をしていた。

ライバル心をむき出しにして勝負服で気合いを入れてセミナーに臨んだ
幼馴染はがっくりと肩を落として何も言わずに会場を出て行った。

その後、幼馴染は今までとガラリと変わって、
女性っぽくなり会社の業績もますます向上していった。

...千田琢哉(2010年3月10日発行の次代創造館ブログより)

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