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【1%ノンフィクション】Vol.0730(2010年1月20日発行のブログより)

⼥性はみんな、天の邪鬼

甲は就職活動で築地と銀座に寄った帰り、銀座三越前に⽴っていた。

⽥舎者の甲は「ここがあのマクドナルドの第1号店だったんだ・・・」
 と興奮でしばらく⾝を震わせていた。

将来起業をすると決めていたからだ。

実際に就職活動はほんのおまけで本で読んだ数々の偉⼈たちの軌跡を
確かめに来ていた。

交通費はすべて⾯接を受ける会社から出してくれていたから
⼈⽣で最初で最後の最⾼のぜいたくだった。

後に⼊社することになる保険会社の意思確認の最終⾯接と
甲が尊敬する⼈物が出⾝の⼤⼿広告代理店の2次⾯接を受けた帰りだった。

社会⾒学を終え、地下鉄に潜る直前に何かを感じた。

振り返ると粋な純⽩のスーツに⾝を包んだ⼄だった。

最初はどこかの⼥優がテレビのCMでも撮影している最中なのかな、
と思ったくらいだ。

今でもいったいどうして振り返ったのかはわからない。

とにかく強烈な何かを感じたのだ。

本当は⽇帰りで新幹線やまびこ号で帰る予定だったのだ。

⼄は⾼知県から上京して都内の私⽴⼥⼦⼤に通うお嬢様だった。

⽇本の⼥⼦教育の先駆者と評価される歴史に名を残した⼥性によって
設⽴された学校だ。

当時、⾼知県といえば甲の中では広末涼⼦ちゃんと⼟佐⽝しか
頭になかった。

社会⼈になってからある⼤富豪に聞いた話だが、
芸能関係に勤めるカメラマンの話では、広末涼⼦ちゃんは星の数ほどいる
アイドルの中でも突出したオーラを発していたらしい。

⼄はどちらかといえば鈴⽊京⾹似だった。

⾼貴で気丈なタイプに⾒えた。

周囲もわざわざ振り返っていく。

実は⼄も甲と同じ広告代理店を受けていたという。

話していくと甲とグループ⾯接で⼀緒だったらしいことが判明した。

⼄には申し訳ないが、甲はまったく記憶になかった。

「あなたって本当に⾯接で⾔っていいことと悪いことの区別がつかない
典型的な失礼なタイプね、⼊社する気ないってまるバレよ・・・
もうウンザリ」

「あなたみたいな⼈はお試し採⽤で
毎年1⼈か2⼈企業で採⽤されやすいらしいけど・・・」

「そのスーツ、ぜんぜん似合ってないわよ」

⼄はまだ会ったばかりなのにのっけから結構失礼かつ厳しい⾔葉を
浴びせてきた。

スーツの上着の三つボタンを三つともすべてしてしまうのは
お洒落のタブーだということもこのとき初めて知った。

新幹線は翌⽇の最終便に変更になった。

不思議だ。

「⼥性はみんな天の邪鬼」って英訳するとどうなるかわかる?

⼄は今、⾼校で英語の教師をしている。

...千田琢哉(2010年1月20日発行の次代創造館ブログより)

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