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【1%ノンフィクション】Vol.0737(2010年1月27日発行のブログより)

お尻の⽳まで美人。

乙と出逢ったのは銀座にある広告代理店のオーナーと初めて行った
⾼級クラブだった。

言い訳がましくなるが、
甲がクラブに行ったのはこのときが人生で最初で最後だ。

店員に

「お好みの⼥性は?」

と聞かれた際に⾃分でも忘れてしまうくらいに思いつくまま適当に答えるとそっくりそのままの⼥性が隣に座ったのを今でも鮮明に憶えている。

ホステスは全部で30⼈。

30⼈すべてに序列がある厳しい世界だ。

⼄は今月入ったばかりの新人ということで紹介された。

これは後に本当だとわかった。

甲はお酒が飲めないのでジンジャエールとチーズの盛り合わせだった。

連れてきてもらった代理店のオーナーはお⽬当てのホステスがいて
すでにかなりのお金を注ぎ込んでいたようだ。

オーナーが別れ際に言った。

「甲さんはこっち関係の店連れてくるのはあまり効果ないみたいだね。
どちらかというと⾷べる方かな?」

ということでそれ以来、そのクラブの1Fに⼊っている有名な寿司屋で
仕事の終わりにウニ丼をご馳⾛になった。

相手が何に一番⽬がないのかを鋭く観察しているのだった。

甲はいろんな業界を相⼿にビジネスを展開してきたが、
もっとも進んでいてもっとも遅れているのもこの広告業界だった。

ところが、甲はこの1回で乙を仕留めた。

費⽤総額0円。

戦略「ただひたすら話を聴いて質問されたことに一⽣懸命に答えるだけ」。

薄暗い店で⾒る乙はとびきりの美人だったが、
外で⾒る乙は遥かにそれを上回っていた。

某テレビ番組でクラブのホステス特集をやっていたときに
⼄がNo.1ホステスとして出ていたが、
隣にいる某⼥優を凌駕していたと感じたのは甲だけではないはずだ。

甲は鳥肌が立つほど嬉しかった。

本物の美人は顔以外もすべて美人だということを
甲は乙から教わったのだった。

甲はもうこれで一生モテなくてもいいと思えた。

...千田琢哉(2010年1月27日発行の次代創造館ブログより)

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