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【気づき】Vol.1231(2011年11月15日発行のブログより)
キャチボール屋。
好きな俳優に大森南朋さんがいる。
『ハゲタカ』
でエリート役を演じたことで有名だけど、今回は鈍臭い役。
高校時代野球部の万年補⽋でリストラされたサラリーマン。
これが味があっていいんだよね。
タイトルの『キャッチボール屋』は2005年公開の邦画。
これといった盛り上がりもないし、
終始淡々とスローテンポで話が進む。
⾳楽も映画も本もスローテンポで淡々というのは僕好みだ。
こういう映画はバリバリのアクションものに比べて難しいんじゃないかな。
「退屈だ」
と⼀蹴されてしまうリスクがあるからね。
先⽇のブログ『フィールド・オブ・ドリームス』でも綴ったけど、
キャッチボールというのは男と男の会話。
男の子だったら子どもの頃から父親とキャッチボールした経験がある。
まだグローブが大きすぎて体に馴染んでいないのに、
父親はたまに人が変わったように剛速球を投げてくる。
そしてお決まりの⽂句、
「逃げるな、体の正⾯で受け止めろ」
と叱られるというのはお決まりのパターンだね。
「逃げるな、体の正⾯で受け止めろ」
というのは人生哲学そのものなんだ。
映画の中で出てくるキャッチボール屋は、 10分100円だ。
大森さんは7代目のキャッチボール屋で、
歴代のキャッチボール屋はみんな借金の取り立てにあっているなど、
訳ありの人ばかりなんだね。
ホームレス⼀歩手前というイメージがわかりやすいかな。
もう本当に取り壊し間近の公園でやっているんだけど、
いろんな悩みを抱えている人たちがやりにくるんだよ。
中には美人OLも常連客にいる。
キャッチボールをやりにくる人の共通点がある。
みんなキャッチボールをしながら別の誰かをイメージしているんだ。
つまり、キャッチボール屋は球を受け⽌めて投げ返しているだけで、
お客さんの目には別の誰かが映っている。
会社の嫌な上司、嫌な取引先、離婚した妻、⾮⾏に⾛った子ども、
過去の⾃分・・・といったように目の前にいない⾝近な人と会話している。
完全な黒子に徹するキャッチボール屋はカッコいいよね。
ボールの握り⽅や勢いだけで相手の気分や性格まで伝わってくる。
占い師以上の占い師になれるよ。
人生のどこかでキャッチボール屋のような人生を送ったほうがいい。
人は底辺を経験しておかないと、
どこまでいっても本質に近づくことは無理だからだ。
底辺を経験していない人は、言葉がいつも抽象的だ。
本人は数値を駆使して具体的なつもりだが、
底辺を経験した人間から見たら、
まるで嘘がスーツ着ているみたいで笑ってしまうんだね。
机上の空論では、
「あの映画は興行収入どれだけで客の動員数は・・・成功を収めました」
となってしまうからいつだって眠くて仕方がない。
コイツ自腹で観てないなってバレてしまう。
命と命のキャッチボールでは、
「(⼀拍開けて)・・・う〜ん、よかったんですよ〜。
何がよかったかってね、・・・」
という会話がなされる。
(⼀拍)と「う〜ん」の表情が具体性でありリアリティなのだ。
本質を衝きたかったら、
人生のどこかで浪人生活をしてどん底をとことん這いまわっておくことだ。
浪人⽣活はお金を払ってでもしておかないと。
常に自分より2ランク上の人生を⽣きていれば、
自分が器⽤だなんて寝言はほざけなくなるよ。
追伸.
この映画を僕が小学生の頃に観ていたら、
将来の夢は『キャッチボール屋』に決まっていたね。
この世のすべての職業は『キャッチボール屋』なのだ。
...千田琢哉(2011年11月15日発行の次代創造館ブログより)
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