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【気づき】Vol.0984(2011年3月13日発行のブログより)

ゲラチェック。

出版社に勤める人や、本を出したことがある著者であれば馴染み深いゲラ。

ゲラというのは、 galleyと呼ばれる活字を並べる枠箱が転じたもので、
要は製本される前の段階の紙の束だ。

普通はコピー⽤紙で100枚ほどが届けられる。

この紙の束であるゲラを著者は何回かにわたって、
誤字脱字チェックや加筆修正を加えて校正する。

昔は原稿⽤紙に書いたものが、
今はパソコンのワードで書きなぐったものが、
ゲラに変⾝して届けられると感激する。

バーッとパソコンで打ち込んだものが、

いよいよ不特定多数の人たちの目にさらされるんだな、
と実感する瞬間でもある。

僕はいつもこのゲラチェックを1⽇で2回⾏う。

1回⽬は届けられて封を開けた瞬間から。

バーッと集中して読破してしまう。

もちろん、加筆修正や誤字脱字チェックも忘れない。

このときいつも、「よくこんな⽂章が思い浮かんだな」とヒヤヒヤする。

とても自分で書いたとは思えないないように思える。

これは自分の力ではないな、と本気で感じる。

今まで出逢った人や本に感謝する。

ヒヤヒヤするというのは、
「もう次はこの⽂章を超えられないんじゃないか?」というヒヤヒヤだ。

もちろんネガティブな意味ではなく、すこぶる快感のヒヤヒヤだ。

2回⽬に入る前には、たいてい間に⾷事を挟んでからになる。

じっくりと腰を据えて1回⽬よりもさらに熟読していくんだけど、
なぜか1回⽬の半分くらいの時間でチェック終了になる。

・・・というわけで、

ゲラチェック返しはたいてい1⽇で終了する。

だから、出版社にはその⽇のうちにエクスパック500で返しておく。

驚かれることが多い。

でも、これは驚くことでも何でもなくて、
僕はサラリーマンと違ってこれしかやっていないからだ。

今、この瞬間、⼀番やりたいことだけをやっている。

電話にも出ないし、パソコンも開かないし、
上司にも気を遣う必要はゼロだし、部下育成なんてまったく無縁。

⾯倒な職場の人間関係はいったいどこの星の話だろう、という感じ。

ノルマなんて⽣涯無縁。

⼀番やりたいことだけに専念できるから、
普通の人が1週間、2週間かけてヒィヒィ言いながらやっていることも、
たいてい24時間以内に終了する。

とってもシンプルなからくりだ。

たいてい200ページくらいのビジネス書だと、
加筆修正部分は100箇所〜200箇所になる。

これがまったくといっていいほど、苦にならない。

幸せである。

追伸.

編集者からはいつも、
「時間がたっぷりありますから、ゆっくりで結構ですよ」
と意味ありげに⾔われる(笑)

普通は編集者の仕事の約半分は、
著者に締め切りを守ってもらうように急かすことだという。

「先⽣、急いでください。もう締め切り過ぎてますよ!」
と⾔われながらホテルに⽸詰めにされている、

昔のマンガに出てきそうなあのシーンだ。

あれはあれで実際に昔はよくあった話らしい。

...千田琢哉(2011年3月13日発行の次代創造館ブログより)

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