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【気づき】Vol.0807(2010年10月12日発行のブログより)

立地。

立地がいいということは、

必ずしもよいことばかりではない。

僕の書斎のすぐ傍には、
徒歩で行ける距離でコンビニエンスストアが4つある。

1つは徒歩30秒。

1つは徒歩1分。

 1つは徒歩2分。

 1つは徒歩3分。

最寄駅の地下鉄「青山一丁目」には地下鉄が3本交差している。

目の前には巨大なツインタワーもあるから、
朝・昼・晩いずれもとてつもない人たちが利用することになる。

肝心なサービスはどうだろうか。

なんと、接客サービスの序列をつけると逆になってしまうのだ。

3分→2分→1分→30秒、の順だ。

コンビニのサービス力にはいろんなハカり方があるのだけれど、
その中の1つとしては、レシートをきちんと渡そうとするか否か、がある。

コンビニ本体としてもこれは例外なく徹底指導することになっている。

何かあった際に、レシートは証拠として残るから
とても大切なものだからだ。

要らないというお客さんがいても、それは要らないと拒否されてから、
渡さないと決めればいいのであって、
アルバイトの店員が勝手に判断しては絶対にいけない。

酷いのになると、そのまま何も言わずにゴミ箱直行という輩まで棲息する。

コンプライアンスにかかわってくる非常に重要な問題だ。

これができているコンビニは非常に少ない。

つまり、経営層やマネージャー層と、現場が一体化していない状態なのだ。

この部分が一体化していないということは、
他のすべてが一体化していないということに他ならない。

採用と育成がダメな店長だというアピールをしているのだ。

同じマンションに住む住人や、
オフィスビルのビジネスパーソンたちを見ていると面白い。

30秒のコンビニをわざわざ避けて、 1分や2分、3分のコンビニに
足を運んでいるではないか。

ちなみに徒歩3分コンビニはたいへん教育が行き届いており、
すこぶる繁盛している。

クリーンメンテも圧倒的に⼀番である。

当然ながら徒歩30秒コンビニはクリーンメンテも最下位で、
照明も雰囲気も暗い。

お客さんたちは言語化しないにせよ、
居心地とか空気がまったく違うことを察知しているのだろう。

恐ろしいことだ。

徒歩30秒コンビニはなぜ立地が⼀番にもかかわらず、
売上がイマイチなのかまったく気づいていないだろう。

商売をやるのに立地は大切だ。

でも、立地にもたれかかるとたいへんなことになる。

時代は急速に変化している。

5年後にその立地が今のように有利であるとは限らない。

 10年後に衰退して去らなくてはならなくなった場合、
 サービスレベルが低いままよその土地へ行くことになる。

アルバイトの人たちも、レベルの低いサービス力のまま
他で呆れかえられてクビになる。

悲劇である。

何もコンビニに限らない。

ありとあらゆる分野において、有利な環境というのが5年後、
10年後もそのままであり続けることはまずない。

有利な環境でごまかして、中身を疎かにしていると、
不幸が雪だるま式になって襲いかかってくる。

晩年が不幸になる人生とは、たとえばこういうことである。

仮に予算がなくて立地がイマイチでも、落ち込むことはまったくない。

追伸.

不便な立地で繁盛できた店は、どこへ行っても生きていくことができる。

EVISUジーンズの店舗はたいてい駅から遠い場所にある。

でも、高額にもかかわらず全国からリピーターが集い繁盛している。

休日に遠い店まで行く楽しみも、サービスに含まれているのだ。

ここまでくると人生は本当に楽しいだろう。

...千田琢哉(2010年10月12日発行の次代創造館ブログより)

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