100点に対して「天才!」は効果的なほめ言葉ではない

フィードバックについて

まず知っておいてほしいこととして、フィードバック(結果に対する振り返り)は子どもの学力に最も大きな影響を与えるということが、134のメタ分析の結果からわかっている。

(フィードバックの効果は、多くの研究結果から実証済みである。)

一方でフィードバックは「すごい」という端的なものから、「どうして高い点数がとれたんだろう?」「今回の課題は何?」と問いかけるものなど様々あげられる。

効果的なフィードバック

フィードバックとは、大人から子どもへ与えるものと考えるのが一般的である。

しかし、学力に影響するフィードバックには、子どもから大人が受け取るものも含まれる。

受け取るものとは、子どもが、学習をどこまで理解しており、どこで苦戦しているのか、また、いつから苦戦しだしたのか、ということを指す。

つまり、子どもの現状を把握する情報もフィードバックであり、そのフィードバックを基に学習内容や指導内容、声かけを変えていく必要がある。

それでは、子どもの現状を把握しつつ、どのような観点に注意しながら大人から子どもへフィードバックをすればよいのだろうか。

学力を高めるフィードバック3つのポイント

効果的なフィードバックは以下3つのポイントを備えていることが望ましい。

フィードアップ

フィードバック

フィードフォワード

フィードアップとは、何を目標に学習しているのかということ。

フィードバックとは、目標にてらし合わせて、現状どこまで進んでいるのかということ。

フィードフォワードとは、現状に対して、次に何をしたらよいかということ。

以下が3つのポイントを取り入れたフィードバックの例である。

「テストで20点、点数を上げることを目標にしてきた、ケアレスミスは減って10点上がった!、一方で単語問題で間違えてしまうのはもったいない。次は、教科書の見出し単語を覚えてテストにのぞもう。」

「自分の考えが伝わる作文を書くために、(賛成か反対の)自分の立場を明確にすることはできている。一方で、なぜその立場なのか、理由が書かれていない。〇〇さんがそう考える理由となる、エピソードを付け足して書いてみよう。」

少しかたい表現になってしまったが、このように3つのポイントを意識しながらフィードバックすることで、子どもは、自分が今どこに向かっており、そこにたどり着くために何が不足していて、そのためにはどうすればいいかがわかる。

さらに、フィードバックされたことを行動に移すことで成功したり認められたりすることで、成功体験を積むことができる。

フィードバックは子どもが成長するきっかけとなる。

それを「天才!」という一言で済ませてしまうのは、あまりにももったいない。

参考文献:John Hattie (訳:山森光陽)(2020)教育の効果 メタ分析による学力に影響を与える要因の効果の可視化,図書文化社.

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