プリンをかける少年
「ここにプリンがあるよね」
「そうだな」
「じゃんけんして勝った方が食べられるってことにしよう」
「いいだろう」
「よし、決まりだね!ふっふっふ、もう僕には君が何を出すか分かっているけどね」
「どうせハッタリだろ」
「いいや、特別に明かしてあげよう。実は、僕は5分未来からなぜか記憶を持って今に戻ってこれたんだ。タイムリープってやつかな?ここに戻る前は僕が負けたけど、もう負けない。いやぁ、さっきは君がプリンを食べずにもったいぶっていたのが悔しくて悔しくて」
「おい、ちょっと待て」
「なんだい?命乞い、もといプリン乞いは負けた後にいくらでも聞いてあげるよ」
「そうじゃない。さっきからそんなことを喋ってて大丈夫なのか?お前が未来から来たことを百歩譲って認めるとして、じゃんけんの前にこんな話をしたら、またもや想像とは違う未来に到達するんじゃないか?」
「え、そういう考え方もあるのか。なんか急に不安になってきた。失敗したのかな。うわー未来から戻って来れたときは全能感に溢れてたのに!現在にしかいない人にもう負けた気分だ」
「それに、まだ信じてない。挙げ句たったの5分。つまり5分経てばお前は常人に戻ったも同然なんだ」
「くっそー・・・・・・、ま、まあでも?とりあえずじゃんけんしてみようよ。仮に歴史が変わってたとしても、まだ勝率は50パーセントあるんだ」
「まあ落ち着けって。お前がそんなホラを吹いてまでプリンが食べたいって熱意は十分伝わった。そもそもこのプリン、そんなに欲しくなかったからあげるよ。」
「え?本当に?あ、でもホラじゃなくて、じゃんけんすれば分かるから!なんか優しくされっぱなしで譲られたらなんか試合に勝って勝負に負けたことになっちゃうよ!未来から来るってもっとすごいことだと思ってたのに!大損した気分だよ!」
「いや、気にしないでくれ。じゃあ認めるよ、じゃんけんすれば負けてたと思う。俺はただ抵抗してみたかったんだ、その未来とやらに。だからこのプリンは譲る」
「うーん、そこまで言ってくれるなら・・・・・・。じゃあ、ありがとね!やったー!これでプリン食べられる!」
「あ、そのプリン賞味期限10日過ぎてるけどな」
「ええ!なんと、ギリギリ食べたくない陣地に片足入ってるなぁ。これじゃあ糠喜び、もとい糠プリンだよ・・・・・・。あれ、でもこのプリンは僕らがここに来て初めて見たはずだよね」
「ああ、なんで知ってたかって?それは俺が」
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