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最強の「東京」ソングを決める

様々なアーティストが「東京」という曲を作ってきた。
この場所には、みんな言いたいことが山ほどあるんだろう。
ジャングルコンクリート、東京タワー、有象無象、下町、河川敷、カーブミラー、人情、恋人、四畳半。
狭いようで広い、広いようで狭い、息苦しいようで自由なこの都市に、みんな曲を作ってやらないと気が済まないらしい。

いったい何曲あるんだろうと気になったので、歌ネットで調べてみた。
2024年6月7日現在、「東京」または「TOKYO」と名前の付く曲は、171曲。
東京モテすぎだろ。いや憎しみもあるか。

僕も地元から上京してきて早1年。
上京以前と以後では、東京について歌われた曲の見方も変わってきた。
そこで、今回は現時点での「東京」最強ソングを独断と偏見で決めていこうと思う。


基本的にバラードっぽい落ち着いた曲や暗い曲が多い。

applemusicで「東京」と検索してヒットした曲をひととおり聴いてみた。(大変だった)

何となく分かったことは、男は女を思い出しがち。
「夢」「希望」がキーワードとして歌詞に入って来たりもするし、悔しさと憧れを一緒に詰めて、ラベルできない感情を客観的に見てたりする。
女性はわりとマクロな視点で「東京」を捉えていたりするのもおもしろい。
あくまで傾向ですが。(異論も受け付ける)

自分がどのライフステージで聴いているのかによって、受け取るものが全然違って面白そうですよね。

それではをランキング決めていきますか。

第3位 東京/くるり

雨に降られて彼等は風邪をひきました
あい変わらず僕はなんとか大丈夫です
よく休んだらきっと良くなるでしょう
今夜ちょっと君に電話しようと思った

明らかに主人公は岸田さんなんだけど、「彼等は」の部分で客観的な視点が入ってくるのがポイント。
俯瞰で自分を見ても、「なんだかなぁ」と思う自身の現状に、君という「故郷」のシンボルを思いだすわけで、まぁ等身大な心象描写。

自分の身の上話をすると、最近は「ノスタルジー」な思い出に打ちのめされる瞬間が結構あって、これまでの自分の人生のターニングポイントみたいな地点に、もう一度戻れないだろうかと思ってしまうことがある。

だけれども、あの岸田さんでさえ過去をうらやむ瞬間があったのだとしたら、過剰に「ノスタルジー」に心を奪われることなく、とりあえずは目の前の日々をコツコツと重ねていこう思えるこの頃です。

もう一つ、このことに関して示唆深い映画のセリフがあるので紹介します。それは「ニューシネマ・パラダイス」の一節。

アルフレード
「帰ってくるな。
私たちを忘れろ。
手紙を書くな。
ノスタルジーに惑わされるな。
自分のすることを愛せ。
子供の時、映写室を愛したように。」

「ニューシネマ・パラダイス」

第2次大戦下のイタリア・シチリア島。村唯一の娯楽施設である映画館で、少年サルヴァトーレは映写技師の老人、アルフレードと親しくなる。大人になって島をはなれることになったサルヴァトーレに対して、アルフレードが最後に送った言葉だ。


引用元 https://theriver.jp/ncp-concert/

未来に不安が募ると、いつも僕の脳内にアルフレードじいが出てきて、このセリフを投げかける。

歳を重ねる過程で、同じように苦しんだ経験を伝えてくれる異国の「人生の先輩」を、東京から敬いたい。


第2位 東京/ZEZAN

「AKIRA」的東京の世界観。
この都市を、無関心を象徴するものとして痛烈に批判している曲だと個人的には思う。

想像してよ、東京!
新しい暴力を
何をもって乗り越えよう?

世界に比べれば治安が良いとは言っても、この都市にも蓋をされた闇がある。
自分一人が向き合って、何のためになるんだと「無関心」を決め込むのが都会の東京だし、だからこそ身をささげて闇と対峙している人がちゃんといるのも東京だと思う。

自分は正直なところ、目を伏せてしまいたいと思ってしまう。
蓋を開けて中身に手を入れる人たちにうしろめたさを感じてしまうが、自分自身がその社会の輪の中に入っている以上、その覚悟がないのなら、せめてそのバックアップはするべきだろう。

正解のない問題に対峙することに関して、茶化すことは絶対悪だと感じる。
ネットが発達し、匿名の言葉が独り歩きする時代で、「新しい暴力」とはこの態度ことを指しているんだと思う。

人間は鏡で、「自分の行動は必ず帰ってくる」なんて、道徳の教科書に書いてありそうなことを、27歳になって言葉の重みを素直に感じるこの頃です。


第1位 東京/きのこ帝国


きのこ帝国の2ndフルアルバムになる「フェイクワールドワンダーランド」から東京。

個人的にオールタイムベストに入る1枚です。私が死んだら棺に入れてください。頼みましたよ。(CV七海)

きのこ帝国の曲の雰囲気は、初期の作品から解散までにガラッと変わる。
まるで、ブリザードが収まらずに希望が見えない雪山から、雪解け水で豊かに実る田園に降りてきたような感覚。

音楽的に言えば、混じりけのないシューゲイザーからやわらかいポップスに移り変わっていく。

その過渡期にリリースされたのが、この2ndフルアルバム。心境の変化が手にとってわかるような、とても人間臭いアルバムで個人的に全く色あせない作品です。

特に「東京」に関しては、絶望と希望のちょうど中間地点というか、感情の起伏がすごくゆっくりで、過去も未来も視野に入っているような不思議な感覚を与えてくれる。

この曲を初めて聴いたのはまだ高校生の時で、リアルタイムに東京に住んでこの曲を聴ける人たちにジェラシーさえ感じていたけれど、今となっては「こんなものか」と思えるようにもなったし、そばに置いておきたい一曲です。


日々あなたの帰りを待つ
ただそれだけでいいと思えた
赤から青に変わる頃に
あなたに出会えた
この町の名は、東京

冒頭の歌詞で一つ気になる部分がある。
この「赤から青に変わる頃に」ってどんな時なんだろうか。

パッと浮かんだのは信号機で、広いこの都市で「交差」して、偶然出会えたことを指してるのか。
または、苦しかった生活が上向いてきて、望んだ平穏を手に入れることができたのか。

どちらにせよ、なんだかつかめない歌詞が、スルメのように何度も楽しめる、賞味期限の長い曲になってると思います。

個人的に暫定一位。これをもって「最強の東京」にしたいと思います。

皆さんの「最強の東京ソング」は?

つらつらと、独断と偏見で語ってきましたが、泣く泣くランキングから外した楽曲も多くあります。

みなさんの好きな「東京」も気になるので、ぜひコメントで教えてください。

それでは~











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