またお前かアメオ_3 あの曲へのセルフアンサーソング「no no darlin'」

ASKAさんの作詞曲についての文です。
細かい前口上とか背景とかは「_1」に書きましたのでそちらを何卒。
たぶん「_1」「_2」を読まないとここから先訳わかんないと思いますので、まだの方は何卒。

一応一言で言うと
「雨、星、空はアメオの合図」
です。

はい。

で今回は「no no darlin'」です。

「no no darlin'」
1992年リリース
作詞 作曲 飛鳥涼
歌 CHAGE and ASKA
(以下””内は全て同曲歌詞からの引用)

前回、前々回に取り上げた「はじまりはいつも雨」「SAY YES」が共に1991年。1991年〜1992年には他にグループ、ソロ含め、
シングル
「太陽と埃の中で」
「僕はこの瞳で嘘をつく」
「WALK」
「LOVE SONG」
「if」
アルバム
「SEANE Ⅱ」
「TREE」
「SUPER BEST Ⅱ」
「GUYS」
をリリースしています。

いやちょっと待って。

なんですかこのメチャクチャなペース。
ほとんどミリオンセラー、ダブルミリオンもちょいちょい混ざってます。
ダブルミリオンがちょいちょい混ざるってどういう状況ですか。
全部合わせたら軽く1千万枚以上売れてます。
しかも翌年の1993年には「YAH YAH YAH」です。
もうこれ正気の沙汰じゃないよ!

ということで、まさに怒濤のリリース流星拳の中発売された「no no darlin'」ですが、これまたこれまたもう。

兎にも角にも楽曲が素晴らし過ぎる。
貫禄と言うか何と言うか、前奏からしてもうただ事じゃありません。
神がかってます。
サビで入るCHAGEさんと女性コーラスの歌声も美しい。
そしてASKAさんとCHAGEさんが響き合う大サビが。ああ…

名曲。以上。終わり。
で良いじゃないか。

とは思うんですが、気づいてしまった以上は書かねばなりません。

以下、歌詞カード片手にどうぞ。

1番。

“土曜の夜は朝まで君を抱く
窓の外過ぎて行く世の中でふたり動かずに”

うん。いいですね。
大人の恋愛のムードです。
ただし平和なのはここまで。
この歌は早めにブッ込んできます。

“振り向く度に僕を許している
急いでは悲しませた君の瞳に甘えた”

ん…?
いきなりの謎フレーズ。

ひとまず先に行きましょう。

ボーカルがASKAさんからCHAGEさん+女性コーラスに交代し、美しいサビのメロディが広がります。

“No no darlin’
雨の向うに広がる空を
いつもふたりで呼んで来たじゃない”

いやもうほんと素晴らしくて何もかもどうでもよくなってしまいそうですが。
ここで「あっ!」と思えたらアメオ初段合格です。

入ってますね。
入ってますよ。
「雨」と「空」が。
つまり、これもアメオソングなのです。

この歌は男女の掛け合いの形をとっていて、サビのパートは女性の言葉です。
“No no darlin’” は「ううん、いいのよあなた」みたいな感じでしょうか。
「木綿のハンカチーフ」を思い出します。

“雨の向うに広がる空を
いつもふたりで呼んで来たじゃない”

は、

「今は不倫だけど、いつか幸せになろうって約束してきたでしょう?」

ととるか、

「これは不倫だけど、その中にはふたりで育んだ真実の愛が包み込まれているでしょう?」

ととるか…。

いずれにせよ、何という切なさか。

ここでひとつ前の謎フレーズも合わせてまとめておきましょう。

“振り向く度に僕を許している
急いでは悲しませた君の瞳に甘えた”

不倫の逢引なのでゆっくりなんてしてられません。
さっさと事を済ませてサヨウナラってなもんです。
いつもこんな風で君は大丈夫?って確認するけど、その度に「ううん、いいのよ」って許してもらえるので、ついつい甘えてしまうという…
本当に罪作りな奴だなアメオ。

2番行きましょう。

“時計の側で時間を無くしてる
ゆるやかにたたみあう腕と腕
ふたり鳥のように”

不倫の逢引なのでゆっくりなんてしてられません(2回目)。
あっという間に時間切れ。
名残を惜しんで抱き合う様子が、そっと寄り添うつがいの鳥のよう…という感じでしょうか。
なんとも物悲しく、切ない描写です。

でも次の一節で世紀の野暮男・アメオが全てぶち壊します。

“いつかは幸せいくらでもあげるよ
言葉ならあふれてる 君の胸にこぼすよ”

「いつか幸せにしてあげるよ」
なんて不倫男の常套句の上に、言うに事欠いて
「いくらでもあげるよ」
って、もっと他に言い方ないのかアメオ。

思えば「SAY YES」では、全編喋くり倒していたアメオさん、不安や自信のなさが募るほど口数が増えるタイプなんでしょうかね。

“No no darlin’
言葉よりもやさしいお花を
いつもふたりで育てて行こうよ”

ほら言われてる。
言葉なんていらないわよって。

アメオに比べてなんと奥ゆかしく包容力のあることか。
アメオてめぇにゃ勿体ねぇよ!

“君が(君が) 君が僕の中に(いつも君が)
描いてくれた雨あがりの空を
君が(君が) 君が僕の中に(いつも君が)
預けてくれた大切な花を”

いや、この大サビ、CHAGEさんとASKAさんの掛け合いが本当に素晴らしくて大好きなんですけども。

アメオ目線で見ると「君が君が」って、ほんと彼女に頼りきりなんだな…と情けなくなってきます。

はい、そんな感じで。

繰り返しになりますが、楽曲自体は間違いなく名曲です。
本当に洗練されていて隙がなく、まさにCHAGE and ASKA の真骨頂と言えるでしょう。
ただ、同時にアメオ節も絶好調で、男って奴ぁ本当に…と噛み締めさせられせしめる恐い歌でもある。
まぁこういう男ほど、なぜか不思議にモテるんですけどね。

この「no no darlin’」というフレーズ・曲は、前回、前々回の「SAY YES」「はじまりはいつも雨」や、次回お話しする予定の「if」などに見られる、不安やら罪悪感やらに揺れながらベラベラ喋る、そんなダメ男へのアンサーソングなのかな、と思います。
個々の楽曲の素晴らしさはもちろん、この数曲がかりでの壮大な構成、見事だなぁ。

では次回も、そんなアメオさんを探しに行きましょう。

ごきげんよう。

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