寒い日だからぶりっこについて考える
「男に好かれるために生きてる人は違うよね」
こんな寒い日には唐突に思い出す。
前の職場で言われた一言。
言われた瞬間は何言われてるか理解できなかった。あの時の私はどんなリアクションを返したんだっけ?
思い返せば幼い頃から「ぶりっこ」と馬鹿にされていた。でも、当時の私には自分の何がぶりっこなのか理解できなくて、苦しんだ時もある。
まぁ、ネガティブなポジティブはその頃から健在だったから、悩んだ後は寝ればケロっとしていたのだけど。
私の何がぶりっこなのか大人になった今なら分かる。良く言えば愛嬌がある、悪く言えば八方美人で、しかも昔から何か考えている時とか、楽しくなって笑う時とか、まぁ四六時中口元やら顎元に人差し指を置いたり両手をあてたり、いわゆるぶりっこっぽい仕草をしていたのだ。
そして、この癖は大人になっても治っていない。
何ならそうすることで品が良く見えたり、可愛く見えることすらあると知ってしまって、無意識に顔の下半身に手が置いてある。
この効果は絶大だ。なんせ会う人、会う人「いつもおっとりしてるよね」だとか「なんか品があるよね」とか言われてしまうからだ。
大人になるにつれ、美容好きが高じて自分磨きに精を出した。そしたら、面白いくらいに男性が声をかけてくるのだ。その上、ちょっと品が良く見えるからか信頼も得てしまう。
もちろん男性に好かれるためにしていたことではない。女の子に嫌われることが多かったから、どうしても自分以外の人間に好かれたかった。
まぁその癖とおっとり具合に似つかわしくない男性的な中身が邪魔をして同世代の女性は敬遠する人と仲良くしてくれる人に二極化した。
そんな日常を送っていた時、転職して1年過ぎた12月の半ば頃に職場のいわゆるお局様に冒頭の一言を言われたのだ。
後頭部を鈍器で殴られたような衝撃があった。
「ん?この人なんば言いよると?」
頭の中で何度も反芻した。考えても分からないから無視しよ!そう思ってその日は床についた。
でも、その翌日も、そのまた翌日も言われ、年が明けて暖かさが訪れる頃までほぼ毎日のように何かしら関連した言葉を吐かれた。
さすがの私も心が崩壊していった。当時流行り出したスト缶を2缶とスナック菓子を毎日食べていた。そして、みるみる太った。
その頃は今より5kgくらい太っていた。それでも、その癖とおっとり具合は治せず、何ならその心の苦しさが儚く見えたのか男性は相変わらず寄ってくる。お局様からしたら本末転倒な展開が待っていた。私はお局様に攻撃されて更に病んでいった。
そのお局様とは心が限界になって上司に相談して部署異動したことで、落ち着き、その1年後にはケロっとしていた。こういう時にネガティブなポジティブって本当に良いものだ。
だから、私がここで言いたかったのは「ぶりっこ」って別に悪いものじゃないってこと。だって、無意識にしてるものって自分じゃどうしようもできない。私は友人から言われて、その癖に気付いたくらい。
昨今では「あざとい」とかいう言葉もあるけど、それも無意識に行っているものなら、悪者にする必要もない。
「ぶりっこ」も「あざとい」も作ろうと思えば作れる。だからこそ、嫌われる要因になり得るんだけど、気にせず貫いてほしい。あなたがしている無意識の「ぶりっこ」は、あなたの個性だから。
私は今日も明日も「ぶりっこ」を貫いて生きていく。
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