広瀬香美の歌声とやなせたかしの詞

そうだ うれしいんだ 生きる喜び
たとえ 胸の傷が痛んでも

この「生きる」の歌い方、発声のしかたというのか声の出し方というのか、この部分の丁寧さ力強さ優しさに広瀬香美の気持ちを感じて泣けた。

やなせたかしの詩

やなせたかしの詩は、やさしい言葉ながら孤独で厳しく「アンパンマンのマーチ」や「手のひらを太陽に」など、軽快で明るい音楽に乗っているから歌いやすくはあるけれども、この歌詞を子ども達に歌わせるというのはなかなかすごいなと思う。

私はアンパンマンは絵本の世代で(アニメはまあまあ大きくなってから始まった記憶がある)、アニメは子どもが産まれてから主にお世話になっていた。

その中で「アンパンマンのマーチ」と「アンパンマンたいそう」は何度も聞いたし歌った。アンパンマンたいそうは踊りまくった。

「アンパンマンたいそう」の歌詞もなかなかスパルタで、自信をなくしてくじけそうになってもアンパンマンは登場せず

アンパンマンは君さ 勇気をだして
アンパンマンは君さ 力のかぎり

と励ますのだ。ううう、アンパンマン助けてよぉ……なんて思いながら聞いていたのだけれども、この感じがやなせたかしぽくて好きだった。

私は何度か手術をしているのだけれども、最後の手術はもう気持ちが折れそうで(というか折れてもなんでも手術しなきゃいけないから手術したんだけどとっくに折れてた)その手術室に向かう際に脳内で「アンパンマンマーチ」と「アンパンマンたいそう」がグルグルと再生されて、その時に、ああ、やなせたかしが子ども達にこの詞を送ったのはこういう時のためなんだろうな。と、麻酔で意識が落ち行く中考えたものだった。(嘘です。麻酔は一瞬で落ちるので、実際は考えられません。盛りました。)

やなせたかしに勇気づけられたエピソードはもう一つあって、それはやなせたかしが亡くなられる半年くらい前のインタビューを見たときに(記憶が曖昧)

「死にたくねぇよ。なんで今死ななきゃいけねぇんだ。面白くなってきたところなのに」

と答えてらしたのだ。

今って、なんとなく当たり障りのないフレーズをみんなが知っていて、それを言われることで傷ついてしまう事ってないですか?
私は病気がわかったときに
「でも、人っていずれ死ぬし」
「私だって明日死ぬかもしれないしさ」
のような慰めに傷ついたのですが、そんなときにこのインタビューを思い出し

だよね!そんな悟り方誰ができるか!!

と強く思うことができたのでした。っていうかなんだよ、その死ぬ前提の慰め。ばーかばーか!生きてるぞ。

広瀬香美の歌声

というのをですね、上の動画を見た瞬間思い出しました。広瀬香美さんのあっけらかんとした中に優しさと、全力で歌う姿っていいですよね。

本当は広瀬香美の動画の歌について書きたかったんですが、長くなったのでまた次回。


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