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寺山修司記念館④漢字とひらがな

寺山修司記念館で売っているお土産から感じた漢字とひらがなの話です。

ミュージアムショップのお土産って、良いですよね。大好きです。

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消しゴムなんですが、左から

作り直しのきかない過去なんてどこにもないんだよ
消しゴムがかなしいのは 
いつも何か消してゆくだけで 
だんだんと多くのものが失われてゆき
決して ふえることがないということです
何かを「あらわす」ために用いられる言語は、
何かを「かくす」ためにも用いられる

という言葉が書いてある消しゴムです。

漢字にするかひらがなが

これはちょっと人とのやりとりで思ったことなんですが、何かを書くときに日本語は、漢字とひらがなとカタカナを選べますよね。
寺山修司の、この選び方が結構好きです。ギリギリあざとくない感じが。

例えば消しゴムに書かれている「かなしいのは」の「かなしい」。

「悲しい」方がズババーンと悲しさがイメージに入ってきてしまうのですが(「悲」って、泣いているように見えますよね)、「かなしい」だと、意味がはっきりと心に入るまでワンクッションある感じがします。
漢字の看板とローマ字標記の看板では、漢字の方が伝わるスピードが速いそうなんですが、そんな感じかなと。

なので割とシビアな事が書かれていても、なにかしらの優しさ成分を感じてしまいます。やりすぎるとあざとさに胸焼けしますが。

というわけで、こんなに消しゴム使いませんが3つ買っちゃった。220円。

歌の缶バッジガチャガチャ

こちらは、館内にあるがちゃがちゃ。白地と黒地のバッジがあるのですが、なぜかいつも黒をひいちゃう。

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こちらも、J-POPだと「失くせし」とか書いちゃいそうですが「なくせし」。「失くせし友」だと、失望した感もワンセットで連想しちゃうんですが、「なくせし友」で友への柔らかい感情、懐かしさと親しみを感じます。

「苦し」も「にがし」。「苦し」だと「苦々しい」イメージが強くなっちゃいますが、もうちょっとトゲトゲしていない感情を感じます。

このズババーンと表記してしまわないあたりが好きです。北国の男性(全国の男性を知っているわけではないですが)の朴訥とした優しさを感じます。シビアになりきれないというか。

林檎りんごリンゴ

あと、もう一つ「林檎の木」。これもう全くのイメージなんですが

林檎→木
りんご→実
リンゴ→カットフルーツ

というイメージが私の中にはあって

林檎の木
ゆさぶりやまず
逢ひたきとき

の「林檎」が漢字なのが良いなと。「林檎」と見ただけで林檎畑の木々がさわさわと揺れて、ふわっとりんごの香りがしてくるような気がします。

記念館に行くといつもやっちゃいます。200円。


と、ここまで書いておいてなんなんですが、手元に本がないため本当にこの表記なのか調べることができません(笑)もし間違えていたらごめんなさい。

でも、デザイン的にもこのサイズにこの言葉なら、この漢字とひらがなのバランスは最高だと思います。




来年またなにかやれたらいいな