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青森ワッツがなくなるのは仕方がないことなのか

そもそも、リーグはオシャレでラグジュアリーな空間を目指しているのだから仕方ないのではなかろうか。

ラグジュアリー?

がん治療で、末期になると副作用の弱い薬から試して体力を温存しつつ、効果があった所でしばらく同じ治療を続けていく。
それは、決してあきらめではなく、もしかしたら新しい治療法ができるかもしれない、薬が出てくるかもしれないからそれまで体力を温存し生きながらえましょうということで、Bリーグになってからの青森ワッツはその状態だったように思える。
いままでよく頑張って来たんじゃないかな。

リーグが目指すラグジュアリーな空間とは裏腹に、ワッツの運営は浪花節で泥臭い物なんだろうというのは容易に想像がついた。

私の記憶では、ワッツはクラファンを2回行っている。
「チーム存続の危機です!」というものではないけれども、チームの活動を充実させる名目だったはず。
それ以外にも以前、会場で常時募金箱が設置されていた。ワッツへの募金。
会場内ブルーリングス募金箱を持って募金を呼びかけていたこともある。あれは確か、スクール運営費用のためにという名目だった気がする。
ワッツが出している求人は、それはまあ地元水準といえば地元水準なんだろうけれども、割に合わない感漂う求人票だった。

そんなこんなで、まあなんというか「厳しいんだろうな」というのずっと感じながら観戦していた。

もう、こんなに無理をしている状態を応援する事自体が罪なんじゃないか。

でも、なんとか収支を健全に保って、地元での信頼を獲得していたので、もしかしたらこの小康状態を保てれば何とかなるのではと思っていた。2026年の新リーグ構想が出るまでは。

新リーグの構想はもはや地方チームには厳しくこれはもう中央の資本が入る以外に手はないと思った。その結果が今回の報道。
誰が責める事ができるんだろう。

まあ、いいや。
それでもどうにかこうにかプレーオフ行けたし。
Bリーグ観戦は面白いし、年に数回気になるチームを見るだけでも楽しいんじゃないかな。
そもそも地方に住んでいる事自体がマイノリティ。そんなものを相手に商売などしていられないのだろう。

そんなことを思いながら、私はB1チームの観戦に行っていた。

どちらのチームを応援するでもなく、両チームのナイスプレイに喜び、よくわからないやらかしにこっそり笑ったりしながらの観戦はそれはそれでとても楽しい。
ただ、観戦していて一番圧倒されたのは観客の熱狂で、自分の応援しているチームの活躍に一喜一憂する姿に驚き感動し、「私もこの中に混じりたいな」と思うからまた見に行きたいと思ったことを思い出した。

デッチブランケット仲間には、はいらなくてもいいけど

そもそも、私が今ナイスプレイを喜べるのも、謎なやらかしに友人と顔を見合わせてこっそり笑う事ができるのもそれは青森ワッツを通してバスケを覚えたからなのだ。

そういえば、あの選手は「地元にスポーツチームができたことがきっかけでプロを意識した」と話していた。スタッフのあの子は、子供の頃からワッツを見に来ていた子だ。チアのあの子は、数年前ジュニアチームに所属していた。私の子供も県外にでたので青森ではないもののBリーグを見つづけている。

それもこれも全て数年前の、おそらく10年前位の観戦がきっかけなのだ。

「今は」無くなっても仕方ないのかもしれない。
無くなってもなお、楽しさを知った人は見つづけるし金を落としつづけるだろう。
でも10年後はどうなんだろうか。

やっと、設立初年度に蒔いた種が実ってきた矢先の今回の報道に、どうか、関わる人全てが損をしないように、その夢や文化を失わずに済みますようにと願うばかりです。


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