LifeClips再録⑩

【何の配慮もいらない自由極まる音楽の話〜山崎まさよし編3〜】
2020/10/11

しばらく遠ざかってみても音楽プレイヤーの中に入っているしカラオケに行けばやっぱり歌うのが好きな歌、マイベスト山崎まさよしは「僕らは静かに消えていく」という曲です。
本人出演のpv(というよりショートムービー)が意味深に暗くて、怯えた捨て猫の威嚇ような目の演技が素敵な人だなと思ったことを覚えています。ひとしきり傷付いた後の無表情というのでしょうか、彼の温度が失せた目がとても印象に残っています。

で、そうして時折思い出してはiTunesで検索なんかして新曲に触れたり触れなかったりしていて、しばらく振りに開いてデビュー25周年であることとニューアルバムの存在を知った今年3月のことです。

1曲目、「Regression」。
だめでした、試聴の数十秒で完全にやられました、私の求めていた「山崎まさよし」にガツンと殴られたような衝撃でした。
これでした、私が多感な中高生の時に味わった衝撃は。
イントロのギターの音、メリハリのある伸びやかで個性的な声、踊るようなパーカス、歌詞の乗せ方選び方、リズムもテンポも理想のカッコ良さでした。

その後も「愛にコリータ」「プロフィール」「知らんけど」と理想の山崎まさよしの音に襲われること襲われること、まさかここに来て「山崎まさよし」を取り戻せるなんて思いもしませんでした。

「愛にコリータ」に漂う気怠さは、今の年齢になったからこそ似合うと思います。「なにはともあれ所詮愛にはかなわない」とか「愛にうんざりしてる」とか、雰囲気が抜群です。

「プロフィール」のメロディの物悲しさは、「メヌエット」に近いような印象を受けました。つらつらと淡々と語り、どこか他人行儀な淡白さを乗せるのに相応しい音の作り方だと思います。

「知らんけど」で初期のやんちゃな部分が大人になって帰って来ました。若い勢いで押せ押せな曲からパワーアップした、大人の遊びと文字通り「知らんがな」と笑ってしまうような力の抜け具合に、リズミカルな音が楽しくて。

さて、ここまで来たらこの勢いで初めてのライブにでも行ってしまうか!?
と思ったら自粛自粛の日々ですよ、今年は何をやろうにもうまくいかない年になりましたね、来年チャンスがあればいいなあ。

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