1冊で1レシピ! ペペロンチーノを通して食文化の奥深さに触れる『アーリオオーリオのつくり方(片岡 護)』【読書ログ#30】
西麻布のイタリアレストラン『アルポルト』の片岡氏が、1冊全部使って『アーリオオーリオ』の作り方を紹介している。
アーリオ=にんにく
オーリオ=オリーブオイル
つまり、アーリオオーリオは『にんにくとオリーブオイルのスパゲティ』という事になる。これに赤唐辛子で辛味をつけるのだが。
赤唐辛子=ペペロンチーノ
ということで、日本では『ペペロンチーノ』としておなじみの人気スパゲッティーだ。
『アーリオオーリオ』を作るために必要なものは、パスタ、オリーブオイル、にんにく、赤唐辛子、パセリ、そして水と塩、それにお鍋。実にシンプル。
『アーリオオーリオのつくり方』では、パスタの本場イタリアで長年食べ歩きをしてきた著者が、基本的な食材について、徹底的に紹介していく。これで本書の半分以上を使っているのだが、これがとても面白くて、イタリアという国の、食への溢れんばかりの愛情が見えてくる。料理とは、地域の文化や、水や土壌条件といった風土と結びついた総合文化だということがよく分かる。
日本で、イタリアのアーリオオーリオにあたるものは何かなと考えてみたけど、豆腐の味噌汁がそれに近いのかもしれない。シンプルだし、手を抜こうと思えばいくらでも抜けるが、ちゃんと作ろうと思うと出汁のとり方から各素材の選びかたまで、恐ろしいほどのノウハウと文化の蓄積がありそう。そして、効率化という金科玉条で本来の味わいが忘れられつつある現状も、課題意識の持ち方としては似ている。
若い頃、この本に従い、実際にアーリオオーリオを何度も作った。手軽だし、時間もかからない上に経済的、栄養なんて気にしていなかった頃にはちょうどよい料理だった。
私は、にんにくを潰して使う方のレシピが好みで、たまにパンチェッタだとか、燻製ベーコンを入れて肉と脂の旨味を足していた。
赤唐辛子を抜くとパサパサして美味くないという事が書いてあるが、本当に食感が悪くなるのが不思議だった。
ああ。お腹が空いてきた。また、久しぶりにアーリオオーリオを作ってみよう。
残念ながら既にに絶版。だが、古書が安いので、料理が好き、食事が好きな方は今のうちに手に入れて読んでみて。すごく良い本ですよ。
「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。