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「まる子」は、ちゃんと大きくなって、働いて、結婚も(離婚も再婚も)するよ 『もものかんづめ』 【読書ログ#54】

『ちびまる子ちゃん』の作者でおなじみ、さくらももこさんのエッセイ集。1991年の発売だから、もう28年前のエッセイ。

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もものかんづめ(さくらももこ)

本書が発表された当時は、アニメ「ちびまる子ちゃん」の人気がガツンと上がった頃だったと思う。みんな、ぴーひゃら、ぴーひゃらと歌っていた。

参加している本読みの会の課題図書になっていたので久しぶりに手に取ったけど、そもそも「思い出」を面白おかしく話しているエッセイなので、古びた感じがしない。当人が奇人で、しかも表現力が神がかっているので、今読んでも、とても面白い。

力の抜けた「まる子」のキャラクターがそのまま大人になってバカなことをしていて。ああ、まる子が大人になるとこうなるのだなと、妙な納得感がある。

凄く変な話をしているのに、さくらももこの書き方がフラットで、感情の振れ幅が少なく、淡々と書いてあるものだから、それがなおさら可笑しい。

実は折り合いが悪かったお祖父さんとのお別れを書いたのに、なぜか大爆笑間違いなしの『メルヘン爺』なんて、どうして不謹慎にならずに書けるのか不思議でならない。

ああ、おもしろかった。

御本人は闘病の末に若くして亡くなってしまった。もう新しい作品が出てこない。さみしい。

さくらももこと聞いた時に、宇宙人に腹痛スイッチを押される話と、飲尿にハマる話を思い出したのだけれど、どちらもこの本には掲載されていなかった。別の本ね。そうか、読みたくなるな。

「いちいち心配したって心配しなくたってどっちみち結果は同じなんだよ。どうせなるようにしかならねぇんだから、心配するだけ損じゃねえかよ。」

ヒロシは実物もアニメでもたまにいいことをいう。

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