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子育てママ・パパは必読だ 『私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む』【読書ログ#75】

『私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む』(ポール・タフ)

子どもの貧困という問題がある。セットで語られるのは、親の資質だ。それらをセットにして「貧困の連鎖」なんて言葉で紹介されたりする。

貧困家庭で育ったことで良い教育が受けられない、結果、様々な不利を背負う。やがて、その不利を背負ったまま子を産む。そして、その不利は連綿と受け継がれていくことになる。

一般的には、その不利とは、教育の質や学歴、年収で語られる事が多い。

であれば、子供の時からの教育をしっかりと公的機関が面倒をみればよいのではないか、という話になるが、何故かうまくいかない。

かわりに近年の教育分野では「非認知能力」に関心が集まっている。

この「非認知能力」は、IQや学力よりも人生の質に影響をあたえていると明らかになってきているそうで。具体的には「粘り強さ」や「誠実さ」、「自制心」、「楽観主義」などを指している。

ようするに「性格の強み」だとか「ソフトスキル」の事だ。

この資質は三歳まで過ごした《環境》によって育まれることがわかっている。「非認知能力」とは、子どもをとりまく環境の産物であり、その環境とは、ずばり家庭環境を指している。

就学前の生活で「非認知能力」をしっかりと得る事が出来なかった子供は、学業も伸びず、犯罪率が高く、年収も低くなる傾向にある。そして、そういった親は、子の「非認知能力」を適切に育てることが出来ない場合が多く、よって負の連鎖が発生してしまう。

《貧困の連鎖》が起こる大きな理由の一つが「非認知能力」の欠落なのだ。

では、どうしたらよいのか?

本書では、豊富な事例と、エビデンスのはっきりした調査で、主にアメリカでの「子供の貧困」の状況と、それを打破するための取り組みが紹介されている。

アメリカの話が参考になるの? と軽く見てはいけない、日本はアメリカ以上に貧困に対して冷淡で、自己責任ということばで突き放す傾向が強いが、それらは、本書に書かれる貧困の理由を加速させるものである。

子育てママ、パパは絶対に読んでおいたほうが良いと思う。なぜか。この事を知ることは、将来、自分達のこどもが活躍する社会を、よりよくする為のヒントにもなるかもしれないから。

勉強のできない子、人に迷惑をかけてしまう子がいる。その子たちは、別に頭が悪いとか、生まれながらにして悪意があるとか、そういうことではない。他の子と同じように、幼少時代に愛と感心に満ちた環境さえ与えれていれば、普通の子に育っていたはずだ。

その状態を自己責任と冷淡に突き放すのではなく、学校や地域やコミュニティでどのようなサポートが出来るのか。

企業は育休支援などで従業員が子供との時間を取れる様、いかにサポートが出来るのか。

行政や政治に働きかけ、児童とその親が正しいサポートを受けられるよう、働きかける。

そういったことの積み重ねが子供の貧困を防ぎ、僕らの子供が、その子供達がより輝ける世界へ近づけるための一歩となる。

選挙に行く、就職先を選ぶ、学校や公的サービスを選ぶ。そんな時に、よりよい親子関係を支持するものなのか否かを判断基準に入れるだけで、徐々に世の中は良くなるはずだ。

非認知能力への投資は、13倍のリターンがあるという試算もある。経済も文化も上向くかもしれない。今の親の世代が頑張れば、子供達の未来はバラ色だ。がんばろう。

残念ながら、翻訳が変な箇所が多い気がする。日本語が変な箇所が多い気がするし、文章も変な箇所が多くて、文中に「〇〇は2つある。1つは……」と始まるのに2つ目が始まらなかったり色々と。

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