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『世にも危険な医療の世界史 (リディア・ケイン)』【読書ログ#25】

泣き止まない子供にアヘンを与える。皮膚の調子が悪ければ水銀の風呂に沈める。下痢をしたけりゃ毒を飲む(普通)。病気を治すために血を大量に抜く。

今と違い、大昔の医者は、なんとなく経験上そんな気がする、といった事が書かれた医学書に、医者独自の創意工夫と思い込みをブレンドして治療をしていたので、経験と勘で治療し、生きていればラッキー、死んだら病気のせい、という感じの事が多かった。

もちろん、ちゃんとした医療行為も行われていたが、未知の病気に対する態度は、いささか雑にすぎるものが多かった。

この本では、本編28章+トンデモ医療2章で構成され、今では考えられないような、でも、大昔に実際に行われていた恐怖の医療行為が多く紹介されている。

内容にびっくりするが、何が一番驚くって、実際にこの治療を受けていた人が大勢居るってことだ。本当に気の毒だ。

読んでいて楽しい本ではないが、最後まで読んで思うのは、現代に生きていて本当に良かったということだ。心の底からそう思う。本当にそう思う。

現代の医師は(多少の例外はあるが)「根拠に基づく医療」を実践してくれる。水銀の風呂に沈められないし、覚醒剤は打たれない、ヤギの睾丸も移植されない。ありがたい。これまで、長い歴史の中で誠実に仕事をしてきた大勢の医療関係者の方々に対する感謝の心でいっぱいになる。

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たまにガンを治すなとか、ワクチンを打つなとか、おかしなことを言って他人を不幸に陥れる医師もいるそうだが、怪しいなと思ったら、自分でもコクラン共同計画などで調べる事が出来る。良い世の中になった。

「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。