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【注目ニュース】パワー半導体向けウェハー市場、2035年に1兆円台へ

発表日時:2024年4月19日

概要

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済の調査によると、パワー半導体向けウエハーの世界市場は、2024年見込みの2813億円に対し、2035年は1兆763億円規模となるそうです。特にSiC(炭化ケイ素)ベアウエハーは、2024年にSi(シリコン)ウエハーの市場規模を上回る見込みです。

この調査では、パワー半導体向けウエハー8品目について最新の市場を調査し、将来を展望するとともに、ウエハーメーカー5社について販売動向や開発動向をまとめています。具体的なウェハーの種類は以下の通りです。

パワー半導体向けウエハー 

  • シリコンウエハー

  • SiCベアウエハー

  • SiCエピウエハー

  • GaNウエハー

  • 酸化ガリウムウエハー

  • ダイヤモンドウエハー

  • 窒化アルミニウムウエハー

  • 二酸化ゲルマニウムウエハー

パワー半導体向けウエハーの世界市場

パワー半導体向けウェハーの世界市場(富士経済から引用)

2024年の市場は前年比23.4%増の2,813億円と見込まれています。シリコンパワー半導体の在庫調整によりシリコンウエハーが前年を下回る一方、主要メーカーが生産能力を増強したことなどからSiCベアウエハーは前年比56.9%増でシリコンウエハーの規模を上回るとみられています。

2025年以降は、パワー半導体の需要増加に比例して市場拡大していくと予想されます。自動車の電動化による需要増加でSiCベアウエハーが長期的に市場をけん引し、シリコンウエハーも生産調整の影響から脱すると予測されています。

さらにGaNウエハーの大口径化が進むことや、酸化ガリウムウエハーの量産開始といった上乗せもあり、2035年の市場は2023年比4.7倍の1兆763億円との予測です。今後は、化合物ウエハーではダイヤモンドウエハー、窒化アルミニウムウエハー、二酸化ゲルマニウムウエハーなどの開発が進められており、実用化が期待されています。

また、ウェハーの口径別構成比についても調査されています。

ウェハーの口径別構成比(富士経済から引用)

構成比は枚数ベースで算出されています。近年はパワー半導体の需要増加に伴いウエハーの大口径化が進んでおり、シリコンウエハーは12インチ化が進んでいるほか、SiCベアウエハーは2025年以降に8インチウエハーの市場が本格的に立ち上がるとみられています。

また、GaNウエハーや酸化ガリウムウエハーでは、パワー半導体の量産に向けて6インチウエハーの開発が進められています。

シリコンウエハーは、8インチウエハーが多くの産業分野などで採用され、今後も6割以上を占めるとみられます。将来的には特定のデバイスを除き8インチと12インチが採用されることが予想されています。

SiCベアウエハーは6インチが大半を占める。今後もこの構造が続くとみられますが、現在開発・サンプル出荷が進められている8インチウエハーの市場が2025年以降顕在化し、2035年には13.3%の構成比を占めると予測されています。4インチは中国など一部エリアでの展開に留まり、今後縮小が予想されます。

解説

今後もパワー半導体の需要がさらに拡大することは間違いないと思いますが、2035年に2023年の4.7倍という数字が示されたのは大きな意味があります。これだけ市場規模が拡大する産業分野もなかなかありません。

半導体ウェハーの製造は日本が非常に強い分野であり、信越化学とSUMCOの二社で50%以上のシェアを持っています。この二社は投資先としても非常に魅力的ですね。

ちなみに、パワー半導体向けに絞った調査なので、ロジックやメモリなどの分野では引き続きシリコンウェハーが主体となると考えられます。

参考文献

パワー半導体向けウエハーの世界市場を調査 | プレスリリース | 富士経済グループ (fuji-keizai.co.jp)
「シリコンウェハ」メーカーの市場シェアランキング | 橋本総研.com (hasimoto-soken.com)
パワー半導体向けウエハー市場、2035年に1兆円台へ:24年にはSiCベアウエハーがSiを上回る - EE Times Japan (itmedia.co.jp)

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