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ヘルスケアアプリをWeb2からWeb3へ進化させたSTEPNの衝撃について

初めましての方もお久しぶりの方も、こんにちわ。睡眠の質を測定、改善できる健康管理スーパーアプリ「セルフバンク」運営の宮地です。経歴は下に貼っておきます。

著者経歴:青学法学部卒→会計士試験合格→世界最大の会計ファームPwC→M&AファームGCA→EC系ITベンチャーCFO→オンライン英会話 ベストティーチャー創業→SAPIX YOZEMI GROUPに売却→エンジェル投資家→20/5デジタルヘルス×フードテック分野でセルフケアテクノロジーズを創業→22/5セルフバンク完全版リリース予定

Web3にどハマりしたきっかけ

僕らスタートアップ界隈は昨年はDX&SaaS一色でしたが、今年はWeb3&メタバース一色です。ご多分に漏れず、僕もWeb3にどハマりしています。

きっかけは、常にウォッチしているOura RingをTwitterでサーチしていた時に、Oura ringとSTEPNの相性が良すぎる!みたいに投稿されていた方がいたことです。

STEPNってなんだろ?と調べて行ったら、かなりの数の方がSTEPNについてツイートしており、コミュニティがすでにできていました。

そしてアプリストアを見たら、

三日坊主の私が続いてる

まだβ版のときにTwitterで知ってピンときて参入しました。シンプルでわかりやすいし、晴れだけでなく、雨の日も雪の日も毎日外に出る習慣ができました。
お金よりも何よりもこの習慣化できる仕組みが素晴らしい。
10分だけ散歩なんて昔思いつかなかったど、やってみると調度いい。今は25分歩いていますが、健康にもよくて、暗号通貨やNFTに興味持つきっかけにもなりました。
運営がユーザーと近くてコミュニティも素晴らしい🙌✨ 長く続いて欲しいプロジェクトです。
Web3の時代が来たら世界はどんな人にも優しくなる。それの代表的なプロジェクトになるのでは?と健康になりながら、稼ぎながら、プロジェクトの成長を楽しんでいます。
発想が素晴らしい。

数多くランニングアプリはありますが、大抵の人にとってはご褒美のニンジンがないと長続きしないもの。このアプリで多くの人の健康が改善されることになると思います。
次世代 Running App

ゲーム開発のプロかつクリプトに造詣の深い創業者が開発した次世代Running App。Move2Earnという新たな世界を切り拓く!

みたいなレビューがあり、ん?となりました。

お恥ずかしながら、この業界に長年いながら、最近までWeb3にピンときておらず「誰のどんな問題をどう解決してるんだろう?」「トークン上場して時価総額数千億とか言ってるけど将来CFの割引現在価値がこれなのか?」と思っていました。

ただ、このレビューたちはヘルスケアアプリが目指している世界観の理想というか、初めてWeb3のいいユースケース(アプリケーションレイヤーにおいて、という意味で。逆に言えばアプリレイヤーにならないと可能性が分からないというのは情けない話ではあります)を見た気がしました。

STEPN沼へ

そこからは早かったです。アプリをダウンロードして、アクティベーションコードをSNSから拾ってきて、ウォレットを作成。とりあえず1足分の10万円くらい3年ぶりくらいにETHを買って、Binanceに送金。久しぶりにBinanceを開いたので認証で2日くらい足止めくらい(ここのおあずけ感は辛かった)、SOL(STEPNが基盤としているブロックチェーンのネイティブトークン)に両替、STEPNのウォレットに送金してJoggerのNFTスニーカー(全ての靴に番号がつけられており一意のアイテム)を購入。

そして歩いてみるとGSTが貯まる。原始回収の方法は2つで、1)スニーカーを2足以上買ってGST(ゲーム内トークン)を貯めてmint(配合)してスニーカーを産んで売っていく、2)GST自体を貯めて売る、でしょうか。SOLもGSTもBinanceでは上場しており、そこでメジャー通貨に両替して、それを日本の取引所に送金して円転すれば日本円が戻ってきます。

そんな風にSTEPNでは「原資は最低でも10万円〜とそれなりにするが原資回収の戦略がたくさんあり、攻略しがいがある」という世界ができているので、ブログやYouTube動画に攻略法が山のように(日本語でも)上がっているので、それらを見ながらどんどん知識をつけて、魅力にハマっていきました。早くショートカットしていろんな機能を使いたかったので、気づいたら課金額も100万円を超えてました(なんのこっちゃ)。

そして現在ではSTEPNのない生活は考えられないというか、もちろん原資回収のためにどこかでスニーカーを売ることにはなると思いますが、そうなるとその後の生活はどこか味気なくなりそうな気がするくらいです。

ヘルスケアアプリはコモディティ化していて、あったらいいなレベルで続かないと散々言われていますが、これこそがなくてはならないmust haveのプロダクトだ、というのをSTEPNに見せつけられた気がします。

特典の原資という観点でWeb2とWeb3を比較してみる

思ったのは、STEPNのユーザーさんはテック界隈じゃない方も多いと思いますが、ブロックチェーンやNFTを深く理解してなくても何の問題もなく楽しめています。

やはり新しい概念やテクノロジーがマスに浸透していくきっかけは、エロかお金。これは原始的ですが古今東西、変わらない真理なんだと思います。

エントリーに10万円くらい投資しないといけなくて、海外の取引所を介さないと通貨が買えない、アプリは全部英語。このハードルの高さでこれだけの方が飛びつくとは、本当にお金儲けというインセンティブは強力です。

ただ、歩数でポイントが貯まり、何かをもらえたり割引が使えたりするポイ活アプリはこれまでもたくさんあったと思います。有名どころだとMiles、スギサポwalk、住友生命のVitality、Coke on、Suntory+などですね。

ただ、そのポイントの原資は運営会社や提携パートナー会社が負担しないといけないので、特典に限界があり、外発的インセンティブで集まったユーザーであってもあまり満足せず離れていきがちでした。

また、運営会社もアプリ自体で課金するケースは少なく(Vitalityくらい)、自社(薬局の商品・保険商品・自動販売機のドリンク)や提携パートナーの商品の販売促進という位置づけです。

その点、Web3ですと特典がトークン(STEPNであればGST)なので原資を自社で負担しているわけではなく、Binance等のマーケットで売ってもらえれば法定通貨にも換金できます、という建て付けです。

いわばポイントエコノミーからトークンエコノミーへ。この流れは不可逆だとサービスを触っていて感じました。

但し、Web3にも恐ろしい世界線はある

原資の負担がないのであればトークンを発行しまくればいいかというとそういうわけでもなく、トークンに対する需要と供給で値が決まりますので、供給が多いと値が下がってしまい、値が下がればユーザーがアプリを使う(金銭的)メリットがなくなってしまい、エコシステム全体の減衰につながります。

ここが一番本質的に掴めた点なのですが、トークンの付与と償却のバランスがエコシステム形成のキーです。新株発行と自己株式の取得で市場に出回る株式を調整し、値を調整するのと同じ仕組みです。

STEPNの場合、

・トークンの付与
歩くことに対する報酬、ミステリーボックスの付与、スニーカー売却
・トークンの償却
スニーカー購入、mint費用、レベルアップ費用、スニーカーの回復、ソケットのオープン、Gemの購入、待ち時間の時短

といった感じで、付与と償却のイベントがバランスよく配置されており、もうちょっと頑張ったらもっと稼げるかなみたいに思ってしまい、結局投資額を増やしたりして、全部売ってアプリの世界から抜ける、という方は今のところあまりいないようです。

また、スニーカーの購入・売却は、最初は運営がスニーカーを用意してそれをユーザーに買ってもらっていたと思いますが、ある程度ユーザーが増えた現在はC to Cになっています。そうなると仲介手数料だけ運営は取れるので、償却イベントとなっているはずです。

これは金融そのものだと思いますが、ゲーム内のトークンが値上がりしている状態なら、ユーザーがさらに集まり、そのユーザーからトークンの需要が生まれるので、また値が上がります。

一方、トークンが値下がりしはじめたら、ユーザーは利確するためにスニーカーを売り、ゲーム内からいなくなり、新規ユーザーも来なくなり、さらに値下がりします。

トークンによるエコシステムだからこそ、ここまで面白く、広告費もなく全世界からユーザーが集まりますが、一方でトークンが値下がりし出したら全てが終わってしまう、という難しさがあります。

その辺り、Play to earnで一世風靡したが衰退してしまったAxie Infinityの例として、このnoteによくまとまっています。

外発的インセンティブで集めたユーザーを内発的インセンティブに置き換えられるか

Web3は外発的インセンティブでユーザーを集めるからこそ、これ以上ユーザーが増えないな(=スニーカーを新規で買う人が減るな)となったら、利確するためにスニーカーを全部売り、アプリの世界からいなくなるというシナリオと背中合わせです。

一方、ヘルスケアや健康増進みたいなnice to haveのサービスは、外発的インセンティブでヒキを作って、運動の本質的な楽しさを伝えて内発的インセンティブに置き換えていく、というのが理想的なシナリオではあります。

パーソナルジムでも、最初はダイエット目的で来ていた女性が、筋トレの楽しさに目覚めてダイエットと言わなくなり、トレーニング自体を事前に楽しんでいるという事例を、他のジムの経営者やトレーナーから何度も聞いたことがあります。

Web3のように外発的インセンティブが強く、やり方によっては月数十万稼げてしまうと、それを内発的インセンティブに置き換えるハードルはかなり高いように感じます。だからこそSTEPNの運営は投機目的のユーザーを嫌い、稼ぐためではなくみんなで健康なる場所ですよ、と伝えているのだと思います。

Web3のプロジェクトは上場企業並みのIR力が求められる

また、上場企業がこんな事業機会があります、こんな提携をします、とIRで公表して、こういうイベントがあるなら株を持ち続けようとか、買おうと思ってもらえるようにするように、

STEPNにおいてもスニーカーのレンタルシステムが導入されるかもしれない、NIKEやadidasなど大手ブランドと提携するかもしれない、というマイルストーンや匂わせをすることで、これ持ち続けていたら上がるわ、と思わせてアプリの世界から抜けない仕掛けを作っています。

常にモメンタムを作り、発信していかないといけない点で、Web3というのはステルスがありえないのかもしれません。ある意味、上場企業に近いガラス張りの経営をしないといけないのです。

全てのWebアプリ、スマホアプリはWeb3化する

上記を踏まえた上で、Web3的な要素をサービス提供者が取り入れていくのは今後はmustになると思っています。

弊社のセルフバンクでも、STEPN的な要素をうまく取り入れて、継続できるヘルスケアアプリに進化させていきたいです。5月にセルフバンク完全版が出るので、その前段階としてまずはアプリをダウンロードしてお待ちください!


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