SSK3期レポート #001 環境配慮行動の可視化(鈴木健太さん)
SSK( Sustainability speakers Kagoshima)3期生の鈴木健太です。
これまで環境問題は長年色々な形で呼びかけられてきていますが、一向に改善の傾向が見られず、むしろより負荷をかけているのではないかと感じています。
なぜ技術が進歩しているにも関わらず、こうした取り組みが進まないのかと立ち返ったとき、日常生活で意識できているか、さらに言えば、環境問題と日常生活がどれくらい結びついているかという問題を自分自身が咀嚼して、自分事化できていないのではないかと感じた事を端に発し、一人ひとりの日常生活の行動が、どれくらい環境にインパクトを与えているかを目に見える形にすることで、商品やサービスを選ぶ時に少しでも日常生活の中で意識しながら行動っできるようになるのではないかと考えこのテーマを設定しました。
まずは自分事化
まず、自分事化するために、どのような時に、人の行動は変わるのかということで、人の行動習性、特性を考えてみました。
人は、自身にとって大きな損失を被る恐れがある場合はそれを回避しようとします。
また、大きな利益が得られる場合は、それを積極的に享受しようとします。
いずれにせよ、メリット・デメリットに対して、敏感に、そして自発的に行動しようとします。特に、物理的な損得(お金が代表的)が絡んでくると、その行動は顕著になります。
それならばと思い、日常生活の行動がどのような影響を与えているかを指標化して、環境にどれくらい配慮した生活ができているかを点数化します。その点数化されたものを基に、直接的なメリット・デメリットを付与できないかというものです。
環境配慮行動を直接便益にしてみたい
そこで、買い物や食事、入浴、ゴミ出し、通勤、旅行といった日常生活でのありとあらゆる場面や行動に、CO2排出に関するLCA((Life Cycle Assessment)を指標として設け、環境負荷が低い商品やサービス、活動については、LCAのポイントをプラスに、逆に負荷が高いものにはポイントをマイナスにして、このポイントを様々なサービスに利用していきたいというアイデアです。
具体的にイメージしてみましょう。
シャンプーを購入する際の行動パターンとして、
詰め換え用を購入する
ボトルごと買い替える
量り売りのものを購入する
といった3種類ほどの行動が考えられます。この時、ボトルの買い替えという行動が環境負荷が最も高くなるので、ー2点、量り売りのものを購入するときは自身が排出するゴミはないので、+1点を付与するといった具合です。
また、購入するシャンプーの原材料にも着目してみます。
パームオイルを使用しているかどうか、さらには輸入原料かどうか、地域の素材を使ったものかどうかといった点も環境負荷に関わってきます。
ポイントの活用方法(住民目線)
こうした行動、原材料などに着目して、あらゆる活動に点数付けをし、その結果を、マイナンバーカードなど国民共通のものにポイントを付与します。
マイナンバーカードに紐づけられたポイントは、住民税、所得税の還付や、医療費の負担割合を減らすまたは還付させるといった形でメリット・デメリットをはっきりさせることによって、自身の日常の行動が環境にどのようなインパクトを与えているかを実感することができます。
今のは個人目線でのポイントの活用の仕方になります。
さらに、こうしたポイントを導入することで、個々の取組だけでなく、家族に、地域に波及させていければというのも狙いの一つにあります。
ポイントの活用方法(行政目線)
税金を徴収して、自治体を運営していく側の行政機関に立ってみると、こうした活動を住民がどれくらい積極的に行っているかが自治体ごとに指標化することもできます。
地方自治体は財政状況が盤石ではないため、国から地方交付税交付金という形で支援を受けています。住民一人当たりの平均ポイントは、ある意味、地域全体での取組状況を表す指標になります。取組状況に応じて地方交付税交付金を配分することによって、税金がより有効な使われ方になる可能性が高まります。
一見、自治体間競争を煽るようなシステムではないかとも思われるかもしれませんが、都会では農地も少なく、人口規模をまかなえるほどの農産物を作るのは非常に難しく、他の地域から買ってくる必要があります。
このため、自治体間での協調という点も大事になってきます。地方では都会ほど人やモノが集積されているとは言い難いため、リソースを共有し合うことで、補完することができるようになります。
ポイントの活用方法(企業目線)
さらに、地域に立地している企業という目線からすると、こうしたポイントを獲得するべく、消費者が自発的に動くため、企業側も積極的に環境負荷軽減活動をしていかないと、自らの商品やサービスが選択されなくなってしまいます。
企業マインドを変えるのは消費者の選択という要素が強くなり、負荷の小さい活動をしようとする顧客を取り込んでいくことで、選ばれるようになり、企業の更なるイメージアップにもつながります。
こうした点から線へそして面へという広がりを持つことができるのではないかと期待しています。
課題
最後に課題を挙げさせていただきました。
このポイントはあくまでも貨幣経済をベースに考えているため、農山漁村でよく行われている物々交換という非貨幣経済活動をどう可視化させるのかが課題になると思われます。
域外流出入もないような活動をどう指標化するかは今後の検討課題として研究していきたいと思います。
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