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【かごしま選手名鑑】#007 ADDress 池田亮平 さん

「日本全体の経済成長が頭打ちになった今は、皆が自分自身の価値観や幸福観を見つめ直す時期なのかな、と思います。ADDressというサービスは、そんな時代に既存のモノサシでない生き方や価値観と出会えるサービスです。」と述べるのは、定額で多拠点居住サービスを提供するADDress社 事業開発ディレクターの池田さん。

人生で2回しか来たことがなかった鹿児島に、家族で移住してきて約1ヶ月。今までの取り組みや考えをインタビューしました。
(インタビュー : note編集部 小平)

※本記事は今週日曜までの限定無料公開です。


池田さんの華々しい経歴と、裏側にある「しくじり経歴」

「夫婦ともに鹿児島には縁もゆかりもないんですよ。東京生まれで、これまで東京と埼玉にしか住んだことはありませんでした。鹿児島にも今まで2回しか来たことがなくて。」という池田さん。2021年9月に、ご家族で霧島市に引っ越して来られました。

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池田さんのFBを見ると、毎日「鹿児島にはジブリみたいな風景がいっぱいで楽しい!」と鹿児島を楽しまれている様子。まずはこれまでの歩みについて聞かせていただきました。(写真は池田さんFBから引用)

池田さんの経歴は華々しいもの。東京大学文学部卒業、在学中はAIESEC(124カ国にある世界最大の学生NPO)で人事責任者を経験後、人のモチベーションに興味があり、リンクアンドモチベーション、ソニー生命を経て、ADDressの事業開発ディレクターとして活躍されてます。しかし、池田さん曰く「表の経歴より、僕にとっては『しくじり経歴』の方が大事なんですよね。」とのこと。

まず池田さんの最初のピンチは、大学生の時の父親の事業の倒産でした。奨学金で大学には通えましたが、卒業時には400万円の借金がある状態。そして新卒で入社したコンサルティング会社のリンクアンドモチベーションでの激務が始まります。睡眠時間もほとんどない毎日の中、お金の知識もなくストレス発散で散在しつづけてしまい、気づけがカードの借金も積み上がって、、という社会人スタートでした。

そんな中、両親の体調が悪くなり、しかも父親が年金を払っていなかったことが判明。ベンチャー企業勤務と親のサポートの両立は難しいし、将来かなり多くのお金が必要になりそうだと、暗澹たる気持ちになります。そんな中、池田さんは「お金や社会保障の知識は人生でとても大切なことだ」と気づかされます。自分自身の人生のお金の計画を見直すことを通じて、ライフプランニングに興味を持ち、ソニー生命に転職。そこから10年間、ライフプランナーとして様々な方の人生のお金との付き合い方にアドバイスすることになりました。
(ちなみに、当時はかなり大変でしたが、人生の目標を見つけるきっかけになったと、今はご両親にとても感謝されているそうです。)


ADDressとの出会い

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ソニー生命で1,000人以上のお金の相談に乗る中、池田さんは「これからの日本は人口も減っていくので、『みんなで所得を上げていける』という時代はもう来ない。そうすると、お金を頑張って稼ぐのと同じくらい、『お金に依存しすぎない人生』をデザインしていくことこそが大事になっていくのでは」と思い始めます。
そして2018年にソニー生命から独立し、企業や個人向けの「お金に依存しすぎない、豊かさ軸のライフデザイン」の研修事業を立ち上げるわけですが、独立から数ヶ月後、当時立ち上げまもないADDress社に声をかけられて、参画することになります。

ADDressが提供する価値

ADDressは、月44,000円を払うと、日本全国200以上の家に滞在し放題となるサービス。ワーケーションやセカンドハウス的に使う方も多いのですが、会員の20-30%は固定した家を持たない多拠点生活を送られているそうです。Airbnbなどの他のサービスと違うADDressの特徴は、家守(やもり)という管理人 兼 地域コミュニティマネジャーが家ごとにいること。家守は会員とローカルコミュニティをつなげる役割を持つので、会員はただ滞在するだけでなく、地域に関わることができ、人との縁という価値を得ることができます。

池田さんの目から見たADDressは、「人生における住居コストをおさえつつ、使えば使うほどに、人や地域とのご縁という社会関係資本を厚くしていくことができる」サービスであり、自身の追究したい「これからの時代だからこその豊かさ」の土台になりうるように感じられました。また、ファイナンシャルプランナー目線でも、「物件オーナーとして自宅の一部を貸したり、投資的に地方の空き家を購入してADDressに貸し出したりすることで、資産形成の手段になる」という可能性も感じているそうです。

池田さんは、「ADDressのサービスは、既存のモノサシでない価値観に気づき、一人ひとりが自分だからこその豊かな生き方を選択できるきっかけになるんじゃないかな」と仰います。

「これからの時代だからこその豊かさ」を実践したい

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池田さんが人生を通じて取り組みたいのは、「お金に依存しすぎない、これからの時代だからこその豊かさを、実践しつつ広めていく」という事。そのためにも、今まで経済の中心であった東京から鹿児島への移住を決め、そして自然豊かな鹿児島でADDressの家を増やして、多くの人に地縁や人の縁を広げていく体験をしてほしいと考えています。
また、池田さんは個人の事業としても「お金に依存しすぎない、豊かさ軸のライフデザイン」について学べるオンラインスクールを始める予定。最低限のお金の知識と、非金銭資本を厚くしていくためのノウハウを提供することで、これからの時代だからこその豊かさを体現する人を増やしていきたいそうです。

そしてADDressについては、単に家を増やすだけではなく、新たなサービス展開も模索していきたいとのこと。
たとえば、ADDressは家族と一緒に滞在することも可能なのですが、小さなお子さんのいる池田さん自身の体験から「地元の保育士資格保有者と連携して、滞在中に子供を見てもらえるオプションがあったら、会員にとってより充実したワーケーションになる。地元にとっても新たな仕事を発掘できるので三方良しなのではないか」と考えています。

また、ADDress会員が持っている専門性を活かして、地域により深く関われる体験も作っていきたいそうです。SELFとも連携し、県庁18階のコワーキングでは、ADDress会員が「〇〇町 x 漁業PRプロジェクト」、「〇〇市 x 観光ITプロジェクト」のような、滞在しながら複業としても関われる「拠点xプロジェクト」を選べる仕組みなども検討中。地域の課題解決に参加することで、本当の意味での関係人口になる事の出来る素敵な仕組みだし、県外から来たその人自身の価値を見つめ直す契機にもなると思います。SELFとしてもぜひ、連携して進めていきたいと思っています。(後日、SELFアクションで立ち上げます!)

鹿児島と池田さんの深い関わりは始まったばかり。これからエキサイティングなことがたくさん始まるのが楽しみです。


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