見出し画像

ECサイト事業の重心を見極める。リピーター=ヘビーユーザーではない?

これまで書いてきた数記事は、あまりWebサイトのジャンルを限定しないものでした。
今回はECサイト向けの内容について解説します。

僕が関わってきたWebサイトの中でも割と多いのがECサイトです。
ECサイトのSEOはかなり面白く、技術的な部分を突き詰めて色々とやることもできますし、商品の見せ方などのコンテンツ領域を工夫する余地もあります。
今回は全くSEOのお話はしませんけれども。。

ただ、ECサイトの場合は、SEOがどうこうの前に、リソースの配分が非常に重要になる、と感じています。
ですので、今回はSEOについてのお話ではなく、ECサイトの事業を行う場合に押さえるべき数字、注力すべき施策、売上を構成する要素について解説します。

これまで関わってきたECサイトは、ほぼ例外なく、押さえるべき数字を把握し事業の重心を理解して運営していました。

ECサイトに会員登録して2年以上のユーザーに絞って顧客を分類

1年に1回以下の購入ユーザー:80%
1年に2回の購入のユーザー:15%
1年に3回以上の購入のユーザー5%

購入している回数の分布を調べたところ、上記のような数値になりました。
※取り扱う商品や、ジャンルによって偏りはあります

ここで理解して欲しいのはリピーターの少なさです。
ちょっとビックリするくらいリピーターが少ない、と感じられたのではないでしょうか?

会員の中でもリピーターは意外と少ない

会員登録さえしてくれたら、絶対にリピーターになる。
CRM(Customer Relationship Management)を頑張ればリピーターは増える、と考えがちですが、意外と増えないのです。

1年に1回しか購入しない顧客の10%を、2回購入してもらえるようにできたた場合、事業へのインパクトは非常に大きいものです。
この部分については、しっかりと取り組むべきですし、全く異論はありません。

ただ、そこに事業のリソースの大半を投資するのは危険です。

問題なのはリピーター=ヘビーユーザーという勘違い

リピーターと聞いた時、何人かの方は「自社の事を知ってくれているので商品を頻繁に購入してくれる顧客」をイメージしたのではないでしょうか?

先ほどの数値を見ていただくと分かる通り、リピーターと定義可能な2回購入以上のユーザーは全体の20%程度です。
3回以上購入者をヘビーユーザーとするなら5%程度しかいません。

僕のクライアントは商品の改善も含めたCRMにも力を入れているのですが、ヘビーユーザー、と言えるような方は割合としては少ないのです。

1回買ってみたけれども、やっぱり合わなかった、という方はどうしても存在します。
そういった方々へはどんなに頑張って販促しても2回は売れません。

ECサイト事業を成長させるために最も力を入れるべきなのは新規顧客獲得施策

「うちは今のお客さんに恵まれているから、その人たちと長く関係を続けられるようなところに力を入れている」
非常にもっともらしく聞こえますし、実際にこれを言われた際には非常に反論がしにくかったです。

実際に言われた時は「素晴らしいことですね」と返事しちゃっていましたし。

ただ、この判断は間違っています。
事業が継続的に成長するするには新規顧客獲得に力を入れる以外にありません。
顧客の中には、解決できないような理由ができて購入できなくなる場合も出てきます。

経験則も含まれていますが、最も力を入れるべきは新規顧客獲得である、と断言して良いと思っています。

年間売上を構成する要素を把握しよう

僕がECサイトのマーケティングが好きな理由に「ネットで全部完結する」というのがあります。
厳密には在庫管理や配送など全てではありませんが、売上が立つところまではネットで完結できることが多いです。

年間売上とは
総購入者数 × 年間平均購入回数 × 年間平均購入単価
で算出が可能です。

購入者が何回買っていて、1回の買い物でいくら使ったか?が分かれば良いわけです。
意外とシンプルですし、ECサイトの場合は顧客管理ツールなどによって、かなり簡単に出せたりします。

売上に関する変数が把握しやすいって凄いことだと思います。事業によっては、この変数見つけるのも難しいですし、変数を把握できるようにするのがもっと難しい場合もあります。

これら3つは変数なので、他の2つが変わらず1つが伸びるだけで売上がアップします。

総購入者数は増えたけれども、年間平均購入回数が減った。平均購入単価は変わらない。
上記の場合は売上は変わらないかマイナスになります。

多くの事業は認知が圧倒的に足りていない

3つの数字のうち最も伸びしろがあるのは、総購入者数である事が多いです。
何故なら多くのECサイトは圧倒的に認知がされておらず、認知させるような施策を行うことで、総購入者数は大きく伸びることが多いから、です。

認知率を指名検索数で把握するのは難しい、と感じています。
競合の指名検索数を正確に把握することはできませんし、誰が何回検索しているか?も分かりません。
売上と関連する事は多いので、気にした方が良い指標ですが、認知、とは捉えないほうが良いです。

指名検索数の変化を時系列に沿って見たり、プロモーション後の変化を把握するのに使うのはアリです。

過去に調査会社に依頼してアンケートを行って調査した事もありました。
複数のプロジェクトで調査してみましたが、指名検索数と認知率には相関性が見られませんでした

良い商品(サービス)を作れば売れる、ことは多分ない

マーケティングの有名なフレームワークに4P分析というのがあります。

Product:製品やサービス
Price:価格
Place:販売場所や提供方法
Promotion:販促

4P分析は施策の立案時によく使われます。
良い商品(サービス)を作れば売れる、というのが幻想なのは以下の状況だから、です。

4Pの要素と顧客属性の分類

商品にあたる要素は、最低1度購入した人でなければ実感できないのです。
※リピーターは変ですね。セミナー資料のキャプチャなので許してください。。

新規顧客(顧客になる前のユーザー)は価格や販売場所、販促については目にしていても商品だけは使ったことがない状態です。

使ったことがない人に、商品で勝負するというのは難しいでしょう。

先ほど、新規顧客獲得に最も投資すべき、と書きましたが、新規顧客獲得段階では、商品の要素は意外と小さいのです。

ECサイトの運用は1つの事業。冷静に変数を見極めて投資すべき部分へ集中する

事業はシンプルに捉えて注力すべきポイントや成果指標を決めた方が良いと考えています。
複雑な運用方法や成果指標の管理は、現場が疲弊したりミスが出たり続けられなかったりする原因になります。

・リピーターは意外と少ない
・ヘビーユーザーはもっと少ない
・新規顧客獲得が最も事業成長に寄与する
・年間売上を決める変数は3つ
・中小企業は認知が少なく最も伸びしろが大きい
・商品力は購入前の顧客への影響が小さい

これらが今回の記事で伝えたかったポイントです。
勘違いしていた要素があったり、頭では分かっていたけれども、できてなかったみたいな要素はありませんでしたか?

僕も9年間試行錯誤を繰り返してきましたが、成果が出るプロジェクトは、大体どこもシンプルな運用や管理を行っていました。

冷静に見るべき数字を決めて、迷わず間違わず事業を組み立てて運用できるECサイトが増えてくれるとネットが今以上に便利になります。
そういったサイトが継続的に事業をしてくれるようになると大変嬉しいです。

次の記事以降では、もうちょっと施策やTipsについて解説したいと思います。


【お知らせ】
SEOやマーケティングにお悩みの方や企業様がいらっしゃいましたら、ご相談いただければ、と思います。
マーケティングの上流から個別の施策、仕組み化まで広く対応させていただきます。

私だけではなく、プロジェクトによってはプロフェッショナル数名のチームで対応させていただきます。
マーケティングの相談はこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?