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独占配信は本当にプラスになっているのか Netflixがアニメ製作を減らしていること

『Netflixが日本での「アニメ製作」を減らす事情』というタイトルで東洋経済ONLINEに記事が出ていました。

Netflixは2022年最初の頃は会員数が減少していたようですが、10月の発表では増加傾向とのこと。しかしながらこれは低価格プランなどを出した結果なので、“利益”ということで考えるとまだプラスには転じないということでした。

そんな中でのアニメ製作を減らすということ。

アニメ制作会社も「これまではNetflixで企画が通りやすかったが今は通らない。また会社の儲けを考えるとテレビ公開のアニメの方が結果的に利益に繋がりやすい」ということで、Netflixから離れるところも多くなってきているようでした。

ではこれまでNetflix独占でアニメを作るということで、どのようなメリット・デメリットがあったのでしょうか。ひとつひとつ見ていきましょう。


ニッチな作品もアニメ化しやすい

Netflix独占作品は、テレビアニメであればまずやらないようなものをアニメ化したものが多かった印象があります。「悪魔城ドラキュラ -キャッスルヴァニア-」「DEVILMAN crybaby」「Dragon's Dogma」「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」などなど……。

「こんな作品までアニメ化するのか」というものが多いので、Netflixには特別感が強かったです。しかしニッチなジャンルというのはそもそものファンもそれほど多くないということになります。好きな人は好きだけど、知らない人は全く知らない。そういったジャンルです。

これによってNetflixを見たいという人が増えるかというと、難しいところですね。


公開後のヒットに繋がりにくい

これは上記の記事内でアニメ制作会社の人も言っていることですが、テレビアニメに比べてNetflix独占配信だとあまり評判が広まらない、結果的にほとんど知られないということがあります。

知られないということはグッズなどの売り上げにも繋がらないということ。これでは会社としては儲けになりませんね。

テレビアニメの作品であれば、現在はほとんどの動画配信サービスで公開されていたりするので、

「〇〇という作品が良かったよ」

という声を聞けば、テレビそのもので見たり配信サービスで見ることができます。しかしNetflix独占となるとそうはいきません。Netflix会員しか見ることが出来ないのです。もうその時点で分母が狭いんですよね。

友達などから評判を聞いても、「Netflixに契約しないとダメなのか……」となってしまい、なかなか見るところまではいかないでしょう。これでは面白いのか面白くないのか全然伝わりません。

今「ジョジョの奇妙な冒険ストーンオーシャン」はNetflixでのみ配信されています。その前、第5部までの「ジョジョ」は結構評判になっていたのに「ストーンオーシャン」になった途端、あまり話を聞かなくなったということはないでしょうか。これも最初からテレビアニメでやっていれば、もっと話題に上がっていたように思います。

「独占配信」はその配信サービスにプラスになっているようで、結果的に作り手側にも配信側にもプラスになりにくいのです。

確かに見たいものがあるときはその配信サービスと契約してでも見たいと思うでしょう。しかしそれを見終わってしまうと……?けっこうお目当てのものを見終わると「他に見るものがないなぁ」と思いませんか?

最初のうちこそ「せっかく契約したんだから他にもいろいろ見てみよう」となると思いますが、結局あまり見るものがなく「もういいや」と退会することになったりします。


上記のような理由がありNetflix側も「少し見直そう」という考えになったのだと思います。世界的に「おうち時間」が増えていた時期はいいですが、それだけではいつまでも会員は維持できないのです。

Netflixだけではありません。Amazonやその他動画配信サービスも同じです。消費者に満足してもらい継続してお金を払い続けてもらうサービスの提供。アニメ云々だけではなく、そうしたところが出来ないのであれば会員は増えたり減ったりの繰り返し。消費者は見たいときだけ契約する“レンタル感覚”を崩しはしないでしょう。

「アニメの独占配信」は今後は減っていくかもしれませんね。

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