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「夢から覚める時、失われているのは現実の方だ。 セミが夏の終わりに鳴くのをやめる時、 失わ…
その日は雨が降った。 水溜りや土のおしゃべりは止むことはなかったけれど、 ロバは誰かの話…
泡の記憶 --- 私はひとつの気泡に過ぎない。 薄暗い海の中を、ゆらゆらと昇っていく気泡。 …
ロバは雨宿りの木の下で、 カエルがいなくなった紫陽花の葉のあたりを 長いこと見つめていた。…
アオガエルは目を開けた後も、しばらく山の方角を見つめたまま佇んでいた。 肩を落としている…
記憶のけむり① ----- 忘れることで救われたことが何度もあった しかし記憶は煙のように た…
記憶のけむり② ------- やがて、けむりはまた別のけむりと混ざり合い そのまた別のけむりと混ざり合う 世界の質量は変わらないまま 延々と 誰かの、過去の、未来の、夢の、砂の、雨の、 水溜りの、木の、風の、ビルの、土の、 錆びた公園のブランコの、残り4cmの鉛筆の、 浜辺の白い貝殻の、夏山に転がる石ころの 主体と客体が入り混じり もはや何のいつの記憶かは誰もわからない いつまでも漂い、混ざり合う 全ては記憶の集合体なのだ 私が私だと思っているものは
途中、小さな小川があり、その川を渡る時にカエルはロバの背中を借りた。 ロバの背中は思った…
顔のないカエル① --------- 夢を見ている。 深い海だ。真っ暗で何も見えない。 そして、何も…
記憶のけむり③ ---------- 全ては過ぎ去ってしまった 目の前には記憶の「次」の場面が用意さ…