ふつうであることの尊さ

2020年1月9日㈭

 やさぐれてワインを飲んで寝落ちした。本当はずっと寝ていたかったけど、仕事だったので起きた。年明け最初の非常勤先の勤務だった。

 どんよりした気持ちで勤務先にいくと、『おはようございます!』と衛生士さんが元気よく挨拶してくれた。最初ちょっと私の声は小さくなってしまったけど、したってくれる衛生士さんたちを前にすると自分も明るくなってくる。すると、常勤の衛生士の子がひとりインフルエンザにかかってしまい、午後もうひとりの常勤の子がお休みなのにでてきてくれるという。午前はアポに余裕がありバイトの衛生士さんと色々と楽しく話しておわった。

 午後になり、常勤の衛生士さんが出勤してきてくれた。『お休みなのにごめんね、』というと『いえいえしょうがないですよ、』と嫌な顔ひとつせず淡々と仕事をしてくれたのには感動してしまった。不本意なことをありのままに受け止めてやるべきことをやる姿は見習わねばならないと思った。

 歯医者の仕事は比較的単調かもしれない。学部を卒業したての頃、クリニックで毎日勤務するのは正直いってつまらなそうだから、大学に残って研究したり学会発表ができる環境にいたいと思っていた。けれど今はクリニックの仕事も良いと思えることが増えてきた。たしかに、大学院の研究生活を味合わなければ単純な作業が面白くないと思っていたかもしれない。研究成果がでない焦りや自分なりに頑張ったことが実を結ばなかったりする経験をすると、ふつうに仕事をこなして給料をもらえる尊さが今になって痛いほどわかるようになった。

 勤務がおわったあとスタバによって溜まっていた日記を書いていたら、審査員の先生から、発表の質疑応答の内容と論文の修正内容についてのメールがきた。かなりの量で、これをまた取り組まないといけないと思うと、やっぱりまた気分が落ちてきた。

 家に帰ってきのうの残りのワインをまた口にしてまた泣いた。メモにこんななぐり書きをしていた。

『本当は、何もいらない。消えて、なくなりたい。最初から存在しなかったかのように。人生に疲れた。願っても叶わないのはデフォルトだと、分かっていても。』

ついでに、こんなついーとをしてしまった。

すぐに知り合いの年上の方から励ましのことばをもらった。アドバイスのとおり、お風呂につかって軽くストレッチをして寝た。

朝起きると、いいねが結構ついていた。久しぶりにしてくれた人もいた。こんなふうにプチ絶望感におちいる人は自分だけではないのだと思った。

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