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東京ハンドクラフトギターフェス2023

東京ハンドクラフトギターフェス2023なるイベントへ。

デモライブやセミナーにあんまり興味が無いので、入場料1600円はちょっと…と思っていたのですが、日曜の午後がポコんと空いたのでチャリをコギコギ墨田産業会館へ向かいました。

イベント的にはタイトル通り手工品のギター/ウクレレブランドの展示会がメインで、そこに材や部品、ケースのメーカーなどの関連ブランドや大手メーカーや代理店のブースなどがちょこちょこ入る感じです。

まずは、気になった楽器をつらつらと…
写真を撮り忘れたところも多いので、ギター紹介なのに文字ベースなのはご容赦ください。

まず、一番グッと来た楽器~~~

北海道のリペアショップ、ナインノーツさんのOMタイプ。

アイテムとしてプッシュしているのはウクレレベースのようで、展示のアコギはデモ機とのことでしたが、この日弾いた中では最も好印象な楽器でした。

アコギはレギュラー品としては無いようですが、相談すれば作ってもらえると思います。
(聞いた感じ、価格も手工品としてはそこまで高くないと思います)


続きまして、グッときた楽器。

三重県に工房がある松ギター堂

ミニマムデザインのパーラータイプという僕の好みど真ん中の楽器に思わず手が伸びました。

これ見た目に反して…かなり攻めた構造!!!
写真では分かりにくいですが、高音弦側のネックジョイント部のボディ面に段差があったり、サウンドホールを覗くとブレイシングなどもオールドスタイルの楽器と一線を画すのが分かります。

そのため、響きも独特なのですが全く嫌な印象ではなく、せっかく手工品を手にするならこれ位個性的な方が…と感じさせる魅力があります。

そして聞いて驚いたのが価格!!!

マホ系で装飾無しならば、ヤマハやヤイリなど一般メーカーの標準的な国産、総単板モデルと変わらないかそれ以下の価格域です。



と...実は...チケ代の元を取るべくかなり沢山弾いたのですが‥‥「うぉ~~これいいわ~~~!!」とテンションが爆上がりした楽器は...上記2本位だったりします...苦笑

もちろん素晴らしい楽器は沢山あったのですが…

例えば坂田や塩崎など有名どころのショーモデルなどは、それはそれはウットリする素晴らしい音なんですが、“ハカランダバックで150万”とか言われたら、“でさーな”って話で…、それは自分にとって「感動するギター」「メッチャいいギター」とはならないわけで…苦笑


もっとも…これは私のギター道楽へのスタンスと、いわゆる手工/ルシアー系楽器のターゲットとの根本的な乖離、というのがあるわけですが…

で…“私の”と書きましたが、実は一般的に抱えてる問題ではないか…?、という印象もあって。

それは…ルシアー系ギターが…一部プロ/上級者を除くと…極端に言えば…

“金持ちの道楽”

となりすぎてしまっているのではないか?と

まず会場内...驚くほど若い人がいません...
チラホラ見かける若い人のほとんどはデモ演奏やライブをするミュージシャン目当てに来た人だと思います。
(もちろんライブ自体が何とか若い人を取り込もうとする施策なんでしょうが)

40代、紛れもなくオッサンのミーがかなりの“若造”です。

というか…来ている客…おそらく20年前から変わっていないんじゃないか?というw

と、いうことは…

僕のような世代は「若者⇒オッサン」に、そして主要なルシアーと顧客は「オッサン⇒おじいちゃん」になってしまっている、と...苦笑

唯一違うのは…中華系とみられる顧客が目立つこと。

こんなところにも社会情勢の縮図が見られます…苦笑。



でね・・・有名どころのブースは常連客とルシアーのおじいちゃん同士が談笑しちゃって近付きにくかったり、さらに悪い意味で”職人の頑固オヤジ”がメッチャ不愛想なところが未だにあったりしまして…

一方僕がグッと来たような若手ルシアーや地方の無名工房などは閑古鳥が鳴いてたりするわけです。

ここでも日本の製造業の縮図・問題点がダダ見えている感じです。


さて手工ギターそのものに話を戻すと、現在国内ルシアーの楽器はスプルース/ローズ系の標準モデルで70万位~が平均的な相場だと思われます。
ハイこれ...一般のサラリーマンがガシガシ弾く楽器として存在しえないわけです(悲しい現実…苦笑)

よほど決め打ちで惚れ込んだ、憧れのギタリストが使っている、通っているギター教室で洗脳された等でない限りは買えないと思います。

仮に庶民がこの額を出して「一生もの」として買う場合はマーチンやギブソン、テイラーやメイトンなどを選択するのが普通でしょう。
もっといえば一部3年待ちとかの人気ルシアーを除くと、手工ギターはリセールバリューがメチャメチャ安いので、余裕がない人が無理して買うには不向きという側面もあります。

なので、プロモーションの主軸が富裕層や外国人に向いてしまうのは仕方がないところなのですが…

それにしても…サンプルとして展示してある楽器は貝殻装飾やバインディングなどゴテゴテしているものが多い印象でして…。

“成金のジイサンや中国人が好きそう”というのは分かるのですが、一般的な感覚で言えば“派手すぎてダサい”という印象だと思います。

元々国産アコギのデザインって総じてボッたいイメージがあるので、そこに派手なインレイが乗るとさらにキッツい気がしますね…デパートで売ってる高くてダサケバいオバ・オジ向けブランド服、あるじゃないですか?あれと全く同じ印象です。


ちなみに…これはねぇ…某ルシアーさんが教えてくれたのですが…実際…

“貝殻とバック材が派手じゃないと売れない”

そうで(「だから仕方なく作っている」というニュアンスがあった)
実際に希少材を使った高額限定モデルはすぐソールドになる印象がありますしね…。

こうなると“もうそれ楽器じゃねーじゃん”と貧乏庶民は悪態を付きなってしまうわけですがwww



さて…ここからが本題。

ふと思いついて、とある有名工房に「装飾要らないんでシンプルな0-18みたいなモデルを作るといくらですか?」と聞いてみたのですよ… そしたら…

直オーダーなら、という但し書き付きで提示された価格は…

“マーチンのスタンダードやテイラーのミドルクラスなんかより安い”

のですよ。


装飾が無いとはいえオーダーなのでネックシェイプやピックガードの形状など、アップチャージにならないところで指定できるポイントは沢山ありますし、ワンポイントで自分の個性となるインレイなどを入れてもそこまで高くはならないはずです。

1本目ならマーチンなどの方が良い気がしますが、2~3本目と増殖していくのがギタリストの常なのでw、その2本目が自分の思う仕様で“世界に一本だけの楽器”が出来ると思えば“あり”だと感じます。

ただしポイントは「工房直オーダー」という点。
楽器店や代理店を通すと絶対にその価格に収まらないので、こういうイベントで試奏して気に入ったのがあれば工房直でオーダーの交渉をしてみるのが良いと思います。

次にサイドバックはマホガニー系にするのが安く仕上げるコツ。
どうやら日本国内…“マホガニーは割と豊富にあるっぽい”ですw

一方、アコギオタクが一番騒ぐのはブラジリアンだジャーマンだ…というローズ系のバック材ですし、どうせオーダーするならば…とローズ系を選択する人が多いのでどこもローズ系は不足しているらしいです。

また今仕入れるとベラボウに高いため、ローズとマホの差だけで10万円以上違うメーカーも多いです。

一方でマホガニーは以前からストックしている材が残っている工房も多いようで、この辺は大手メーカーの量産ラインとは比較にならない良材で製作してもらえると思います。

もちろん材による音質の好みはありますが…何となくイメージしちゃう「ローズ>マホガニー」みたいなことは全くないので、マホガニーならではの良さを楽しめると思いますし。
ここは「最上級の豚肉」と「並の牛肉」のどっちを取るか?みたいな話かと笑


とりあえず…「ルシアーのアコギ」はやりようによっては高嶺の花ではなく、やり方によっては普通の高級アコギ位の感覚で手を出すことが出来るというのが伝われば、と思います。


全くイベント内容自体から話がそれましたが…汗

普段は試奏でも恐れ多くて弾けないクラスの楽器をまとめて弾ける良い機会ですし、ショーのためにサンプルやちょい傷品などが安く出ていたりもするので、いいアコギを探している人は入場料を払っても行って損はないイベントだと思います(取って付けたようなまとめ)。


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