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Martin O-18K 1926 ~プリウォーマーチン購入雑感07:気になるお値段...プリウォーなのに“ただの中古?”~ 

と、いうことで皆さんが一番気になるであろう『価格』の部分に迫っていこうと思います。

ネットで調べるとプリウォーO-18Kは現在大体40~90万の範囲で出てきます。

先述のように30年代の方が高いなど、状態や年式で異なるとはいえ上下にかなり振れ幅がある印象です。
もっとも、ヴィンテージギターの値段なんて“言い値”の部分が大きいわけですが…苦笑。

先にも触れましたが現在ヴィンテージマーチンは欧米の方が全体的に高価であり、特にO-18Kに関して言えば日本よりもアメリカの方が人気があります(アメリカのギターショップだと8000ドル前後で取引されたりします)。
ヴィンテージに強いショップは、海外からの問い合わせも多く越境販売もしているので、海外の相場も考慮して値付するため日本で不人気のモデルは割高な印象になるのだと思います。

大手楽器店やフリマサイトなどで最近SOLDとなった価格をみると、このモデルの現在の国内実勢相場は40-60万程度だと思われます。

具体的な金額は避けますが、私の購入価格もこの範囲内です。
マーチンやテイラーあたりのスタンダードクラスを検討するならば視野に入る価格域で、先に「一般的な高級ギター程度」と表現したのがお分かり頂けると思います。

で、ですね…ここからがテストに出る赤線ポイントですよ…

このあたりの価格でプリウォーO-18Kを手に入れた場合…

ヴィンテージとしての付加価値に払うお金はゼロで済みます。

それは何故か?

ここで同仕様の楽器を新品で手に入れることを考えてみます。
このスペックはレギュラーにはないのでマーチン社へのオーダーとなります。

ベースとなるのはO-18スタンダードで現在定価39万、そこに最低でも下記のカスタムオーダーが必要になります。

・オールハワイアンコア
・ニカワ接着(ハイドグルーと呼ばれますね)
・スロテッドヘッド
・ワンピースマホガニーネック

細かく突き詰めればハカランダによるウッドバインディング、ヘッド接ぎ板などもあります。

ちなみに5年前位にほぼ同仕様でショップオーダーされたO-18Kの新品価格は54万でした、ただしこのモデルはニカワ接着ではありません(ニカワ接着はオーセンティックシリーズや一部上位オーダー品にのみ用いられ、アップチャージがメチャクチャ高い)。

さらにここ数年の値上がりやコア材の稀少化などをみると、今オーダーするとおそらく最低でも70万近くにはなると思います。

参考として近い仕様の楽器がKヤイリのカスタムショップで50万円でした。

国内メーカーでも現在この仕様をオーダーで作ろうとすると50万以上することが分かります。

つまり…O-18Kに関して言えば、プリウォーマーチンの方が同仕様の新品を買うより安いのです!
あえてひどい言い方をすれば「100年経ったただの中古ギター」です、プレミアの付加価値なんぞ一切ありません!(それはそれで悲しいですが…苦笑)


“だが、それがいい”


例えばこれがD-28だったとしましょう。

マーチン最高ラインのオーセンティックが新品約100万です。
現在オーダーは出来ないようですが、限定モデルでハカランダバックのものが出たとして3~400万程度だと思います。
コリングスやサンタクルーズなどがハカランダで制作して300万前後だと思います。

それに対し、プリウォーD-28の相場は大体900万円、状態が良ければ千万の大台に乗ります。

 当時仕様でMAX高級にした新品同モデルに対し3倍近い金額が必要になるわけです。
この差が「プリウォーのヴィンテージマーチン」という付加価値に払う金額なわけですが、個人的には「演奏する」という目的で見た場合には少々大きすぎる出費という気もしてしまいます。

なので今回のO-18Kは「音のいいギターを買ったらマーチンブランドとプリウォーのステイタスが付いてきた」と捉えられ、貧乏性な僕の精神を落ち着けるには非常にプラスでした苦笑。

もっとも…いざ実際にプリウォーマーチンを弾いてしまうと、現行のカスタムギターとも全く別次元の魅力があり、先立つものさえあればン千万と払ってしまう人の気持ちも分かってしまう…というのが恐ろしいところでもあります…苦笑

“それくらい魅力的なサウンドが間違いなくある”ということは断言しておきます。


下記の動画が現行トップモデルとプリウォー楽器の差を一番分かりやすく感じられる気がします。
共にヴィンテージ、マーチン現行、コリングスのシングルオー上位モデルを同じ楽器店ので同じプロプレイヤーが弾いています。

ボリューム感の差がありすぎて録音環境が違うせいと感じると思いますが(もちろんそれもあると思います)、それだけではない気がします。
プレイヤーの体感差としては、これくらいの差を感じる気がしますね。

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