凡庸日記(2022/08/08)

いま、EVO2022のストリートファイター5TOP8をYouTubeで観ている。EVOというのは世界規模のeスポーツ大会で、例の感染症のせいで中止が続いていたのだけど、今年は3年ぶりの開催。場所はアメリカのラスベガス。競技種目は『ストリートファイター5』『鉄拳7』『GUILTY GEAR ‐STRIVE‐』など9つで、中でも『ストリートファイター5』は日本人選手が強く、TOP8に4人日本人が残っている。普段からよく知っている選手が世界の大舞台で活躍するのを観ていると、YouTube越しに観ているだけなのに、胸が熱くなってくる。知らない人からしたら、そんな、たかがゲームでしょ、騒ぐようなことなの? と思うかもしれない。それが盛り上がるんですよ、半端なく。現地の様子もちょいちょい映るんだけど、一万人くらい入る会場(日本武道館みたいな感じ)には人が一杯で、みんな手に汗握りながら、ゲームのプレイ画面が映し出された巨大モニターを凝視していて、スーパープレイが飛び出す度に歓声が上がる。中には立ち上がってガッツポーズしたり、拍手したりする人までいて、それを目にすると、ああ、これはスポーツなんだと納得する熱狂ぶりなのです。

EVOで活躍する日本人選手が観ていると、羨ましいなあと思う。ゲームがとても上手い、ただそれだけで、他の国のゲーマーと友達になれたり、世界中にファンを持つことができたりするんだから。小説だとこうはいかない。英語で書いていれば似たところがあるのかもしれないけれど、日本語で書いている限り、基本的には日本人にしか読まれない。じゃあ英語で書こうかって、そういうわけにはいかない。普段から日本語で思考している人間が、急に英語で考えだすことはできない。じゃあ日本語で一度書いて、英語に翻訳すればというかもしれないが、それはそれで簡単なことではなくて、英語がめっちゃめっちゃ、それこそある意味、英語を母国語にする人よりできなければ、しょうもない文章になってしまうことは目に見えている。そこで翻訳者の存在が重要になってくるのだけど、翻訳してもらえる作家は一握りだし、翻訳してもらっても、それだけで海外に売り出せるわけではない。それぞれの国の出版社と連絡をとって契約を結び……と、とても個人でできるようなことじゃない。エージェントが必要。でもエージェントなんてそんなの、小説家の中でも村上春樹みたいな人しかもてないだろう。結論として、村上春樹は羨ましいということですね。

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