TEPPEI RECOMMEND 2024 4/21 ~4/27

いまオススメのロックをテキストと共にお届けするTEPPEI RECOMMEND。今週は2曲紹介します。そう、たったの2曲。こんな週もある。4月は同じプレイリストなので、前回から引き続き22曲目からとなります(来週から5月のプレイリスト)。曲にはYouTubeのリンクを貼っときます。Spotifyで聴けない人はそちらをチェックしてください。ではまいりましょう。

22曲目はFat Dog(ファット・ドッグ)の『Runnning』。ファット・ドッグはイギリス、サウス・ロンドンの5人組ロックバンド。去年8月のデビューシングルから得体がしれない凄みがあったけど、今作も凄い。そこまで溜めに溜めたパワーを炸裂させているような46秒の爆発、そっからの展開は聴いてると時空間がぐにゃっとするというか、いまがいつでここがどこなのか一瞬見失うような不思議な感覚になる。2007年にリリースされていたら、間違いなくニューレイヴ(クラクソンズ『Gravity's Rainbow』とかレイト・オブ・ザ・ピア『Focker』とかハドーケン『Liquid Lives』とか)に分類されていただろうと思うのだけど、ニューレイヴの曲はどれも2分とか3分だったのにファット・ドッグの曲は『All The Same』を除いて6分以上もある。キャッチーなんか知らねぇーよ、ラジオでながしてもらわなくて結構、売れる売れないなんて知ったこっちゃない、そんな風に思っているかのよう。音楽を第一に考えているというか、心から音楽に没頭しているというか、そこら辺の姿勢は同じサウス・ロンドンのブラック・カントリー・ニュー・ロードと共通している気がする。溢れ出るエネルギーのままに曲を生み出しているように見える彼らが今後どこに向かうのか、洗練されて3分に熱を込めるようになるのか、いまがそれでも比較的まとまってる方で、これからさらにとっちらかっていくのか要注目。

23曲目はGirl and Girl(ガール・アンド・ガール)の『Oh Boy!』。ガール・アンド・ガールは2019年にデビューしたオーストラリア、ブリスベンの4人組ロックバンド。このバンドを知ったのは2022年6月にリリースされたシングル『Dance Now』というシャッフルビートの曲なのだけど、今回の曲もシャッフルビート。ありふれているようでこういう曲を出す新人バンドがあまりいないから貴重だと思う。あと単純にシャッフルビートが好き(自分が)。話はずれるけど、ロックンロールって自分にとってはシャッフルビートの要素がとても大きい。2000年代初頭のロックンロールリバイバルの代表的なバンドとしてストロークスとリバティーンズがあるけれど、ストロークスの『Someday』(Tom Petty & The Heartbreakersの『American Girl』からの影響が大きいと思う)もリバティーンズの『Death on the Stairs』もシャッフルビート(他もあげたらきりないけど例えばジェットの『Are You Gonna Be My Girl』は典型的)。だからロックンロールリバイバルリバイバルがあるとすれば、それはシャッフルビートの復活だと思うわけで、そういう意味でもガール・アンド・ガールには期待している。

ということで今週の紹介も終わり、最後に雑感を。

【今週の雑感】
4月も終わりだけど、今月はなんといってもVampire Weekendの5th アルバムとFontaines D.C.のシングルが素晴らしかった。いい曲はリリースされていながらも正直決定打に欠けている印象があったロックシーン。その閉塞感漂う状況を打開して新たな時代の扉が開けたように感じた。今回紹介したFat Dogもそう。内から自分たちを突き動かすエネルギーに従って曲を作っている感じがする。70年代のロックバンドにあった原初的なエネルギー、たとえばレッド・ツェッペリンの10分以上もある大作『Achilles Last Stand』を自分が初めて聴いた時に感じたエネルギーがバンド内に渦巻いているのではないか、そう思った。次のシングルもさらにはアルバムも楽しみでしょうがない。
エネルギーの話でいうと今日はこれからOSEES(オーシーズ)のライブを観に新代田のFEVERに行くのだけど、どんなハチャメチャなライブになるのか楽しみ。別にハチャメチャでクラウドサーフ(ダイブ)とかモッシュとか起きるライブ、汗だくになるライブだけがいいライブではないけれど、自分は昔から激しい音楽(パンクとか)のライブで前の方で汗だくになって観るのが好きで、だから今日はとても楽しみ。そういうライブここ数年(下手したら十年くらい?)体験してないから。コロナの影響もあるだろし、流行りの音楽の変化もあるんだろうね(最近のインディーロックはちょっと内省的な、というか大人しめのものが多い気がする)。だけどやっぱりガレージロックやパンクロック(それは70年代のオリジナルパンクも90年代のポップパンクも)のいってしまえばバカバカしい激しいノリも自分は大好きなので、OSEES(オーシーズ)のようなバンドにはじゃんじゃん来日して欲しい。GREEN DAYとかも来日してくれよって思うんだけど、考えてると暗くなるので止める。

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。


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