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凡庸日記(2022/08/10)

また死んでいた、家の前に虫が二匹。今度はコガネムシではない。何の虫かわからない。結構デカかった。こうなるとやっぱり、このアパートのこの部屋の前が、虫たちにとって特別な場所である可能性を考えざる負えない。二匹で死んでいる点からして夫婦だろうか? 死を前に二匹で何とかここにたどり着き、そして息絶えたのか。あるいは熱心な信者(信虫というべきか)という可能性もある。人生(虫生というべきか)で一度は訪れたいと思っていた聖地である、僕の家の前に巡礼したのだ。でもなぜ二匹なのか? なぜ死んでいるのか? 謎だ。謎ではあるが妄想してみよう。二匹は仲が良い師弟だった。弟子は師を慕い、師は弟子の力を認めていた。このまま成長し、自分の後を継ぎ、次の世代にその力を伝承して欲しい、師はそう願っていた。だが弟子は違った。もっともっと力が欲しいと思った。師を超え、世界を変えられるほどの力をどうにかして得られないものか? そう、日々頭を悩ませた。その弟子の意志は闇の力を呼び寄せる。ある夜ベッドで眠っていて夜風を感じ、弟子は目を覚ました。顔を上げると、窓が開いている。はて、閉め忘れただろうか? 目をこすりながら窓際に寄った弟子は目を疑った。巨大な岩が宙に浮いているではないか。なんだこの力は。弟子はその圧倒的なパワーに魅了され、その力の源を研究し始めた。寝食を忘れ研究に没頭し、弟子はついにパワーが発生するメカニズムを解明する。しかし、その頃にはその力の邪悪な意志に自らの心身を乗っ取られてしまっていた。そんなこととはつゆ知らず、師は聖地巡礼の準備を進めていた。もうアイツは一人前だ。自分の役割は終わった。聖地を訪れ、アイツに自分の力の全てを与えよう。事情を知らない師は聖地に弟子を導き入れてしまう。各所を指し示しながら一通り説明をしてから、師は弟子に背を向けた。聖なる大岩に祈りを捧げ始めたが、そのとき邪悪な意志が蠢き出した。勝手に動く体に戸惑う弟子。が、無情にも弟子の一撃は師を貫き……って、さすがに飽きたw まあともかくだ、師弟で争って二人とも死んだってシナリオですな。聖地での死闘。

聖地の話。聖地ってなんなんだろうね? ある人々にとっての特別な場所。他の人にとってはどうってこともない場所で、なんでそんな場所のことで熱くなるのって感じなのに、一部の人にとってはそこにたどり着くことが一生の目標になるほど重要で、その場所をめぐって戦争が起こったりもする。エルサレムとか。あの都市をめぐってどれだけの諍いが起きたことか。いま日本ではカルト宗教の話題でもちきりだけど、キリスト教もイスラム教も、そういう歴史が長い由緒正しい宗教にしても、ときには過熱化し、争いの種になるのだから、人がなにかを心の底から信じるということは、全くの無害ではありえないのだと思う。なんて、自分のことを棚にあげて語ったわけだけど、僕にしても聖地に熱狂するほど入れあげる対象はある。それはここでも繰り返し言及しているリバティーンズのこと。彼らのファーストアルバムに収められているタイトル曲『Up The Bracket』、そのMVが撮影されたのは東ロンドンのベスナル・グリーンだけど、その一角にある通称『Up The Bracket Alley』と呼ばれる路地は、リバティーンズ・ファンの聖地となっている。僕も2014年(メッセージを見ると、2014年の7月4日みたい)リバティーンズを観に、三度目くらいにイギリスに出かけた時にそこを訪れ、長々とメッセージを書き残した。もう8年も前のこと。なんだけれど、YouTubeで『Up The Bracket Alley』で検索して、一番上に表示された映像を観ていたら、僕のメッセージが映っていたのでここにシェアする。3分30秒くらいから。一番最後に『Teppei Sekizawa』って書いてあるのがわかると思う。沢山伝えたいことがあったんだろうね、他の人のメッセージに比べてずいぶん長い。35歳のときのことみたい。「The Libertines is the greatest R'n'R band of my generation.」なんて、ずいぶん入れ込んでいる。笑けてくるくらい。でも2000年代以降のロックバンドを思い浮かべてみると、やっぱりリバティーンズが一番カッコ良かったんじゃないかな。


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