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文舵、練習問題③〈追加問題〉問1

問1:最初の課題で、執筆に作者自身の声やあらたまった声を用いたのなら、今後は同じ(または別の)題材について、口語らしい声や方言を試してみよう――登場人物が別の人物に語りかけるような調子で。

元の文章(文舵、練習問題③〈長短どちらも〉問1)を友達に語りかける文章に変え、そうすると色々内容を変えたくなったので、余計なものが結構足されています。

 でさ、そのとき俺は手を止めたんだ。だって、あるべきところにエロ本がないんだよ、そりゃビビるっしょ。で、代わりに何があったと思う? わかんない? ちゃんと考えろよ。三秒な。スタート! チッ、チッ、チッ、ブー、タイムオーバー。そこにはなんと『罪と罰』があったんだ。え? そんな本知らないって。おいおい、もうちょっと教養をつめよ。あれだよ、ドスなんとかって奴が書いた小説だよ。え? ドスサントスだって。いやいや、それは総合格闘家だろ。え? そうじゃなくてサッカー選手? どっちでもいいよ。いや、どっちも関係ないから。もういいから、ドスサントスは忘れろ。それでそう、どこまで話したっけ? そうそう『罪と罰』。それ見て俺はビビビッてきてさ。これは兄貴からのメッセージだなって。罪を犯せば、罰を受けるって、そう警告してるにちがいないって。それで俺ブルッちゃって、もう自分の部屋に戻ろうかなって。だって時間は十分しかないんだぜ、兄貴早風呂だから。だけどさあ、オッパイは見たいんだよな。でも兄貴は怖い。でもオッパイは見たい。で、板挟みになった俺は、おい、立つな立つな、座れ座れ。勝手に終わらすな。人の話はちゃんと最後まで聞けって親に教わらなかったか? え? そんな立派な親じゃなかったって? いやいやお前の親の話は止めとこう、長くなるから。え? 聞き飽きたって? そうか、わかったよ。聞いてくださいお願いします。うわぁ腹立つわー。まあいい、それでそう、俺の明晰な頭脳がビビビッときたのさ、なんか変だって。兄貴は小説読むような奴じゃないんだよ。大体『罪と罰』ってこんなに分厚いのにさ、目の前の本はその半分くらいしかなくて、だからタイトルが見えないんだよ、半分。だから、開いて中を見てみたらさ、あるのよ愛しいのオッパイが。そりゃもう立派なもんでさ。そうそう、そういう感じ。それ見てなるほどなあって。兄貴も母さんに見つからないように苦心してるんだなあって思ったら、嬉しくなっちゃってにんまりしちゃった。と、そのときよ。なに見てるんだ、翔太! って親父の声がしてさ、心臓が止まるかと思ったんだけど、恐る恐る振り返るとさ、そこにはにやにやした面して兄貴が立ってたんだ。

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