TEPPEI RECOMMEND 2024 4/14 ~4/20
いまオススメのロックをテキストと共にお届けするTEPPEI RECOMMEND。今週は5曲紹介します。4月は同じプレイリストなので、前回から引き続き17曲目からとなります。曲にはYouTubeのリンクを貼っときます。Spotifyで聴けない人はそちらをチェックしてください。ではまいりましょう。
17曲目はFontaines D.C.(フォンテインズD.C.)の『Starburster』。いやあ~素晴らしいシングルが届きました。不穏な感じが漂うストリングスとシンセ、そこに被さるドラム、そしてボーカル。え、ラップ⁉ そう、ラップ。ファーストの頃から抑揚をつけずに歌詞を読むように歌うポエトリーリーディングのようなところがあったグリアンのボーカル、だからラップとの距離も元から近かったといえば近かったんだろうし、実際すでに前作のタイトル曲である『Skinty Fia』の歌唱はラップだったのだけど、今作ではさらにそれが進化して、もはやインディーロックバンドがちょっとヒップホップサウンドに手を出しましたなんてもんじゃなく、ヒップホップからの影響を完全に血肉化している。1分22秒あたり、過呼吸の人のがするように空気を吸い込む音に胸がざわつく。思わずやばッと呟いてしまったよ。これは8月末のアルバムがめちゃめちゃ楽しみだ。ヴァンパイアウィークエンドの最高の新作もあったし、今年、2024年はロックが再び息を吹き返した年として記憶に刻まれそうな予感がプンプン。
18曲目はThe Family Rain(ファミリーレイン)の『Sabertooth』。ファミリーレインはイギリス、バースの3人組ロックバンド。ブルースを基調としたバンド、紹介の曲は始まった途端に笑みがこぼれた。レッド・ツェッペリンの『Immigrant Song』やん。あんたなに言うてん、ストーン・ローゼズの『Driving South』やんか、ちゃうちゃうローゼズはツェッペリンの影響受けてんのよ、せやから結局ツェッペリンなんよ。脳内で関西弁風の会話が始まってしまうくらい楽しい。こういう古風で力強い曲を聴くと嬉しくなってしまう。70年代が好きなんだね、俺も好きよって思う。まあ曲調は古い。が、もちろん『Immigrant Song』のカヴァーってわけじゃない。もっと激しくて、サウンドからするとファーストの頃のロイヤル・ブラッド(ロイヤル・ブラッド自体ツェッペリンからの影響は明らかなのだけど)に近いものがある(『Little Monster』とか)。ツェッペリンとロイヤル・ブラッドのあいのこ。それがどのくらい新しいかは知らないけれど、こうやって70年代からある表現の型が引き継がれていくのは嬉しい。
19曲目はA Place To Bury Strangers(ア・プレイス・トゥ・ベリー・ストレンジャーズ)の『Don’t Trun The Radio』。三回目の紹介となるアメリカ、ニューヨークの3人組シューゲイザーバンド。今回はノイジーなシャッフルビート。DJ的には去年リリースされたコリーヌ・ベイリーの『New York Transit Queen』から続けてかけるのにぴったりの曲だなと思う。
20曲目はHome Counties(ホーム・カウンティ)の『Dividing Lines』。ホーム・カウンティはイギリス、ブリストルの6人組ロックバンド。先月『You Break It, You Brought It』というゴキゲンなダンスチューンをリリースしていて、それを紹介し忘れてしまったことがひっかかっていたのだけど、この曲きっかけで上にリンクを貼れて心が晴れた。今回のシングルも前回シングルに続いて聴いてると自然と体が揺れだす。ブラーの『Girls And Boys』が好きな人は間違いなく好きなダンスミュージック。こんな曲ばっかり詰まってると思うとアルバムが楽しみだ。
21曲目、今週最後はAlfie Templeman(アルフィー・テンプルマン)の『Hello Lonely』。こちらも三度目の紹介となるイギリスはカールトン出身、21歳のシンガーソングライター。今回の曲はシンセサイザーが入ったファンキーなチューン。ポップな曲。マイケル・ジャクソンの『Rock With You』からこの曲、そっからマーク・ロンソンの『Uptown Funk』とかいったら、盛り上がる図しか思い浮かばないよ。
ということで今週の紹介も終わり、最後に雑感を。
【今週の雑感】
今週はとにかくフォンテインズD.C.の『Starburster』にびっくらこいた。前回のアルバムのシングル『Jackie Donw The Line』を初めて聴いた時も、これはヤバいことになる。フォンテインズD.C.はレディオヘッドみたいな化け物みたいなバンドになるって思ったもんで、その思いは外れた(サードアルバムは『OK Computer』とか、そういった歴史的な名盤と比較できるものではなかった)けれど、今回はまず間違いなくすごいアルバムが届く、そんな予感がビンビンする。サードアルバムは予行練習だったんだなって今になって思う。曲紹介にも書いた『Skinty Fia』とか。
今年はフォンテインズD.C.だけでなく、4月頭にはヴァンパイアウィークエンドが傑作を発表したし、リバティーンズもシーンに舞い戻った。去年でいうとハイブズのアルバムもよかったし、クーラ・シェイカーとかグリーン・デイとかのベテラン勢もカンバックした。若手としてはLemon TwigsにYard Act、Folly GroupにRoyel Otis、Cardinals、なにより話題のFrikoがいる。最高な韓国のロックバンドSilica Gelも来日する(去年末にでたアルバムはいい曲ぞろいだった)し、それを向かいうつ日本のバンドbetcover!!も素晴らしい(先日初めて観たのだけど、24歳のフロントマン、柳瀬二郎の色気にメロメロだった)。頭数はそろいつつある。ガスが充満している感じ。あとは火さえつけば一気に燃え上がる、というところでヴァンパイアウィークエンドにつづいてフォンテインズD.C.が傑作をだせば、ロックはまた息を吹き返す。そう思うし、そうしたい。
今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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