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私的推薦盤~Lettuce『Outta Here』

 最初がフュージョン系、次がプログレ、前回がロック(ちょっと本道じゃないかもしれないけれど……)ときたので、4回目は何にしようかと思ったのだが、考えているうちに面倒くさくなったのでiPhoneの中を適当に見ていて目にとまったのがこれ、Lettuceの『Outta Here』(2002)。

 Lettuceは野菜のレタスじゃなくて、「Let us」から来ているのだそうで、ジャンル的にはファンクらしいのだけれど、70年代あたりから始まるファンクというよりは、「クラブ系ファンク」というものに分類されるんだそうな。「らしい」とか「されるんだそうな」というボケた言い方をするのは、私がファンクのことをまぁったく知らないからなわけで、知り合いでちょっと詳しい人がそう言っていたものだから受け売りでそういわせてもらうことにした。いやぁ、他力本願だな、こりゃ。でも2000年代に入ってからのファンクは結構好きで、The Newmastersoundsも結構いい感じだった。まぁクラブ系ファンクの中にはカレッジバンド的なものも無いわけじゃないけど、逆にコテコテのファンクには若干の抵抗がある身としては、こういう軽いファンクっていうのもそれはそれでいいもんだと思えてしまう。

 バンドメンバーは結構な数になるし、出入りもあるからこの際は触れないでおこう。エリック・クライズノー(ギター)だけは、SouLiveのギタリストでもあるわけで、そっちの方が有名だろうから名前くらいは出しておかねばなるまい。とはいえ、私的にはSouLiveも嫌いではないのだが、ホーンセクションが豊かなLettuceの方がどちらかと言うと好きかもしれない。どういう経緯でLettuceやらSouLiveが結成されたのかについては、「詳しくはWikipediaでね」っていう乱暴な言い方をしておこう。

 そもそも私とLettuceの出会いと言えば、『Outta Here』がCD屋にあることはわかっていたのだが、なぜか試聴できなかったためにそのままだったところに始まる。ところがきっかけは意外なところで訪れた。妻と二人でライブハウスに青木智仁と元T-SQUAREの則竹裕之の「Ao-Nori Session」を聴きに行った時のこと。青木と則竹の二人がお気に入りの曲を持ち寄ってセッションするという企画だったのだが、何曲目かに青木智仁が出してきたものが、Lettuceの『Outta Here』に収録されている「The Dump」だったのである。もうこれにシビれてしまった……。とにかく聞き惚れてしまった。これはもう音源を手に入れるしかないってなったわけで、次の日に私はCD屋へと足を運び、『Outta Here』を手に入れることになったわけである。

 セッションにはうってつけの曲が並び、人によっては少し騒々しく感じられてしまうかもしれないアルバムだが、私はこれはこれでいいと思っている。まぁ好みは千差万別なんで何とも言えないが……。

 ただ、これを足掛かりにコテコテのファンクへとコマを進められるか、と言えばそれはちょっと保証いたしかねる。私にしてもここから先へと行けてない。そもそも2枚目のアルバム『Rage』(2008)は手に入れてはみたものの1枚目ほどの感動はなかったし、『Fly』(2012)は手に入れてすらいない。だが動画サイトを見るとLettuceのライブ映像は結構ある。ひょっとするとこのバンドは生で聴いた方がいいのかもしれない。……まぁ、そんなの当たり前と言えば当たり前だが、スタジオ録音盤は大したことなくてもそのライブはすごい、というアーティストも意外といるものだ。Pat Methenyなんて、アルバムはきっかけ・題材提供、そのクオリティーはツアーをもって完結するなんていう人なわけだし(それでもアルバムのクオリティーも充分高いけれど……)、Lettuceもそういうパターンだとしたら、スタジオ録音アルバムで結論を出してしまうのは早計かもしれないのだ。もっとも我々はそうおいそれと彼らのライブに足を運ぶことはできないわけだけれども……。


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