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50の手習い(EWI奮闘記)~Ⅶ.初めて人前で演奏する(前編)

 EWIを始めて10カ月ほど。さて、このあたりが一つの節目になることは事前にわかっていました。と言うのも、「人前でやってこそ上達する」ということはよく言われていることですが、自分もとうとう人前でやる機会が訪れたからです。……いや、人前でやるために、とにかくこの10カ月練習してきたと言っても過言ではないです。

 そもそもEWIを始めた動機は何かというと、まぁいくつかあるわけなんですが、

  • 今までリズム楽器しかやってこなかったから、メロディー楽器をやってみたくなった。

  • オーボエ奏者の宮本文昭氏とサックス奏者の本田雅人氏に憧れがあったので、ちょっとだけでいいから同じようなことしてみたかった。

  • 50を過ぎて単調な生活の中で、新しいものに挑戦したいという思いがあった(とは言っても、お金がかからず、仕事に支障が無い範囲で)。

一応この三つということになります。なにかこれといって特別な動機ではありません。「頑張っている姿を見せたい」なぁんて、そんな大それたことは考えていませんし、だいたい家族はほぼ無関心です。夜な夜な練習する私を横目に妻はソファーでいびきをかいて爆睡、息子は我関せずと別の部屋でiPadで動画を見ているわけです。つまり、管楽器未経験者の私がこの歳になってEWIを始めたのは、当たり前のことなんですが「他の誰のためでもない自分のため」なわけでして、誰かのためではないということですな。ま、そりゃそうだ。

 とにもかくにも周りに迷惑をかけずに済むというのはありがたいことで、自分のスキルがどのくらい上がっているかは同居している家族すらよくわからないわけです。いくら上達しなくても誰も何も言わないし、下手であるがために迷惑になってしまうようなこともないというのは本当に助かります。

 しかし、しかしですよ……。

 「このままでいいのか」と、ある日ふと思ってしまったわけです。確かに迷惑はかかりません。ヘッドフォン(イヤホン)で完結してしまうと言えばそうなんです。自己満足で終わろうと思えばいくらでもそこで終われます。しかし、それで真の上達は得られるのかというと疑問です。と言うのは、「楽器は人前でやってこそ上達する」と言われたことが昔あるからです。昔、ベースをやっていた時も、やっぱりライブを経ると少しレベルが上がったような感覚になりました。そうなると、EWIも人前でやらにゃぁいつまでたっても今の限界点を突破できないだろう、ということで、私は人前でやることに決めました。

 とはいえ人前でやるにも、じゃぁどこでやる?となるわけです。ところが、あるんですよ、やる場所が。一応、私は学校の教員をやっておりまして、文化祭なるものがあります。そこでちょっと場所を確保してそこでやりゃぁいいんじゃねぇか、という下心を抱いたわけです。ちょうど軽音楽部の顧問だし、生徒たちがやるステージの合間に前座とか幕間狂言みたいに数曲やって「中継ぎ」みたいにすりゃぁいいじゃねぇのって思ったわけです。

 そうなると目標ができるので、練習にも俄然気合が入ってきます。といっても練習は帰宅後ですから練習時間が特に増えるわけでもありません。そうなると短時間で完成度を高める方向で集中することになります。これが上達には不可欠なんだなぁと改めて思います。何の目標もないとなかなか上達しないのかもしれないですね。

 さて、レパートリーの方ですが、ここにきて一気に増えつつあり、演奏予定の曲は以下の通りになりました。

 「Take Good Care of My Heart」(Ann Murray)
 「Georgy Porgy」(TOTO)
 「瞳をとじて」(平井堅)
 「雪の華」(中島美嘉)
 「真夜中のドア」(松原みき)
 「丸の内サディスティック」(椎名林檎)
 「Plastic Love」(竹内まりや)
 「Woman~Wの悲劇より」(薬師丸ひろ子)
 「月のしずく」(KOH)

 もちろん全部いっぺんにやるわけではなくて、2ステージくらいこなせるなら4曲ずつやろうかなぁという感じです。Cubaseも少しずつ覚えて、MIDIからMP3に書き出すことなんかもできるようになったので、カラオケはもう用意できるようになりました。ここでふと気づいたんですが、女性の曲がやたらと多いです。特に女性ボーカルが好きというわけではなく、むしろその逆であるくらいでして、これはもう偶然としか言いようがないです。とりあえず曲を増やしていくうちに、なぜか女性の曲が増えたと言う感じですね。また、松原みきや竹内まりやの曲は、リアルタイムではまったくきいたことがなく、サブスクで再評価が高まったことを知ってから初めて聴いた曲です(あ、もちろんいい曲だと思ったからやろうと思ったわけですが……)。

 そんなこんなでやる曲もだんだん決まってきたし、あとは練習あるのみ、ということで、毎晩寝る前の45分間ひたすら練習する私だったのでした。

(後編に続く)


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